人生の岐路と、お天気雨。おかしな出会いと、リアサス整備。







今回のTOPには子供の頃からお気に入りの、古くメロウな一曲を。


書き手が思い描いた土地は、南欧の港町だろうと思うけれど。
きつねが4年ほど前までイメージしていたのは、荒れた大間崎の夜。

でも・・・その後で、長く憧れ恋い焦がれた北海道を旅した今では。
独特の旅情を宿した旋律へ重ねる風景は、釧路に代わっています。

華美じゃないし軽くもない。寂れてもいないけれど、とても静かで
落ち着いた深夜の横丁、安ホテルの窓から眺める街明かり。


叶うものなら今年も走りたかった、久々に叶えるつもりだった、
北の大地の独り旅。


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半世紀に届きかけた人生で、これまで向き合ったケースが3度しかない
「心が壊れるということ」と「心が望んでいること」との、せめぎ合い。

魂の分水嶺で切羽詰まった挙句、万策尽き止む無く出た行動の結果
それは思い掛けないタイミングでの長期休暇を放ってよこしました。


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「旅にでも出てリフレッシュして、また考え直してみてくれよ。」と
ボスは真顔で言ってくれたけれど・・・。

絶対首を縦に振らない不退転の覚悟でホンネを切り出した身には
とてもじゃないけど旅の手配など、進める気力は残っておりません。

大切な何かがスッポ抜けたきつねは以降数日、抜け殻の身体を
ベッドに横たえて過ごすばかりでした。


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但し・・・過去に道南・道東と巡って残した土地は、よりによって
宗谷や網走といった道北エリア。

もしこの時期に訪ねても、きっと気候的には北東北に於ける3月
上旬並みのシビアな厳しさ・・・ベストシーズンからはおそらく
ほど遠かったはずなんだけれどもね。


そんなこんなで数日を経て、ようやく気晴らしに出る気になった午後。


「ふらんすへ行き立しとは思へども」の詞に沿うつもりはないものの。
車検上がりのロードスターを駆り、県南の信号皆無な快走ルートたる
県道37号線、通称「エセ北海道」へとスロットルを踏む成り行きに。


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北東北と首都圏を結ぶ大動脈・R4の抜け道を担う県道13号に対して
更に迂回の遠回りで山際を県境まで走る県道37号は、通常トラックも
選ばないようなパラダイス・クルージング・ルート。

カーナビに頼って走る今どきのドライバーなら、その存在にすら思いが
至らないような「地図フリーク御用達の快走コース」なんです、が。


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富良野や美瑛に負けず劣らずの雄大でフォトジェニックな画が撮れる
「我が県の誇る『なんちゃって北海道』」も、予測不可能なほど気まぐれな
近年の天候不順には太刀打ち出来ませんで・・・。

やっと立ち直りかけた心持ちも、曇天から落ちる小雨にすっかり反転。

おまけに愛用のデジカメまでも突如モード切替のダイヤルが空転する
というトラブルに見舞われ、幌を上げてシッポ巻いて帰って来ました。


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そんなわけでイカれたエクシリムを修理に出し、予備機のオリンパス
510を叩き起こして。

「せめて青空がのぞいた時は、お日さまの下に居た方がいいさ」と
思い直し、今度はセローを引き出してのリベンジを。


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コントラストのキツい写り方で少々使い勝手が悪い510なれど、、
「どこかで満開の桜に会いたいなぁ」と考えながらの気まぐれ散歩。

あれこれ思いや迷いが心の深いところで渦巻く時、気分を外へと
向かわせてくれるバイクは、何よりのビタミンになります。

「嗚呼、昔オヤジや伯父さんが言っていたのは、こういう事か」と
雪溶け水で沢掘れした路面を読みながら、ついつい独り言。


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「墓地や病院、曰く因縁のついた古くからの建物を壊した土地は
サラに戻した後、しばらく風に晒しておいた方が良いんだよ。」

いささかオカルティックな話でナンなんですが・・・。

長年多くの想念が沼の如く澱んだ土地は、気ぜわしく次の活用へ
急ぐべきではなく、月日が洗い流してくれるまで放っておけ、と。


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じっと空気の動かぬ部屋へ引きこもっていては、心配しても仕方ない
この先への要らぬ不安が、ただただ渦を巻くだけ。

悩むだけ悩んで思考の袋小路で詰んだなら、あとはもう、ケセラセラ。
「次にやること」が決まっているなら、踏み出す以外にナンも無いもの。

早春の南風は頬を撫で、陽光がジャケット越しの背をそっと優しく抱く。
止まればまとわりつくネガな雑念を、単気筒のビートが振り払って走る。


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FLOW・・・水も、風も、時間も、季節も、留まることを望んではいない。
きっとヒトの心も、また同じこと。

麓へ降りて生温くなった缶コーヒーのプルトップを引けば、まだ真新しい
傍らの杭には、「カモシカ桜」の銘が刻んでありました。


アハハ、出来過ぎだよね。ナンなんだよ、この安っぽい展開は(笑)。


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ようやくポジなマインドのシッポを捕まえた!と思ったのも、束の間。

正午を回ったところでコンビニのおにぎりを頬張っていると、見る間に
四月の青空が狭く小さくなって行きます。

福岡発か、はたまた伊丹発なのか。南の方からやって来た旅客機が
花巻空港へ向けて大きくバンクするや、その機影は雲をくぐりました。

着陸数分前のあの高度で・・・こりゃあ残る青空を追うまでもなく、
すぐに降って来るだろうなあ。


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出来ることなら、スロットルと共に握った前向きな気持ちを大切に
守って、アジトまで帰りたいのに。

出来ることなら、「やっぱりツキに見放されてる」なんて思いたくは
ないというのに。

やがてテチテチと音を立て、空の涙がシールドを叩き始めました。


「きつねのすごろく、てんきにたたられ、ふりだしにもどる」。嗚呼。


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ダークグレーのモヤついた雲を振り切り、さほどデニムを濡らすことなく
盛岡へ逃げ帰った中年ぎつねとおんぼろカモシカ。

「このまま気分を引っくり返されて一日終えるなんて我慢ならない!」と
駆け込んだのは、以前から気に掛かっていた「二代目ぱんだ」。


じゃじゃ麵は決して『ご当地なんちゃらグルメ』とリッパなお神輿に載せ
担ぎ上げるような存在じゃない。

何故ならそれは、屋台の焼きそばと肩を並べるジャンクフードだから。

いつの間にか姿を消していた「みたけのぱんだ」は、とても小さく古い
地元の高校生と配送屋の兄さんが立ち寄るような路地の角店でした。


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まず、その店によってテイストの違う肉味噌を、ちょいと味見する。

そしておもむろに備えつけのラー油と酢、おろしニンニクを注ぎ
躊躇なく一気にかき混ぜ。

へぇ、ちょっと魚粉入れていて風味が面白い。お、南蛮醤油もある。
入れちゃえ入れちゃえ!

じゃじゃ麺は決して居住まい正して頂く、お上品な料理じゃない。
ひたすらガッツリ行くんです。だってこれ、おやつだもん。

肉食獣の胃袋なら特盛りでイケる。メニューにライスなんか無いのも
あの頃の「ぱんだ」の流儀、そのままです。


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「『ちーたん100円』って高くないか?」と聞くのも、本当はヤボな話。

少なくともきつねメは、「ぱんだ」で悠長にちーたんを頼むお客なんて
ほとんど見た記憶が無いんだもの。

注文からさして待たされず速攻で出て来ることも、宅配便の運転手や
タクシー・ドライバーに愛された理由だったのだから。

但し「二代目」はひたすらワイルドで早かった初代より、キッチリ丁寧に
煮上げて作っているから(そもそも麺が太いので本来これが当たり前)
水切りもパーフェクト。

ここが「絡めてナンボ」なじゃじゃ麺では大きなポイント、好印象です。


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ヘルメット抱えて食券を求めた時から、ちらちらと時折りきつねの姿へ
視線を向けていた、店主と思しきイケメンの兄さん。

ちょうど昼のお客が捌けたタイミングなこともあってか、照れくさそうに
「えへへ、出て来ちゃいました。古いセローなのにキレイですね。」。

訊けば彼もNSR250R(!)を愛用するバイク乗りで、何度交換しても
すぐイカれてしまうPGMユニットにほとほと疲れ果ててしまったそう。

「今度は逆に、いつも気楽に安心して乗れるヤツに換えたいんです。」
という彼に、「実はコイツも、もうCDIがメーカー欠品で・・・」とお返事。

「ダートランや長いツーリングを狙う訳じゃなし、本命はトリッカーかな」。

思いがけない場所で、思いがけないヒトと、バイク談義で盛り上がる。
天気には恵まれずとも、災い転じて福と成す。出掛けて正解でした。


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爽やかな青い空に誘われて、走り出したらやっぱり雨降り。
それならそれで割り切って、やりたいことだってあるさ・・・と。

限られた休暇も折り返しの日は、最近気掛かりだったリアサスの
リンク周りを思い切ってバラしてみることにしました。

自分で以前グリスアップしたのはチェーン・スライダーを取り換えた
数年前のことだから、以降1万5000kmぐらい走っているはず。


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きつねはこのフローティング・リンク式のモノサスが、とにかく苦手。

ニンゲンで例えるなら腕や足の関節が一個か二個よけいに付いて
いる感じで働きの理屈も分かり辛く、メンテナンスもメンドくさい。

「最小のサスで最大の動きを求めた」ことぐらいは分かるけれど、
「たくさんニップル付けときゃイイだろ」みたいなリンク周りが、ねぇ。


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そのニップルの先っぽのボールだって、泥や埃で固着していたり。
グリスが出て行く先の穴も、たまーに油カスで詰まっていたり。

そもそも周囲を全部ゴムでシールしていたら、新しい油分を
注入した際に、古いグリスはどこへ出て行けば良いんだろか?

・・・てなことをブツクサ考えてみたり。

何のことはない、一番メンドクサいのはきつね自身か。ハハハ。


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オーバーホールを経てしなやかな動きを取り戻したフロントフォークの
影響か、なんとなく以前より作動がシブくなったように感じるリアサス。

でもいざ実際にバラしてみると、過ぎた月日からは意外に感じるほど
どのリンクにもグリスが回っておりました。


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確かに年一辺ぐらいはニップルから給脂しているつもりだけれど、
それだけでここまでまんべんなく潤ってくれるもんなのかなぁ。

「一度しっかり塗っておけば数年は保ってくれるもの」だとしたら
・・・あれ?やっぱり「閉じ込めちゃうぞシール」のお陰かしら(笑)。


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唯一グリスが切れていたのは、サス・ユニット取付部の両端だけ。

そもそも(なんか無駄に多い気がする)リンクの皆さんがダイナミックに
躍動して下さるため、ここの作動量は大したことないと思うんだけど。

特に上端の方はタンクの陰に隠れていてなんやかんや周囲のものを
着脱する羽目になるため、本来イジるのが苦手なきつねメ的には
とっても億劫になってしまいます。

「きっとあんまり動かない」んだけど、裏を返せば「少しは動く」もの。
手を汚しただけ・時間を掛けただけ、ちょっぴり良くなると信じて。


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ついでに、こんな機会じゃないと念入りに触れないチェーンも整備。

リアのスプロケの山もずいぶん尖って来ているので、先はそんなに
長くないと思うんだけれど。

クリーナーを吹いて洗って、使い差しの昔懐かしい白ルブを噴いて。
全部のコマがクテクテと動いてくれるまで馴染ませ、余分を拭き取り。


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最後に粉まみれのドラムブレーキをエアプローして、カムの軸にも
グリスを塗って・・・うん、これで以前よりも滑らかに動くようです。


結局部品は何ひとつ換えていないけれど、のんびりと考え考え
半日掛かっての地味ジミなメンテナンス。

だけどきっと昨日より、ちょっと良くなる。うん、明日はもっと良くなる。
セローの調子も、きつねの未来も、頑張った分だけ、きっと良くなる。


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さあ、あとは陽光降り注ぐ青空の朝を、迎えるだけ・・・ですよね!
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tag : もの思い セロー ロードスター じゃじゃ麺

Time Goes By・・・。






からん、からん。


「よーお、きつねくん。何だよ、郵便屋かと思ったらオメーかよ。」

「えーっ・・・ありゃ、マギさんっ!お久しぶりですー。」

「メット持って入って来た割にバイクが見えねぇな。何乗って来た?」

「アハハ、今日は用足し回りのついでだったから、ゴリラ。」

「なんだ、だから音で郵便屋と間違えたのか。ハーレーはよ?」

「車検取ったけど、丸一日晴れる時じゃないと出す気になんなくて。」

「ハァ・・・したら、今乗ってンのはゴリラとスポーツスターだけか。」

「あっ、いや、ここには乗って来ないけど、古いセローもあって。」

「はー・・・ソレ良いな。軽くてサッと乗れて山も入るに良くてな。」

「それに比べると、大きくて重いヤツはどうしても出番が減ってね。」

「ンだなぁ、俺も1000RR、去年は三回しか乗ってねェんだよ。」

「でも手放さないんでしょ?『乗れない』と『乗らない』の違いは
あまりにデカいから。」

「バハハハ、上手ェこと言うなあ。そうそ、手許にさえあればな。
乗る気になったら乗れるんだから。」


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「クルマはナニ乗ってらのよ?まだあの赤いロードスターか?」

「アレ、14万超えたところで融雪剤で下回りが錆だらけになってね。
悩んだ挙句に乗り換えました・・・もう15年ぐらい前だけど。」

「・・・してヨ、次は何買ったのよ・・・?」

「色違いのテンハチ。今度は腐らせたくないから普段は安い軽。」

「相変わらず一本気っつうか生真面目っつうか、好きなんだなぁ。
俺もアリスト仕舞ってあるけど、普段はポンコツのジムニーさ。」

「二輪でも四輪でも、気に入ったヤツをずっと乗り換えずにいれば
台数が増えても持っていられるもの。」

「そんだなァ。それが結局、いちばん安くつくんだ。修理代も税金も
新車の月々のクレジットほどは、カネ掛かンねぇからな。」

「安月給でも全部養えてンのは、独り身でローン増やさないから。」

「それはみんな、同じさ。ほい、お会計・・・んだば、また会うべし!」


からん、からん。


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マギさんはゼッツーやCB750フォアが現役だった頃からの飛ばし屋だ。
マッハの500や750の乗り味も、歴代GSX-R750や1100の変還も語れる。

但しそのラフなライディングスタイルからホームコースのカウントには
載ることの無い「裏番」として走って来た、誰もが知る生き字引だ。

そして・・・実は自転車小僧だった中学生の頃から、きつねのことを
ずっと通して知っている、数少ない「オヤッサン」でもある。

「タバコ、止めろ。どうもチャリでウィリーしてたワラス(子供)の
時から印象が変わんなくて、どうにも調子狂って似合わねェから。」

健康に悪いから、とか、無駄銭投げてるようなモンだから、とか。
そーいう正論のしたり顔じゃなく、「キャラが合わないから止めろ」。

ひねくれたきつねでも、そんな親しみ故の忠告は心に入って来る。


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社外のマフラーからK6Aの音を響かせ、昔気質なダブルクラッチで
ひょっこりと背の高いジムニーが駐車場から去って行った。

「マギさん、ちっちゃくなったね。もう、お爺ちゃんなんだもんな。」

「何年か前に、大病患ったからね。でも本人の前で言っちゃダメよ。
あれでも未だに、口の悪さは一級品なんだから。」

「アハハ、毒吐く元気がなくなったら、マギさんじゃなくなっちまう。」

「そうね。ニンゲンが丸くなるのは歓迎だけど、元気でなくちゃあね。」


調理場に向かうオカミは、軽く振り向くと小さく片目を瞑ってみせた。

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おかえり、ロードスター。 ~いそいそ進める春支度、最後の一台~





私は「まな板の上のきつね」。歯医者に於ける患者は、そういうもの。

BGMに流れるAMラジオ、ノリノリなイントロが流れた絶妙な間合いで
センセーからは「ハイ、口を大きく開けて下さーい!」の無情な指示。

これ、二番の歌詞が思い出せねぇんだよなぁ、最後まで聴きてぇなぁと
内心眉間にシワ寄せつつ、リューターの高周波音にしたたる脂汗。

「もう麻酔効いてるけど、もしも痛かったら言って下さいねー。」
あのですね、口をパックリ開けたまま、ソレどうやって話せばいいの?

キュイーン・・・キィィィィンチリチリチリチリ・・・キィーン・・・。

「はい、閉じていいですよ。口の中を一回ゆすいでから続けます。」

気持ち悪く濡れたスウェットの背を起こし傍らの水を含んだところで
ようやくピートマック・ジュニアの美声が耳に届いた。

♪孤独な笑みを 夕陽に晒して 背中で泣いてる 男の美学♪

否、泣いてないよ?泣いてなんかいないよ?全然笑えないけど。


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「歯医者さんの治療あるある」的な小噺はさておきまして。

昔々その昔、うきうきデートに出向いた際、お相手の女性から
「なんかルパンっぽいクルマ」と謎な評価を頂いた思い出のある
我がロードスター。

Nさんのガレージに預けて一か月、ようやく車検整備から上がったとの
知らせを受けて引き取って参りました。

「納車の予定をフリーにしてもらって助かりましたよ。今春は何故か
例年より余計に仕事の依頼が多くて、全然休めなかったんです。」

とアタマをかくNさんの傍らには、タイミングベルトとテンショナーの
ベアリング、そして数個の古いオイルシール。

「オイル漏れの原因は結局カムの方でしたけど、ついでにクランクの
オイルシールとタイミングベルトも取り換えました。」


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「ウォーターポンプは以前手を掛けてあるので、10万㌔メニューは
まずひと通り終えた感じですかね。
後はリクエスト通りデフとミッションのオイル、ブレーキフルードまで
入れ替えておきましたから。」

事務スペースで手渡された明細書の最下段に書き込まれた請求額は
・・・いやいやNさん、ちゃんと工賃取って下さいね?大丈夫・・・?

「確かにエンジンの掛け始め、たまに鳴くタペットが一個ありますね。
あんまり頻繁だったり走らせても鳴り止まない時は、やりますか。」

ともあれシール類の固渋を防ぐためにも、もう少しマメに走らせて
やった方が良いな・・・とボンヤリそぼ降る午後の雨の中を帰途へ。


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春らしい南風がそよぐ次の休日には、さっそく冬の間に入れ替えた
ディレッツァを噛ませるべく、朝からジャッキアップ。

この日はちょうど日曜に当たったため、やがて近隣の国道からは
「くぉぉぉぉん!」「でゅろろろん!」と同好の志が駆るマシン達の
元気な咆哮も響き始め、少々ソワソワしつつも作業を進行(笑)。


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恒例の足回りチェックは、「当分保つと思いますよ」というNさんの
言葉通りブーツ類もしなやか。
タイロッドエンドのゴムも充填されたグリスで膨らんでいます。

アームやスタビのブッシュ類は数年前の車高調O/H時に全交換済。

それにしてもずいぶん長持ちするブレーキパッドだなぁ、アライブ。
毎年毎年、津軽海峡ラインでは相当酷使しているハズなんだけど。


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今回の車高セットアップは、以前の数値よりあえて前後5m/mアップ。

というのも引き取りの帰り道で「この状態ならバネにかなりプリロード
掛かっているはずなのに、むしろ乗り心地が良くなっているような?」
と感じたためで
(※昨年時点でもやたらフルバンプする程にはオトしていません)。


まあ、限界まで使い込んだBOSEタイヤからバリ山新品に換えたので
フェンダーとの隙き間もそんなに気にならんだろー、という見込みで
ありますよ。


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タイヤ交換は「ヒザでゆすってガタが無くなるギリギリまで手締め。
レンチを使うのはその後に」ってことで。

嗚呼、背後から耳に届くデュラデュラなアイドリングはドゥカティか。
おや、シグナル・ブルーで出遅れてリッター・フォアに抜かされたな。

くそ、疼くぜー、今日はぜってー最高の単車日和だよな。

・・・いかんいかん、今日はじっくり腰据えて、コイツを仕立てなきゃ。


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いやなに、シーズンはまだ明けたばかり。気持ち良く走れる休日は
これからまだまだナンボでも訪れてくれるさ。


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埃をたっぷり纏い薄汚れたボディを洗い終えたところで、午後3時。

「では、水気を切るためにひと回りドライブして来ますか!」

3桁国道で郊外へ出た辺りを見計らい、脇道へ入って幌を開け放つと

・・・いやもうヤバいわ、20℃近い陽気の中のオープン・クルーズって
こんなに気持ちイイもんだったっけ・・・うわあ魂溶けそう(昇天)。

日なたのロードスターはきつねの揺り籠。

元々切れ長な目は更に細まり、脳裏に浮かんだ「たゆたう」という言葉に
自然と笑みがこぼれて・・・・否、なんか違和感が。


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点検項目にも明細書にも「サイドスリップ調整」の文字は無かったハズ
なのに、何故かステアリングのセンターがミョーにズレてる。
さっき足回りをチェックした時も、もちろん変な力が掛かるような作業は
していなかったハズなんだけど。

あー・・・いやいや、思い出した。これ、預けに走った一ヶ月前の時点で
もうズレてたわ・・・引き取って来た時は勤務明けでボケてたしなぁ。


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えへへへへ・・・本職の皆さん、ごめんなさい。

ホントはタイロッドで調整すべきなんだろうけれど、きつねは俗に言う
インチキアダプターをコラムに噛ませてあるので、これで合わせます。

今期はディレッツァが再び偏摩耗する前に、機を見てキャンバーを
立てるべく「オトナのアライメント補正」へ出す心積もり。

いずれ再調整が必要になるでしょうから・・・どうかお見逃しを(笑)。


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それにしても、良い。何年乗っていても、ロードスターは走らせる都度に
いつでも生理的・本能的なところで「駆ける喜び」をもたらしてくれる。

ドライバーの操作に間髪置かずダイレクトに応える快さ、という点で
コイツは二輪と同じ価値観の線上にあるんだなぁ、と思います。

発表時の「乗れば誰でも幸せになれるクルマ」というキャッチコピーに
偽りナシ・・・それはきつねの街道レーサー仕様でも、ツルシでもね。


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現代のクルマより具体的に優れているポイントなんて何もないはず
なのに、たぶんフィールの点で上を行く現行国産車はほとんど無い。

「乗り味でヒトを魅了する」という視点では、乗り比べたことのある
身近なドライバー全員がNDよりNAの方に軍配を挙げています。

「工学技術の進歩って結局ナンなんだろう?」と、ただただ黄昏の
湖畔で首を傾げるばかりのきつねメなんでありますよ。


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そう言えば・・・4月の声と共に冬眠から目覚める動物たちの如く、
街で見掛けるスポーツカーがいきなり増える・・・という、ご当地
例年の風物詩の中で。

今期は何故か新規登録ナンバーを下げたNAロードスターの姿が
目立つように感じられます。

既に艶がほぼフェードしたクラシックレッドの初期型、逆に全塗装
したてと思しき程度の良いブラックのSスペシャル、等々。

いずれも昨年までは、市内近郊で目にした記憶がない個体ばかり。


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「マツダが純正部品の再生産に乗り出した」というアナウンスを受け、
何かしら新しいムーブメントが起こりつつあるのかもしれませんね。


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◎ 今日のおまけ ◎


時々の合い間を見ては今回の記事を打っていた、ある午前のこと。
きつねのアジトの前へ、聴きなれないサウンドのエンブレを響かせ
近づいて来るオートバイが。

「おや、何だろ?」と網戸の向こうへ視線を移すと・・・あっ、トライアルの
師匠・へーさん・・・そっか、遂に「イタリア娘」の公道デビューか!


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格安で嫁入りした長期放置のベース車を相手に、ほぼ一年を掛けて
へーさん自身の手によるセミ・レストレーションを受けたモトグッツィ。

フラッグ・シップたる同世代のルマン系が旧車バブルの神輿に担がれ
手の届かない存在になりつつある中、それでもなかなか顧みる人の
いないV35イモラ。


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「再生には相当苦戦する覚悟で手を掛け始めたけど、シンプルな作りと
パーツの入手性の良さが幸いして、思ったより呆気なく直っちゃった。」

「実は修理と化粧直しを進める間に、覗きに来た仲間に懇願されてね。
自分が乗る前に次の嫁ぎ先が決まっちゃって、名残惜しいんだ。」。

ルマンⅠ用のフロントカウリングに換装された出で立ちは入庫当初の
くすんでボケた姿が想像出来ないほど、パリッと決まって美しいもの。


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自分を含めて`80~90年代の外国製ミドルクラスには馴染みも印象も
薄く、別段食指も動かないバイク好きがほとんどだろう、と思います。

でも現車を目の当たりにするとコレ、醸し出される雰囲気がたまらなく
有機的で心を魅かれます。譲渡をせがんだヒトの心情、よく分かるもの。

「性能面については『どうせ大して走らないんだろうなー』って全然
期待していなかったのに、実際乗ってみたらフィールが凄く良かった。
メインのGL500改の印象が霞みそうで、逆に正直当惑してるよ。」


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もちろんマシン単体でも、長いこと見ていて飽きない魅力を十分に
持っているイモラだけれど。
何よりこのグッツィ、ライダーが跨いで実際に走らせている時の姿が
とても映えて、絵になるんですよ。

きつねが「ウチの前を通る時、ハッとする程カッコ良かった」と告げると
「やっぱりそう思う?俺も信号待ちでガラスに映る自分の姿を見て、
意外なまとまりの良さにちょっとビックリしたんだ。」とのこと。

車検は無事に取れたものの高回転の吹けが冴えないキャブレターを
微調整した後に、次のオーナーの許へ嫁ぐ予定だというイモラ。
しかしへーさんのガレージの奥には、まさかの展開が待っていました。

「自分用に同じコンディションのV35、また仕入れちゃった(!)。」

正にイタリア娘の魔性とレストア狂の心象たるや、恐るべし・・・ですね。

テーマ : 車関係なんでも
ジャンル : 車・バイク

好天の後には嵐の訪れ・・・本当の春、まだ遠し。





ここ数日のきつねの街は、スポーツスターの車検を受けた5月みたいな
陽気の日々に比べ、季節が一か月巻き戻ったかのような肌寒い空気。

ご当地名物の石割桜も、この間ようやくその芽を開いたというのに。

轟々と響く風の音に目覚めたきつねがカーテンを開けてみれば・・・
アジトの外では渦を巻いて粉雪が舞い狂っておりました。


「こんな朝にはハートをニュートラルに戻してくれる古い歌を」
という訳で、TOPには皆さんお馴染みの名曲を置いておきます。


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ゴールデンウィークが明けるまで気候がなかなか落ち着かないのも
まあ当地例年のオヤクソクではあるのですが。

まだまだ朝晩の気温が低いこともあって、バイク遊びもまた日和見。
空気が暖まる午前も遅い時間から、昼を跨いでちょろっと乗る程度。

そうなると気分転換のお供に引っ張り出すのは、必然的にもっぱら軽く
小さいゴリラやセローの方に落ち着きます。


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きつねメはゴリラもセローもスポーツスターでも、乗っていて楽しい。

ただ、それぞれの活躍出来るシーンとか領域が違うだけのこと。

一台しか持っていなかった頃に比べれば贅沢だなぁとは思うけれど
個々の持つ滋味を知ってしまうと、どれも手放せなくなるんですね。


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素直に「今の自分のバイクライフの軸」という視点で考えてみると
実はオンロード機よりもセローに重点が移っている気もします。

流石に200km超えの長距離はキツいけれど、それでも国道の
流れに無理なく乗れて、気ままにどこへでも入って行ける。

舗装路上ではパワー不足から来る退屈も否めないものの、
「未知の道と未知の景色を連れて来る自主的迷子活動」は
自分のバイクライフに欠かせないものになって久しいのです。


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そうそう・・・先月施した「キャブの手前とキャブの後ろのゴム」、
劣化を感じたインシュレーターとエアクリーナー・ダクトの交換は
ズバリ正解、大当たり(あれだけヒビ割れていれば当然か。笑)。

昨秋までの排気音や加速感が「タスタスタスタス・・・」だとすれば
交換後は「ツドツドツドツドッ!」っと歯切れやパンチが増した感じ。

フィールが激変したりはしていないけれども、少し圧縮を上げた様に
思えるぐらいに一発一発の元気を取り戻しました。


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コレと言って不具合が起きていた訳ではないものの、例えるなら風邪を
引いているかのような「なんとなくのパワーダウン」を薄々実感していた
昨シーズン終わりには、予備エンジンへの換装も考えていたのですが。

何のことはない、二次エアを吸って混合気が薄くなっていただけの事。
これなら今のエンジンのまま、まだまだ当分は愉しんでいられそう。


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スポーツスターがトラブってもゴリラが参っても、オールマイティな
セローだけは常に元気でいてくれないと、正直困ってしまうきつねメ。

消耗品関連やグリスアップを要する箇所のメンテについては自分次第。
ただ、そろそろ一抹の不安を抱えているのが電装系のトラブル。

スコルパで馴染みとなったヤマハ屋のおやじさん曰く、「3RW1用CDIは
生産終了品。3RW2からヘッドライトが常時点灯化されたために電装が
まるきり変わってしまったみたいだよ?」・・・うわー、マジか(大泣)。


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涙目で肩を落とすきつねメに、しかしおやじさんから救いの声が一つ。

「現品修理、という最後の一手が残っているのさ。ウチでも250カタナの
お客さんがイグナイターを修理に出したことがあってね。
当初は半信半疑だったけど、それから数年経った今も絶好調だわ。」

あっ、思い出した!確か一時、キックの初期型セローを触っていた頃に
検索を掛けていたら、そういう業者さんのホームページへ行き当たった
ことがあったよ!


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いつでも・いつまでも機嫌良く共に暮らしたい、等身大の相棒・セロー。
「もしもの日」に備え、電装系修理の伝手を確認しておこうと思います。


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◎ おまけ ◎


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スポーツスターの車検を受けた後、腰の調子も回復してくれたため
けーたろーのタイヤも夏用にチェンジ致しました。

そこへふと玄関先に置いたスマホに、メール着信のお知らせ音。
「どれどれなになに?」と母屋と繋がる扉を開けた瞬間、小さな影が!


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「んふー♪脱出成功!アタシにだって日向ぼっこの権利はあるにゃ!」

シッポを高々と掲げて陽光の下へと駆け出して行ったとらみさん。
齢15才とは思えないほど敏捷な彼女は、もう手に負えません。

まあ、一晩帰って来ないこともあった若い頃の家出に比べたら・・・
ガレージを片付け終える辺りには、たぶん戻って来てくれるかな。


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「ただいまー!早くホットカーペットとご飯のある部屋に帰して!」

・・・とらみさん、どーしたの?タヌキシッポっぷりが凄いんですが。
こんなに尾をふくらませた彼女を見るのは、本当に久しぶりのこと。

興奮から覚めて気が抜けたのか、片付けを終えて居間へ入ると
すっかりまあるくなって熟睡の寝息を立てておりました。

テーマ : バイク
ジャンル : 車・バイク

スポーツスター、ユーザー車検を無事クリア!







4月に入っても、気温こそまずまず上がっても空がドンヨリしていたり
日差しが届いても一日続かなかったりでパリッとした好天は訪れず。

「いつ、THE 春!と感じられる日が来るんだろうか?」などと空を
見上げていたら・・・

まるで神様が忘れていたスイッチを慌てて切り替えたかのように、
突然5月のようなバカ陽気が始まった、今日この頃の盛岡。

そんなわけで本日のTOPには、南風に向かって帆を張るような
心躍るナンバーを置きました。


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勤務明けの疲労感と脱力感に、ついついベッドに潜り込みたくなる
「お休みモード」へ入りそうなマインドを、心の奥へと抑え込んで。

帰宅後の小一時間、レンチを片手に最後の点検を終えたなら
予め揃えておいた書類とインチ工具をバッグに押し込み、出発。

そう、今日はスポーツスターのユーザー車検を受ける日なのです。


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既に3回ほど経験しているから概要と手順は概ね掴めているものの。
小心者のきつねは「想定外の指摘を受けてオチた場合」を考慮して
午後イチ受験の第三ラウンドを予約。

軽い手直しで済めば次の第四ラウンド、ちょっと手が掛かる場合は
翌日の空いたラウンド・・・と保険掛けまくりなスケジュールです。


何しろ実は前日、ロードスターを預けたNさんから「クランクかカムの
オイルシールが逝ってました。車検代、少し多めに見て下さいね。」
という戦慄の通告が届いたため、いろんな意味で背水の陣(笑)。


おかげで「今日はスポーツスター今季初乗り」という大切なことすら
この時点ではまったく頭に浮かんでおりません。


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「受験は午後のラウンドなのに、午前のうちから出掛けるの?」

ごもっともな質問だけど、コイツで確実な一発合格を狙うのなら
もうひと手間掛けないと・・・で、まず出向いた先は予備車検場。

お店やディーラーに一任している方には馴染みが薄いジャンルの
工場ですが、要は車検のリハーサルをしてくれるところ。
一項目当たり数百円で事前に計測をお願い出来るわけです。


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きつねメが測定を依頼したのは、「大抵のハーレーはズレている」
とも噂されているヘッドライトの光軸。

ボールジョイントで吊っているような独特の構造のためなのか、
或いは振動で走っている内にズレて来るのか、理由は謎ですが。
ここのスタッフさんも「ほぼ要調整らしいねぇ。」と仰っていました。

それから受験時のエンジンの暖まり方で合否が分かれることもある
シビアな排ガスの濃度と、怪しげ加工なスーパートラップの音量も。

しかし結果から言うと「何も手を掛ける必要ナシの、オールクリア」!

秘かに懐に忍ばせていたキャブのミクスチャー調整用ドライバーも
光軸調整用のラチェットレンチも、全く出番ナシという成り行きに。


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「ヘッドライトにしても排ガスにしても、予備検で一発オッケー貰ったの
今回が初めてじゃないかしらん?」と首を捻りつつ、陸事へ到着。

排ガスの数値についてはエアクリーナーエレメントをK&Nのハイフローに
取り換えたことで、前回と同調整でも薄めのセッティングになったのか?

さておき、お昼休みを終えた各受付窓口が開くなり各種証紙を購入して
書類に貼ったり、この先二年分の自賠責保険を掛けたりして申し込み。


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ここで「おーっ!ひっさしぶりですー!」と陽気に肩を叩いてくれたのは
きつねメのスポーツスターの駆け込み寺・モンタナのマスター、I間さん。

きつねメが極力ユーザー持ち込みで車検を受ける理由のひとつは、
店を独りで切り盛りするI間さんの毎春の忙殺っぷりを知っているから。

「いやー、数日前までの殺伐とした人混みはナンだったの?ってぐらい
今日の車検場はもうスカスカに空いてますねー。」と笑う彼だけれど、
それでも落ち着いて店を開けていられる時間はほとんど無いのだとか。


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「いつもは開店前の朝イチを狙って来るけど、今日はどうしても急ぎで
一台受けないといけなくなってさ。」という長身のハンサムなマスターに
「忙しさが一段落した辺りにお邪魔します!」と返礼し、書類審査待ち。


I間さんはいつも明るくポジティブ、いつ会っても不思議と元気を貰える。
彼のファンが多いの、分かるなぁ・・・俺にとっても憧れのオトナだもの。


さてと受験書類が上がって来たから、いざラインへ向かいますか。


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過去に何度か受けたことがあるものの、しかしそれは「2年に一度」。

クリア出来るお膳立ては出来うる限り揃えたけれど、やっぱり毎回
緊張が抜けません。

各ランプ類の点灯とクラクションやハンドルロック、排ガスの濃度と
排気音量、各部目視に緩みの打検・・・OK。

そしてラインに進み、ローラー台に乗って前後各ブレーキの制動と
スピードメーターの正確さを計測。

これ、左足でスイッチを押したり離したりしながらタイヤを回すので
特に重量車だとちょっとおっかないんだよね(笑)。

あとはハイビームで光軸を測定し、ハンドルの巾や全高を測られて
検査はひと通りオシマイ・・・詰め所でハンコを捺してもらいます。

合格印を貰った受験書類を再び窓口に出して待ち、新しい車検証と
ステッカーが渡されるまでしばし待機。


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陸事に着いてから一時間少々で、車検に関する全ての儀式が完了。

20℃を越える信じられない陽気の午後、駐車スペースの片隅で
安堵の日なたぼっこを味わいつつナンバーのステッカーを貼り替え。

ノントラブルで良かった、空いていて良かった、お天気も良かった。
ついでに・・・自賠責も2000円以上値下がりしていて、良かった!

でも新車登録から13年オーバーで重量税が800円UPだそうな(涙)。


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自賠責 11520円  重量税印紙 4600円  車検審査印紙 1300円
車検登録印紙 400円  計 17820円。

きつねメの場合は予備検屋さんで3項目の測定をお願いしたので
これに1620円の費用を上乗せするけれど、それでも総額2万円弱。

きっとお店に頼んでいる人から見たら、「安い~!」って思うよね。

でも、無数の項目が並ぶ24ヶ月点検のチェックシートを眺めれば
きつねは「バイク屋さんの車検」が暴利だとは全然思いません。


ウチのスポーツスターは前回車検からの走行距離が僅か3200km。
部品の消耗も少なく屋内保管、オイル交換やプライマリーチェーンの
調整ぐらいのメンテは自前で出来ます。

だからユーザーで車検を通すけれど、この車種に精通したプロに診て
もらった方が良いところが本当はたくさんあるんです。

各種ベアリングの寿命の目安とかブレーキホースの耐用年数、はたまた
`03までのスポーツスター特有のネック・・・そういったところは定期的に
「分かってる本職」のジャッジメントを受けるべきなんじゃないかな、と。


「車検ラインを通す」と「車検整備を施す」の違いは、実はとても大きい。


I間さんに「後で機を見てお邪魔します」とご挨拶した意図は、そういう
意味合いなんです。


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例によって福田パン経由で立ち寄った直線工具にて、ナンバーボルトに
共締めする荷掛けフックを発見したので、購入。


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昨年の下北半島ツーリングの際、「アレ付けておけば便利だったのに」
と感じたのを思い出した次第。

「手許に来て6回目の車検を終えた記念に」という訳ではないけれど、
コイツには旅の匂いの漂う小物が似合う気がしてね。


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共に暮らして過ぎた月日がかさんだ分だけ、これから維持費も増すかも
しれないけれど。

まだオートバイが荒々しい乗り物だった前世紀のテイストを色濃く宿す
お気に入りのスポーツスター、まだまだ付き合って行きたいところです。


テーマ : Harley-Davidon
ジャンル : 車・バイク

プロフィール

狐ヶ丘 紺之介

Author:狐ヶ丘 紺之介
1970年生まれの乗り物好きな中年ホンドギツネ(オス)。
クルマもバイクも好きなのに、精神構造が基本アナログ。
四輪はM/T派、二輪はキャブ派という典型的な昭和男。

ニンゲンに化けたは良いものの21世紀の流れに乗れず、
世間と森の境目辺りでひっそりブログを綴っております。

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