流儀と仁義の、向こう側。  ~デリカシーは、デリケート~







「ウチにお見せ出来るものは何もありません、結構です。」

あらら。世間ではこういう対処を「門前払い」と呼ぶらしい。

「嗚呼、そうですか。忙しい中、申し訳ありませんでした。」

面食らったものの、作り笑顔で会釈し踵を返したきつねメ。

「ところで、その『気になったもの』って、どれでしたかね?」

あんまりアッサリさっぱり背を向けたがゆえか、逆に訊ねられた。

「奥のヤツです。窓越しの後ろ姿でナナニーじゃないか?と。」

一拍置く間に、60代も半ばと思しき主の表情がちょっと緩む。

「見世物じゃないんです。俺のバイクを置いているだけなんで。」

昭和期の1岩ナンバーに気付いた時点で、それは承知していた。

「ただ、或いは後のニーゴーかキューゴーか?と気になってしまって。」

差し出したキーワードが、オヤッさんの心の鍵を開けてくれたのか。


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「ヒマでハンパな物好きがサ、そうやってたまに来るんだよね。」

「勝手に跨って傷つけるわ床に置いた部品を蹴り散らすわ、でサ。」

「結局客になる訳でもねェのに、相手するのに時間割かれてナ。」


傍で読んだら「コッチの心情を見抜いてズバズバ嫌な事を言う
喰えないバイク屋の親父」にしか、感じないんじゃなかろうか。

全然美味しくない通りすがりのモノ好きと、昔気質な偏屈親父。
でもぶっきらぼうに本音をしゃべるのは、目を掛けてくれた証し。


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「俺は昭和45年生まれで、同い年のリジッドを持ってるんです。」

渾身の一撃、自分が持っている最後の切り札を投じてみると
見る間にギシギシと音を立てながら、主の心の扉が開いた。


「触らなければいいですよ。まあ、眺めて行って下さい。」


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実は個人所有ならさておき「店」としての体裁を保つ場所で
門前払いを食らったのは、多分今回が初めてだ。

逆に、オーナーが秘かに会話に潜ませて来た「試しの罠」に
キッチリ反応出来ると・・・思わぬツボから知る人ぞ知る話を
聞き出してしまう事も、ままある。


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ナナニーのタイプワンとツーの違い、ケンカメーターと順繰りの
メーターそれぞれの年式、Y部品に対応した仕様の有無。

幸いなことにきつねメ、乗り物大好きな亡父の昔話のお陰で
その辺りを時代背景も込み込みで様々に心得ていた。


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「俺の青時代な平成初め頃、砂型ケーゼロ以外のフォアなら
程度良いヤツでも薄給で買える値段だったんですけど。」


「ゼットだって角テールのD1以降なんかそんなモンだったでしょ?
今は仕入れが高過ぎて、整備の手を入れたらメシ食えないんだ。」

「中古相場がこなれると、ウチらみたいな貧乏県にも回って来て。
逆に値が吊り上がると、また首都圏に帰ってっちゃいますよねぇ。」



とつとつと朴訥ながら、この辺りまで会話が重なって来るともう当初
目を吊り上げていた主の表情も、田畑の好々爺と同じ様に和む。


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「メーカーから部品が出なくなった辺りで、もう旧車になんのかな。」

「俺ン中では未だに、W系の生産中止以前が旧車なんですけど。」

「ポイント点火からCDIに移った辺りで最近のバイクになる感じか。」



20歳ぐらい違う昭和男が、お互いにタバコへ火を点けた頃合いで
薄紅を帯び始めた山肌の向こうから、キジの鳴く声が響いた。


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「一銭の儲けにもならないのに、長くお邪魔してすみませんでした。」

「肌寒いこの里も、もうすぐだ。次は自慢の単車で遊びにおいで。」



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憧れの乗り物、大切な商売道具、不良の相棒、昭和の青的遺物。


十代の頃から二輪/四輪を趣味とし、世情との関係や流行り廃りを
気付けば人生の2/3ぐらいの時間、眺めて来たきつねメ。

亡父、或いはバイク屋に集うちょっと怖い先輩諸兄から習って来た
変わらぬ「不問律的な掟」がある。

それは、とても常識的な事、ホント言うまでもない事なんだけれど。


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「他人の愛車に勝手に触らない」「もの欲しそうな顔をしない」
「値踏みしない」・・・裏返せば「されたくないことはするな」、だ。


自分のクルマを他人にベタベタ触られたり、許可していないのに
股がられたりして気分を損ねない持ち主など、いるはずが無い。

加えてきつねメ的に嫌なタイプは「それ良いな、俺にちょうだい?」
「俺、これナンボだったら買うよ?」
とか言い出す人間なんだよ。


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「アンタが『良い』と思ったものがタダで手に入る訳ないだろ?」

「俺が相応に身銭切ってでも欲しかったものを、何で理由も無く
アンタに譲らなきゃいけないんだよ!」


吐いた本人は悪気も無く冗談のつもりで発したかもしれないが。
しかしヒトの品格とは、そういう言葉で無意識に露呈するのだ。


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きつねとて商売人の小倅、売ったの買ったのというシーンでは
多少の駆け引きを試みることは、正直言ってままあるけれど。

但し対面した相手が大切に維持する愛着豊かなタカラモノへ
失礼な行動や態度を取った事は、多分一度も無かったと思う。

主義やベクトルが違ったとしても、同好の士と認め合えばこそ
「俺にとってのロードスター」「俺にとってのスポーツスター」と
読み換えて受け取れば、自然と持ち主にもモノにも敬意が
生まれて来るから、だ。


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情と熱意と経験の積み重ねが自ずと「見る目」を鍛えもするし、
長い目で見れば「その筋」との交流術にも生きて来るだろう。

そこで初めて発する資格を産むのが、「もしも手放す時には
声を掛けてもらえますか?」
という重い一言になる、と思う。

相手が永い間、思い入れに等しいだけの手間暇や時間と
予算を掛けて維持して来た愛車に対しての言葉だから。

それは「お嬢さんをお嫁さんに下さい」に近しい覚悟が要る。


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突然現れたドコの馬の骨とも分からない薄っぺらな輩に対し、
快く愛娘をくれてやるオトーサンやオカーサンなど、いない。

生産中止後四半世紀以上を経て尚名機の誉れ高いマシンは
相応する物語を積み重ねた上で、今も現存しているのだから。

ナンチャラ鑑定団だのナントカ王だの「クル〇タカ〇」とかいう
クソ生意気な小学生が誘導するサイトが提示するデジタルの
数字で、半可通のトーシロが四の五の言う資格など本来無い。



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ただただ耳障り悪い嫌味ばかり言いつつ、最後に長年の愛機や
地場で生き永らえて来た旧車たちを見せてくれたオヤジさん。

無言のうちに示した嘆きは、「そういう事すら分からないバカ」
蔓延にウンザリした挙句、斜に構えた態度だったのだろうね。


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こういうシーンに出くわした時、必ず思い出す一節がある。

乗り物のイラストレーションでは第一人者であるBOW。さんが、
ドゥカティ750Sを手放した際の事を記したエッセイなんだけれど。

友人の伝手を通して引き取りに立候補した次のオーナーは氏へ
跨る許可を得た後に、ボタンで傷つけてしまう恐れを案じ上着を
脱いでからYシャツ一枚の姿で、シートに座ったのだ
・・・という。

幾ら東京都内とは言え、空に月冴える冷え切った年末の夜に!


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「持ち主に敬意を表しその価値を認める」とは、こういう事だから。

ハタチの頃にこの本を読んだきつねメは深い感銘を受けて以降
(相手が大手二輪店の試乗車でも)、自分の衣類のファスナーとか
ボタンがタンクのリアエンドを傷つけないか確認するようになった。


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もしハンドルネームの素性通り野生に戻れば、瞬間的に自らの足で
今時の鈍い4スト原付を追い回せる、生まれついてのスプリンター。

アングラ系スピード狂だからこそ、延々歴代の乗り手が目を掛け
命を預けて来たマシンの姿を見掛けると、その匂いに血が騒ぐ。


「深く考えれば案外と業が重く、良い趣味とは言えないかもねぇ」。


そんな独り言を心中で呟きつつ、ブラリと出掛けた先で不思議な
乗り物を見掛けるとシャッター切らずにいられない因果な半妖怪。


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「風変わりなチャリの兄やん、卵を温めているオスネコってそんなに
珍しいモンなのかい?」


分かってるさ、都市伝説となったシルビアがホントに埋もれている里だもん。

もしペンギンみたいな白黒猫が居ても、そりゃあ全然おかしくないのさ。



※ 今記事は当社従来純度比95%、酔っぱらった執筆者に依る妄想にて
練り上げたフィクションを主成分に出来上がっております。
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春を迎えに、南行き。 ~「ハズした今期初ツーリング」顛末記~







今回は、の嵐に遭うと無性に聴きたくなるナンバーを。

当時から「女子ウケのアニソンバンド」と勘違いした世評の裏で
多くのギター小僧から熱い支持を受けていた実力派。

未だ表立って取り上げられる事のない彼らを正当にリスペクトして
くれる腕利きの外人さんがいる。嬉しい、とても。


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麗らか暖か日々ホクホクだった3月後半、浮足立って例年より
早く起こした「きつねンちの居候たち」なんだけれども。

いやどうしたモンだか、月が変わるなり季節も反転したようで。
最高気温も10℃を挟んで行ったり来たり、寒が戻りっ放し。


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「どこかで日和と休日のマッチがキマる日に合わないかな」
と、延々週間予報とのニラメッコが続いた次第でありますが。

4/12、晴れ。気温MAXで18℃・・・待望のタイミングが来た!

かくして革ジャン羽織るのももどかしく、バッテリー積んで以降
出撃の機会を先送りにしていたスポーツスターを引き出します。


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南行き最高の定番ルート、県37号をチョイスして向かうは一関。

県南で長く足止めを食らっている前線を、自ら出迎えに行く
年中行事の「一番ツーリング」をここで決行。

往復200Kmを越えれば都合6ヶ月前の炭酸が抜けたガソリンも
あらかた入れ替えられるだろう、という目論見でもあります。


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しかし、盛岡ではその予兆すら感じなかった事態が郊外にて
発覚・・・うかつにも「注意報/警報」欄を見過ごしていました。

実は吹きさらしの里では冷たい西風が猛威を振るい、気温が
どうとか言っていられる条件じゃなかったのです。

止む無く相棒に風除け役をお願いし、コンビニでコーヒータイム。


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北上辺りでお茶を濁してシッポ巻いて戻るか、と思案していると
その目の前を快音響かせケーターハム・スーパーセヴンが。

笑顔で手を振り合い「俺も行こう、いっぺん決めたら不退転だ」
と再び南下の道をたどることに。

なにしろ県37は、走り出したら止められない快走路だものね。


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昨秋履き替えたばかりのミシュラン・コマンダーに身を任せ、
信号皆無なルートで半年ぶりに野太いトルクとビートを堪能。

ゆるゆると伸びるワインディングで遊んでいると、時折り風が
途切れてフワリとの陽を受けるポイントがあったりして。

今日の発見は、県37の終わり間際から分岐する広域農道。
これでもう退屈なR4には一切乗らず、県境まで走れることに。


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「もしかしたらコレ、昔走ったことがあるコースかな?」とも
思ったものの、こんな道標があれば記憶に残っているハズ。

なにしろ周囲の景色がどの道でもよく似通っているもので、
コイツに会うまで確信が持てなかったけれど。

眠れる水冷Zのおかげで「お初の開拓」が実証されました。


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初通行の南行き農道もまた、シグナルレスの丘が連なって
「なんちゃって北海道ビュー」が満喫出来る好ルート。

こりゃあ見晴らし良いところで一枚・・・と小高い場所から
エダへ入ったら、なんとも無粋なテッパン敷き。

ここにも殺風景極まりないソーラー畑をこさえるつもりか、
ヤツらは。


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西風の強い日は雲の流れも当然早く、事前予報がアテに
ならないってことを忘れておりました。

陰りの中で枝を揺らす淋し気なを見上げ、「やっぱり
バイク乗りの勘が戻っていないなぁ」とボヤくきつねメ。


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ベストな頃合いはあと数日後か、と堤防へ上がって振り返り、
しかし愕然とする光景に「やはりそうか」とショックを受けました。

本当は分かっていました。県内では2年前に報道されていたから。
でも、いくらなんでも根こそぎバッサリ行かないだろ、とも。

いや甘かった。まさか本気で「全部」やっつけちまうとは・・・。


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そこにはもう過去の幻を重ねて眺めることも出来ない程、
変わり果てた川縁の姿しか残っていなかった。

誰が一昨年までの、あの一面淡い桃色に包まれた景色を
この画像に対して思い描けるだろう。

実際に目の当たりにしてもなお信じられない衝撃だった。


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道行く誰に訪ねても「残念としか言いようがない」と肩を落とす
護岸工事のための並木の撤去。

大震災がソーテーガイのキョーフという後押しの武器になった
ことは疑いの余地が無い訳だけれども。

しかし「そうまでして」「何が何でも」必要な工事だったのか?
市民の宝物だったたちを断たずに施す余地は無かったのか?


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あの甘やかな香りに満たされ昼酒を酌み交わすオジサンたちも
のびのびバレーボールやサッカーに興じる子供たちも、或いは
堤に座ってお菓子を片手におしゃべりする学生たちの姿も。

多分きつねメが生きている間、もうここに見ることは叶わない。

せめてもの抵抗、露店で買うつもりだった焼きそばをコンビニに
求め、オニギリを乗せようとしたら・・・巻くつもりの海苔は
秒速20mで護岸の彼方へ去って行ってしまいました・・・嗚呼。


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瞬く間に冷たくなってしまった焼きそばを無理やり平らげ、
ダダ下がりなテンションで「長居無用」と背を向けるきつねメ。

胆沢ダムは昨夏訪ねているし、県13を帰るのもありきたりだし。
ここは久々にR4を向こうへ渡り、北上川沿いに北上しようか。

確か県14が東の川縁に沿って延びていたはず、と。


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往路で使った県37~広域農道に比べるとダイナミックさに
欠ける、集落を繋いだ割とちまちました印象の強いルート。

それでもR4よかマシかな・・・と走り出してみたら意外な程
更新されており、存外快適に流せるようになっておりました。


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コーナーリング自体は好きだけれど、スポーツスターはやはり
ドーン!と豪快に突き進む走らせ方の方が向いているからね。

なかなか止まぬ頬を冷やす強風から早々に逃れるためにも、
江刺界隈以外ゴチャゴチャの無いレイアウトはありがたかった。


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あまりの寒さに身体がこわばり「40~50km置きの休憩」という
マイ・ルールをも自ら破って、ほぼ一関から花巻までイッキ走り。

いつもの「滑走路の丘」へたどり着いても安堵感は皆無のまま、
逆にむしろアジトへ着くまで気が抜けないようなマインド。

缶コーヒーの味を感じる余裕もないなんて、余程のケースです。


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北西からはヒタヒタと不気味に迫る、不吉に低い雲の絨毯。
今朝何度も確かめたはずの降水確率すら、ハズレかよ・・・。

この直後にシールドをパタパタと雨の滴が叩き始め、いよいよ
腹を据えて帰路へのクラッチを繋ぎました。


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「来るなら来い、残り40km突っ切り通してやる」という覚悟と
「ここで気を抜けば確実に風邪を連れて帰る」という不安と。

それでもどこか心の隅で「バイクってそういう乗り物だったね」
と奇妙な懐かしさを感じながら、スロットルを開け続けます。

幸いにも結果オーライ、小雨に祟られた区間は僅か数キロ。


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夕暮れ前に10リッター強の新鮮なハイオクをタンクへ注いで
アジトに無事たどり着き、まずはヒーターとお風呂を焚いて。

くたびれた身体に鞭打って、愛馬の汚れを落としてやります。
しかしこの後、今まで経験したことのない症状が・・・。


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なんぼ長風呂に浸かろうがヒーターに当たろうが全く身体が
暖まらず、たまらずベッドに飛び込んでしばらくダウン。
小一時間ほどウトウトして、ようやく気力が戻って来ました。

アレもある種の低体温症だったのかな・・・自分でもビックリ。

いずれにせよ今年の当地、「本番」はもう少し先の様子です。

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寒の戻りの黄昏どき、ジェーサンに逢いに。







今週はとても狭いスペースで力技を駆使する仕事が続いていて
肩から下の上半身はギシギシガタガタ、くたびれ切っている。

でも寒の戻りの黄昏、このまま一日を終わらせたくない気分が
ふと湧いて、車庫からロードスターを引っ張り出した。


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フューエルワンを添加しているとはいえ、タンクのガソリンは
4ヶ月も前に入れたもの。早めに使い切った方が得策だ。

なーんてね、それは無駄走りに対する、後づけの理由。
バイクを出すには風が冷た過ぎただけさ。


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行く先も決めていない、気ままに流して気分転換出来たら
それでいい。

ムキになって飛ばすでもなく、淡々と郊外の道をクルーズ。
結局、気に掛かっていた「アレ」のある空き地に着く。


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最近妙にJEEPとリンクする出来事が続いているせいなのか。
ようやくじっくり眺めに行く気になった、長期放置のJ-3。

かまぼこ型のリアウィンドウ、テールランプも赤丸一灯。

実はコイツが「岩1」のナンバーを下げていた現役時代。
ゲレンデへの道すがら、なんと追い越されたことがある。


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小さく軽いボディに地力の強いガソリンエンジンのコンビは
とても俊敏、イメージを覆すには十分なインパクトがあった。

きつねがコイツを気に掛けているのは「かなり古いもの」を
示すディティールに魅かれるからだ。

青い丸で囲ったフェンダー先端が、分かるだろうか。


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これは別の場所で撮らせてもらった画像なんだけれど、
`70年代以降のJEEPは猫の手のように曲がっている。

フェンダーそのものも広く、テールライトにもちゃんと別建ての
ウインカーが装備され、案外に佇まいが異なる。

一説によるとナロー時代の車輛は国防スペック重視の仕様で
後のJ50/20とは至るところの品質が違う、という噂も耳にした。


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それにしても・・・1月の朝、一面白銀の県道で先輩の駆る
GC8WRXを追い越して行ったのは、20年も前になるのか。

ステップ周りはグズグズに朽ち、フロアを突き破る木すら
伸びた先の車内で立ち枯れていた。

あれからコイツの身に何があったのか。溜め息が漏れた。


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自分のNAロードスターを軸にしても、乗り手の愛情を
受けて輝く個体、路上に在りし日の面影を既に失った
個体、どちらも沢山目の当たりにして来たけれど。

先日出会ったウィリスを、あのJ-3みたいな悲しい骸に
させてはいけない・・・と強く思った帰り道。



只の機械、只の工業製品、只の自動車なハズなのに。

命の光の有無みたいなものを感じるのは、何故だろうね。

tag : もの思い ロードスター 旧車 JEEP J3

果たして何が導いたものなのか・・・。~思案と葛藤の出会い~







またしても肌寒い雨に祟られた休日の午後、さすがにきつねメ
退屈なオヤスミを無為にやり過ごすことへ抵抗を覚えた訳で。


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ふと宇霊羅なる忘れかけたキーワードが脳裡に浮かんだため、
馴染みの食堂で期待を裏切らぬネギ味噌ラーメンと格闘しつつ
ちょっとばかりの遠出を企ててみたんだけれども。


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昭和40年台前半には貧しい寒村揃いだった岩手じゃレアなはずの
高価な舶来トラクター、岩9ナンバーを下げたインターナショナルに
出会っていた時点で、この日は「何か」が取り憑いていたんだろう。


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友釣り漁の要領ではないけれど、こういう時は不思議なもので。
旅先へ向かう時に予兆的なものを見掛けることが、ままある。


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宇麗羅の里は現バイパス国道から一本逸れた旧街道筋にて
ひっそりと存在していた。

貴方がその読み仮名をストレートに解読出来ないのであれば、
「今回は御縁がない件なんだね」と巣通りで去って行けば良い。


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「通りすがりの兄やん、モノの値打ちが分かるヤツにだけ
アイツと対面出来る道筋が自然に開けるモンなんだよ。」


きつねの来訪を待っていたように止んだ雨上がりの商店街。
いやいや俺はただ、道中で綻んだ桜に導かれただけなのさ。


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複製品ではなく、長年の手入れで往時の建物が健在している。

それにしてもシブいよ。年に数回は通っているルートの外れに
いぶし銀のこんなストリートが残されていたとは、知らなかった。


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漆喰の白壁を持つ蔵はリニューアルで若返ることも出来るけれど
「崩れる三歩前」で踏ん張るリアリティを湛えた土蔵は、珍しい。

かつて盛岡市内で目に出来たのは、もう四半世紀前の事だから。


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通りに面した巾も奥行きもデカい旧様式建築の「あるある」好例。
視界に入った瞬間の佇まいから、きつねは商標を悟っていた。

我が街の「菊の司」や「あさ開」もコレに似た外観を保っている。
こんなケースは大抵、土着な老舗の造り酒屋さんなんだよね。


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最高気温が10℃に達しない人影まばらで中途半端な初
土曜日。

うっすら陽光が元気を取り戻してかすかに青空も見え始めた
その時、ふと得た視界にきつねのアンテナが振れてしまった。


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ほの暗い車庫の向こうに見える後ろ姿は、ワンテールのJ3?
否ステアリングが右側に無い・・・レフティの三菱ウィリスか?

しかし盛岡近郊で気に掛けている、かつて「岩1」ナンバーを
掲げていたナローのJ3とも何処かディティールが違っている。

しつこく道路沿いから眺めていると、傍目には完全な不審者。
こんな時には勇気をふり絞り、正面突破を試みるべきだろう。


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「あら、ニイサンもあのテがお好き?存分に見て行って!」
そろそろ70代と思しきオカミサンは、笑顔で迎え入れてくれた。

「邪気を含まぬ純粋な心で接すると初対面でもこんな場面が」?

否、多分違う。ヒトならぬ何かがセットアップしてくれた必然だ。
そうでなければピンポイントでこんな案件に遭遇する筈もない。


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果たして乗り物半妖怪たるきつねが御対面した相手は・・・

もしやと?勘が働いた通り、当の三菱ジープの母体となった
本家のWWⅡ ウィリスMBだった。

残念ながらオーナーである旦那さんから直接詳細を訊く事は
叶わなかったけれど、大震災前年を最後に休眠しているとか。

戦前生まれの亡父が少年時代に見た「進駐軍のJEEP」を前に、
オカミサンはこうのたまったのだ。

「もし良かったらアンタ、このクルマを引き取る気はない?
ウチのダンナは目が衰えて、もう乗る事が出来ないのよ。」



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一年ぶりに訪ねた砂浜、水平線を眺めながら友人に電話。

「成り行きは分かったけどソレは多分誰にも乗りこなせない。」

「だね、全段ノンシンクロのミッションは俺でも扱えないもの。」


熱意と幾許かの維持費が用意出来れば、まだ路上に還れる。
逆に言えば、精気が宿っている今のうちに活かすべきだ。

但し部品供給率こそ万全な反面、並みの旧車とは別の意味で
70年前(!)のJEEPはとても高いハードルを抱いているのだ。


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クルマを健康体に戻す事は出来ても、ソレを運転すること自体が
今となってはかなりの修行を要するかもしれない。

「真ん中のペダルがスロットルだった」という戦前期のダットサンの
変則レイアウトを思い浮かべるきつねメ。

JEEPには、強烈な思い出も思い入れも語り尽せないほどある。
決して嫌いじゃない、むしろ好きなクルマのTOP10に入る存在。

でも遺構級のウィリスとなると多分「クルマとして扱えないクルマ」
俺の許には引き取れない。もし魅力的な値を提示されたとしても。

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tag : もの思い ウィリスMB JEEP wwⅡ 宇麗羅

冬眠明けのチャリ散歩、後日談。 ~「忘れ物」の装着を語る~







少し前のブログで「春のJ-POPに名曲多し」と書きましたが。
4月をテーマにしたものには、戸惑いと決意を描いたものが
多いように思います。


そんな中から、心情描写が図抜けていると感じる一曲を
今日のTOPに。


゛網棚の雑誌のように 心の叫びを 読み捨てないでね゛


不意に胸を突く一節。詩人としても非凡です、辛島女史。


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運良く休日が毎回好天に恵まれた3月下旬は「セローだ
ゴリラだミニベロだ!」と冬眠明けラッシュで、さながら
早春祭りの様相を帯びていたきつめメでありますが。

実際この時期の盛岡はまだまだ三寒四温でアタリマエ。
昨日の朝は屋根に薄雪を乗せたクルマの姿もチラホラ。


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そんな訳で前回は空模様も冴えず、小雨降る肌寒い休日。
洗濯機を回しつつブログUPし、服を干しているところで来客。

昼飯をコンビニ弁当で済ませ急遽の野暮用をやっつけた後は
もう日が暮れるまで大した時間も残っておらず。

結果、整骨院に出向いた足でマチナカ温泉へ寄ってオシマイ。


すげーつまんない。でも雨に祟られるとそんなモンよ(笑)。
ということで、今日は小ネタだけ。


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ところでブルーノ号を散歩に連れ出した際、花巻に着いてから
「ありゃあ、そうだった!」と気付いたことがありまして。

ハンドルに用途不明の変なブラケットが付いていますよね?

きつねンちの自転車には、一時期某所で特価販売されていた
この手のLEDヘッドライトを組み付けていたのですが。


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コレねー・・・材質が良くないのか、或いはきつねメの扱いが
手荒過ぎたのか、とにかく壊れるんです。

◎ 電柱に立て掛けて置いたら転んだ→基部からモゲた
◎ けーたろーに積んだり降ろしたり→本体そのものがモゲた
◎ ライトをブラケットから取り外す→ブラケットが砕けた

ブルーノに付けていたものも昨秋イッたまんま、忘れていました。


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「そう言やあ、バイク散歩のノリでペットボトルのお茶買おうと
したら積み場がない、って場面もあったね。」



サウナでのぼせた身体を露天風呂のチェアーに委ね鉛色の
空を眺めていたら、ポツポツ思い出したことがあったモンで。

日の暮れた街を遠回りしながら調達したのが、この二品。


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最寄りのホムセンで購入したのはミノウラのペットボトルゲージ

いや、思いつきの買い物は不注意なモンで、危うく専用の
ボトルしか装着出来ないモデルを買うトコだった。

粉末ゲータレードやNCAA(←いつの話だよ俺)を溶かして
支度するほど、きつねはマメなアスリートぢゃありません。

希望していたアルミ地色より重く見えるか?と思ったものの
チタン色でも案外軽い色味で、マッチングは悪くないかな。


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ヘッドライトの方は、なんと「百獣百均の王」ダイソーもの
(この辺りに貧乏性のなんちゃってチャリダーismが。笑)

基本的に陽の照っている時間のみ走らせる想定なので、薄暮や
トンネル等でのアピールが望める程度の明るさで良し・・・です。


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それにしても「本体丸ごとシリコンゴム、輪っか引っ掛けるだけ」

セオリー通りな装着手法を守ったままコストダウンを図ったために
やたら壊れていた先代ライトと比べ、大胆なまでに真逆の発想。

サイズ的にも構造的にもまず壊れることが考えられない点で、
既存の専業メーカーからは出て来ないアイデアかも。

「たかが税抜き100円だろ?品質とか耐久性とか大丈夫?」
疑問を持たれるのもアタリマエっちゃアタリマエなんですが。


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中古品屋のバックヤードから蘇った普段遣いの折り畳みチャリ、
ゾンビR号で一年間試用しても、特に故障も発火も爆発も起きて
いません・・・少なくとも今のところは(笑)。

「仕事でコキ使ったら1か月持たずに1時間遅れるようになった
500円の腕時計」
なんていうシロモノも過去に経験しているので
「諸手を挙げての百均バンザイ」とは毛頭考えていませんが。

毛嫌いせず眺めに行くと、たまに面白い優れものもあるよ、と。
そーいうノリなんでありますよ。


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因みにウチのブルーノ、時折り「素敵な自転車に乗ってるねぇ」
「どこの国の?髙かったでしょ?」とお声掛けを頂くのですが。

きつねメが心秘かに狙っていたモデルを友人が先に購入するも
その乗り辛さに一年で愛想が尽き、二万円で譲ってくれた次第。

※数年前にフレームの設計が見直されたそうなので、おそらく
現行のミニベロ20はもっとマトモな操縦性だろうと思います。



ウチの乗り物は殆ど、半妖怪のインチキぎつねに似つかわしい
そんな訳アリ物件・・・決してオカネモチぢゃないのです。


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気付けば二回続けてチャリンコ話になってしまいましたが、
当ブログのジャンル枠は基本「エンジン付き」の方ですから。

最後に一枚だけ、冷たい雨の休日に見掛けた珍しいヤツを
添えておきます。


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ミラーに一瞬映っただけで思わず「おっ!」と声をあげてしまった
絶滅危惧種のターボⅡ・ブルドッグ。

インタークーラーのないターボⅠですら、雨上がりのスタートでは
2速でもホイールスピンが止まらなかったヤンチャぶりが蘇ります。

久々に出会った懐かしく白い猛犬のドライバーは、うら若き女性。
いつかどこかで逢えたなら、是非おしゃべりしてみたいものです。

テーマ : 自転車
ジャンル : 車・バイク

tag : もの思い 冬眠明け 自転車 ペットボトルケージ ダイソー ミニベロ ブルーノ

プロフィール

狐ヶ丘 紺之介

Author:狐ヶ丘 紺之介
1970年生まれの乗り物好きな中年ホンドギツネ(オス)。
クルマもバイクも好きなのに、精神構造が基本アナログ。
四輪はM/T派、二輪はキャブ派という典型的な昭和男。

ニンゲンに化けたは良いものの21世紀の流れに乗れず、
世間と森の境目辺りでひっそりブログを綴っております。

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