アオハルのカケラを、ポケットに。








きつねはここ最近、カップヌードルのCM・「アオハルかよ」シリーズ
ある種の感銘を受けている。


誰もが知っているアニメのパラレル・ワールド、という設定は当然
受け手の賛否も真っ二つに割れる。

それは企画した時点で折り込んでいるはずの、勇気が要る素材。
僅か30秒という舞台の上、見る側の胸ぐらをグイッと掴む試みだ。

しかもコマーシャルという土俵で画もストーリーも、あのクオリティ。
きつねは素直に、感嘆したのだ・・・嗚呼、すげぇなあ・・・ってね。


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思春期の恋心を切り取った、ちくりと胸が疼く繊細な描写も響く。

持て余した切なさにいてもたっても居られず、「好き!」と想いを
ぶつける純粋さに、オッサンはたまらず目を潤ませてしまう。

過ごした月日と共に無意識に、日常の重しで巧みに封じた感受性。
その蓋を不意打ちで開けられたように、こみ上げる感情があるから。


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そんなわけでバックに流れる曲を改めて聴き直し、「ほおおっ」と。

パズルめいた散文詩的なワードの中に、変わらずフジワラくんの
誤魔化しなく刃を己に向け身を削った言葉が、散りばめられている。

いまのJ-POPでこれほど誠実な詞を書ける人は、相当稀有だろう。


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忘れたことにする・無かったことにする・見なかったことにする。

誰にも反論されない上辺のキレイゴトで完パケ出来ればオッケー。


彼はそんな自分へのウソと妥協が許せないのだ、怖い事だけれど。


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制約の中でクリアになる本質、か。


「用足し」ではなく「走る事」を主題にして、ゴリラで出掛けた午後。

そこから、ああそうだよね、そうだったよ、と得心することもある。

きつねは何故オートバイを好きになったのか、好きで居続けるのか。


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身の丈よりも向こうへは飛ぶことの出来ない、小さく儚いこの翼が
とつとつと語りふつふつと呼び起こす、「あの日の気持ち」。

距離、速度、馬力、ステイタス。否、欲しかったものは数字じゃない。

夢の中の出来事みたいにもっと曖昧で、もっと心の揺れる「何か」。


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止まれば転び、後戻りの術も持たず、雨にも風にも逆らえない。

そのくせ、他者の間に紛れれば疎んじられ、自分のペースでしか
走ることが出来ない。

生みの親たるメーカーから、はっきりサヨナラと告げられた存在で。
それどころかカテゴリーそのものが近く消えるかもしれない存在で。


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72ccの小さなゴリラは、どうにも縛りが多くて窮屈で不自由な乗り物。
しかしその歩幅と視点から、オートバイの本質を教えられる。

「実用性能を求めるなら、もっと大きいタイヤと90ccのキャパが欲しい」

「だから皆、もっとラクで安定感もある実用的なカブの方を選ぶのか」


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アタマの片隅をチラリとCS90ベースのカフェ・レーサーなんかが
駆け抜けて行ったりすることもあるけれど。

きつねは青臭い気分が首をもたげて来る都度、コイツでぷらぷらと
季節の匂いを拾うため、きっと四季の田舎道をまた目指すのだ。


街からガソリンスタンドが消えてなくなる、その頃までは・・・ね。


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ねぇ きっと 迷子のままでも 大丈夫 僕らはどこへでも
行けると思う

きみは知っていた ぼくも気付いていた 終わる魔法の中に
いたこと

掌の上の 動かない景色の中から ぼくらが ぼくを見ている



(BUMP OF CHICKEN 「記念撮影」より抜粋)
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テーマ : バイク
ジャンル : 車・バイク

誰も知らない DEAD or ALIVE ~台風一過、伐採林道の死闘~









天気予報は「曇りのち雨」。でも、陽光に照らされ目が覚めた。

まずはパソコンを叩き起こして、一時間予報とニラメッコ・・・。
うん、雨が降りそうなのは15時を回ってからだ。

なにしろ今は、バイクに乗らずににいられない最高の季節。
行けるモンなら、走り出さないテはないだろう。


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大丈夫、西の山に雲が掛かり始めてから帰っても間に合うかな。

ホントはまた「未知の道」を探って、冒険したいところだけれど。

まあ今日は昼過ぎぐらいに帰途に着ける、近場で遊ぼう。


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いつもならS神社脇から登坂を開始する、お馴染み林道。

ただ、一度だけ見つけたことのある「幻の丘」の入り口を
確かめるには、南の逆回りにヒントがあるように思えた。


・・・ん?こんなところに脇道なんか在ったっけ・・・?


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いらっしゃい、と誘わんばかりの砂利敷きは数百メートルで終了。

ちょっとした広場の先は、マディの匂いが濃厚な赤土の細道。

なにしろ台風一過から僅か数日、掘れているとしたら相当深い。

コイツは罠フラグなのか、はたまた知られざるルートの始まりか。


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まだ真新しい幅広なキャタの轍が、キレイに沢掘れを潰している。

お陰で道沿い、縦方向の溝は皆無なのだが、しかしヨコが深い。

延々アップダウンのラクダこぶ、ザブザブと水溜まりを突っ切る。

ビビッてスロットル閉じると、次の坂でレロッて登れなくなるから。


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木々の間に間に差す明るい9月の陽光が、おいでおいでと誘う。

ついつい午後の予報の傘マークなんか、忘れちまうんだよなあ。

マッドな路面に尻を振ってもマインドが背中を押す。イケイケだ。


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後から思い返せば、予兆を感じていた。そう、確かにこの場所で。

*sei姉の言葉を思い出す。「謙虚に向かい合い、心の声を聴け」。

チラリ小さくよぎる「この先はマズい」という予感に、従うべきだった。


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予感の元は、坂の角度。ここに至るまでより、微妙にキツく見えた。

そう、手前の凹に出来た水溜まりも相応に深かったのだ。

勢いよくツッコんだセローのリアタイヤは、しかし窪みに負けて掻く。

ブロンッと最後の声を上げ、そこでエンジンは止まってしまった。


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セルを回して一速で吹かす。1ミリも前に進まずテールが沈む。

いくら前後に揺すり反動を掛けても、左右にすらビタイチ動かない。

慌てるな。セローを斜面から落とした時よりは、確実に勝機がある。

水を抜いて底を手で掘る。邪魔な丸太や枝を掻き出し、放り出す。

少しずつセローが前後に動く。ふと「ホップさせたらよ?」と閃く。


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前足を縮めてポンっとホップ・・・ちょっとずつ向きが変わり出す。

上半身全てを前後に使い、反動でホップ・ホップ・ホップ。

真横を向いたところで一速入れっパ、リアで掻きながらホップ。

渾身の力で泥底を蹴り飛ばしたら・・・一気に、出た。脱出だ。

スタックから一時間、人車共々全身ドロドロずぶ濡れだけれど。


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ヌルヌルと滑るグローブ、クラッチを握る左手が攣って痛む。

疲労困憊クッタクタ、元気のゲの字の欠片もありゃしない。

これがドライだったら道々横たわる伐採の木の枝や幹を見て
むしろ早々に引き返していただろう、伐採林道。

勢い勝負で判断を誤った・・・しかし不思議と負けた気がしない。


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広場まで戻ったところでメットを脱ぎ、グローブと上着も放り出す。

ここでようやく気付いた。もう全身くまなく汗だく、湯気が立っている。

山へ入る前に必ず仕入れる癖がついていた缶コーヒーに救われる。

ホント絶対何かしら、水分を持ち歩くべきなんだなぁ、林道屋は。


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県道を帰る道々、風で冷やされる身体に時折りゾワゾワした。

気を抜かずピンと張って淡々とスピードをキープしつつ、つくづく
思った・・・「スタックしたのが近場で良かった」と。

見た目ドロドロに汚れても「負けた気がしない」理由は、ふたつ。

前回の危機と違い「一度も転んでいない」「セローを壊していない」。


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帰宅するなりビショビショで気持ち悪い衣服を全てタライに丸投げ。

「さて風呂とメシと洗車、どれからヤッツケようかと思案していると
フジツボのエキゾーストを轟かせてギャランに乗ったへーさん参上。

「おー、イイ感じだねぇ。山でずいぶん遊んで来たね?」とニヤリ。
「『遊んで来た』っつーより『弄ばれて来た』って感じっス」とお返事。

徐々に低く厚くなって来る雲を傍らに睨みつつ、小一時間の談笑。


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細部までしつこく入り込んだ赤土の泥を掻き出していると、いよいよ
閃光が視界の隅にチラつき遠く空が轟き出した。

トツットツッと背を打つ大粒の滴を感じて、ガレージの軒下へ移る。
直後にドッと周囲が霞むほどの烈しい雷雨・・・やれやれ、紙一重か。

結局は風呂もメシも洗濯も後回し、本日も我ラマダン也、ってね。


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「お帰りなさい、今日もご苦労様でした」と流れる黄昏のFM聴きながら
ワックス掛けてチェーンの手入れも終え、やっと自分のシャワータイム。

洗剤入りのタライに突っ込んだカーゴパンツやデニムを、ワイン造りで
ブドウを踏むように・・・マッパなオッサンの足で踏んでも色気は無いが。


久々に61kgジャストの値を指した体重計の上で、ホッと安堵の溜息を。


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「二輪二足・行けるトコまで大冒険」は、セローにとってコンセプトの内。
望外な死闘に全身筋肉痛で疲労困憊、でも何故か心身ともスッキリ。


流石に当分勘弁だけれど、全力使い切りのデトックスも、たまには良いか。

テーマ : オフロードバイク関連
ジャンル : 車・バイク

あの頃、アイコニックなカノジョ。







そうかアムロちゃん、来年引退かあ。

毎週「夜もヒッパレ」で大人びた表情と華麗なダンスを魅せていた
あどけない中学生の彼女も、もう40歳になったんだものね。


まずユーロビートのカバーから始まって小室プロデュースに移り。

とにかく出す曲出す曲ヒットの快進撃、FMでも有線でも毎日のように
流れていた時代・・・それはそのまま、きつねの20代だった。


当時はもう好きも嫌いも通り越して耳に入って来る存在だったから
逆に特に意識したことは無かったけれど。

いま振り返ると素直に、「90年代を代表するアイコンだ」と思える。


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しかしなぁ・・・十代半ばでデビューした時から、既にこの完成度。
最初からプリンセスというよりもクイーンの風格を感じたものだった

SPEEDの時もそうだったけれど、沖縄アクターズ・スクールは
`70年代芸能事務所のスタンスをこの時代まで通したことが伺える。

「所属者を『完品』に仕上げてから世の中に送り出すんだ」という
ある種のプライドが伝わって来るんだよね。

反面、最初っからパーフェクトでステージに立ち一発目からヒット。

早くに頂点を極めてしまった故の後の苦悩にも、`70~`80年代の
アイドルやシンガーと共通する影を見てしまうのだけれど・・・。


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あのバブルの崩壊で沈む世情を「まだイケる!まだヤレる!」と
精一杯ハジけて引っ張ったアムロちゃん。

尻切れトンボで突然去るのではなく、自らリミットをあと一年課した
姿勢に、きつねメはむしろ男前な仁義を見て取った。


イイじゃない、やってみたいこと四方八方、ハッチャければいい。


貴女にはその権利と資格がある。「そう来たか!」と世を驚かし
アラフォーの底力を見せつけてやればいい。

「昔のスター」「子供の頃の憧れ」という過去形を打ち破って颯爽と
この一年を駆け抜けてみせて欲しい・・・きつねはそう願っている。


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それにしても、クルマにもバイクにも安室ちゃんの全盛期となった
`90年代に「最後の輝き」を見てしまうのは、俺だけなんだろうか。

テーマ : ひとりごと
ジャンル : 車・バイク

「その気、ミステイク」。







「XXX」を迷いなく「MissTake」と読めるのは、きつねより年上かな。

もっともこの曲自体、覚えているヒトが少なそうだけれど・・・。


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「来週早々また台風が来るらしい」ってんで、今日は午後から
西の馴染みの林道へ出向いて来た。

嵐の後は山の水が落ち切るまで、しばらく路面が荒れるからね。


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ってか、既に荒れてた・・・しばらく来ないとコレだもんなー。

路面が落ちて、ガードレールも支柱ごと宙ぶらりんになっていた。

そんなワケで、まあドコ走っていたかはナイショにしとこうか。


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先月の秋田が豪雨被害に見舞われた時、たぶん道そのものが一度
川になっちゃったんだ。

クラックを避けたところも砂利が締まらず浮石になっていて、とにかく
走り辛いことこの上ない。


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ちなみに西側から入ったら、ソッチはタチキン表示が何も無かった。

デカい四輪でこの状況に出くわしたら・・・って、ここまで来れないか。


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「去年通れた道、春には走れた道が、半年後・一年後にも通れる」
という保証は、ナンも無い。

それが山岳県土の林道/未舗装路。意外と儚いサダメなのね。


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そして何故か東サイドはバリケード封鎖とか・・・きつねメにはよく
分からないのです、オトナノジジョーっていうヤツ。

舗装の路肩が崩れた地点からエリア内全部ダメ、って事だろか。


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「北海道の未舗装県道って、こんな感じなんだろーなー」という
きつねメいたくお気に入りのヒャッハー・ストレートは無傷で健在。


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でも調子こいて行くと、コーナー曲がった途端にそっから先が
「全面沢渡りの刑」だったりするからあなどれない。

時期が時期なら、トラブーツの中がヒキガエルの卵だらけに
なりかねませんよ、くわばらくわばら。


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まだ黄昏まで時間がありそうだから、国道を渡ってもう一本。

なんか様子違うなー、見晴らし良いなー、と首を傾げていたら
ここでも伐採が進んでいた。

よく眺めると等間隔で若木の苗が植えてあったから、慎重に。


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伐採道に化けた枝道から本道に戻ると、凄いヤツが登っていた。

シャレオツなアルミ煽りの4トンなんだけど、キャブの後ろにユニック。


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牧草地のそっちこっちに、軽トラに積めない大きさのロールが。

たぶんあのトラックは、コレを回収しに来たんだろうな。


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・・・この林道を見つけたのは、もう何年前になるんだろうか・・・。

以降もっと長い道や、もっと絶景に通じるルートを知ったせいか
今回は大して気分がスッキリしなかった。


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否、それはどうも「新鮮味が薄れたせい」じゃない気がする。

カメラで切り取った、その中には写っていない状況の変化に
納得が行かなかったのだ。


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きつねがこの道に求めるものは、荒れた路面を走破するスリルや
達成感じゃない。

「あの道を走れば必ず会える、約束された四季の風景」なんだ。


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別に路面が荒れた山を嫌っているわけじゃないんだけど・・・
「ソレを求める心積もりだったなら別の方角を選ぶよ」ってこと。

例えばこってり濃いラーメンを目当てに入った店で、メニューに
あっさり味の中華そばしか無かったら、ガッカリするでしょ?


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今日のところは、「小ざっぱりした醤油ラーメン」で良かったのに。

知っている道の知っている風景なのに、気持ち良く走れない路面。

知っている景色で和みたかったのに、伐採された殺風景な視界。


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繰り返し書くけど、ホント林道って舗装路以上に脆く儚いモンなんだ。

近年の極端な気象が、図らずもソレを身を以って教えてくれている。


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走れる季節に、走れる機会を逃さず、ちゃんと走っておこうと思う。

その時見た景色を、また後で見に来られるとは限らないのだから。


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◎ 追伸 ◎


今回のルートのエダには「チェーン張り」のタチキンがありました。

岩手では、公有地でここまで仕切った林道は相当なレア・ケース。


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裏を返せば、「何かそうせざるを得ない理由がある」のでしょう。

きつねが「モラル上走行不可」と判断するのは、こういう場合です。

テーマ : オフロードバイク関連
ジャンル : 車・バイク

「水平線を眺める」・・・ただ、それだけのために。








スカーンと抜けのいい秋空が広がった、土曜日の朝。

何の脈絡もなく、起きがけに「海が見たい」って思った。

部屋の窓を開けた途端、トンボと共に舞い込む清冽な大気。

スポーツスターがきつねを呼ぶ。俺を遠くへ連れて行け、と。


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選んだ先は、北の海。山をふたつ超えて、片道130kmかな。

優先したいのは距離じゃなく、走りたい道、眺めたい景色。


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アールの大きな大峠、ラインを見定め大外から寝かせに行く。

重く長く鋭角に曲がれないコイツ、弧を描くイメージで線に乗せる。

タイヤ・エッジの機嫌を探っていると、ステップが軽く路面に当たった。


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葛巻の景色は、オートバイとの相性がとてもいい。

山道に入ればセローとも、R281をどんと行くならスポーツスターとも。

いや、オートバイをエレメントとした時、きつねとの相性がいいのだ。


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平庭名物の白樺並木、夏に茂った草がまだまだ元気。良くも悪くも。

だから写真に切り取ると、残念ながらどこの景色か、分からない。

春か秋なんだよ、ここが「らしい魅力」を存分に魅せてくれるのは。


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「この山向こうは風が凪いでいて、日なたは暑いくらいだよ」と。

出会ったライダーの言葉通り、あまちゃんの街は夏が戻ったよう。

スウェットを脱ごうと停めたショールームには、40年前のセドリック。


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冬にだけ走らせているのか、スタッドレス履きっ放しの20系も居る。

沿岸で生き残っている現役は、330共々案外珍しいはず。

地金から浮く塗膜の厚みが、持ち主の思いを言外に教えてくれる。


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ただ海を眺めることの他に、きつねにはなにも目的がないから。

そのままスポーツスターは、トラック行き交うR45を南へ流される。

まだ真新しいサンテツの鉄路の向こう側、忙しそうな重機たち。


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十府ヶ浦。分かっていたけれど、あの景色はやはり還らなかった。

「もうずいぶん久々に訪ねたけれど、全景のシルエットそのものは
変わらないものだね。」

記念撮影を頼まれた福島ナンバーのBMWは、これから帰路とか。


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あぐらかいてアンパンかじって、そのまま昼寝したテトラ・ポッド。

黄昏の浜でひとりギターを弾いていた、旅のブルース・マン。

軽トラ屋台のタコ焼きつついて馬鹿話に興じた、仲良しカップル。

あのたくさんの記憶は防波堤の底へ、モノトーンの眠りに着いた。


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還らぬ日々を嘆くことの向こうに、いつも新しい物語が紡がれる。

それは景色に限ったことではない。そういうモンなのだ、「時」は。

波というカタチで諭す海。今日はグラデーションが掛からない青。


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駅の無い橋の上、キハが止まっている。

夏ばっばが旗を振って見送った浜。娘の春子も、孫のアキも。

三途の川のマーメイド・・・か。すげェ詞を書くよな、クドカン。

さておき、ここで停車するサービスは正解。三陸の絶景、特等席。


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もう一つ二つ下がり、確かめたいことが浮かんで三陸道を降りる。

県44・普代浜で、ホッと安堵した。ここにも「正解」を見つける。

あの頃の雰囲気を守ったまま、より良い姿になっていてくれた。

整形の結果、別人になることなく若返った女性、というイメージ。


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リアス式海岸名物・シーサイドラインの10%勾配ワインディング。

勿論何度も走っているコースだけれど、別種のデジャヴ的な感覚が
ふと芽生えて「?」。

思い出した、確かに似てる。下北の仏ヶ浦辺りに、道の表情が。


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地形の関係なのか、或いは道路を設計するヒトの個性が出るのか。

住人もそうであるように、道路にも「土地の顔」を感じることがある。

コーナーの曲率やレイアウトとカントの角度、走っていて見える風景。

ペースを上げると分かる、リズムと流れに特徴的なクセがあるのだ。


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復興予算とジオパーク認定の相乗効果か、北山崎もまた若返った。

過分なリメイクで厚化粧を施さず、余計な増築もせず、そのままに。

「きれいになったね」って、素直に思える。良いセンス、良い仕事。


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台湾~花巻の直通便が再開されたためだろう、異国の言葉が響く。

きつねがハタチの頃に見た景色、隣りの国のヒトたちも眺めている。

断崖絶壁の故に、震災や津波とは無縁だった風景もあるのだ。


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いままで「観光地の食堂」と偏見の色眼鏡で避けて来たけれど。

汁をひとくち、鼻から息を抜く。たちまち、潮の香が身体に染みる。

価格、質、申し分なし。ライス付けて1000円切る、正調磯ラーメン

ここに泊まらなければ見られない、星空と夜明けの絵葉書を頂いた。


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三台並んだ観光バスに先を越される前に・・・と、駐車場を発つ。

空がひとつの線として切り取られる、長い並木のアップ・ダウン。

片バンク600ccの豪快な蹴り飛ばし、スポーツスターが躍動する。


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そして「お帰り」も勾配10%、アクの強いワインディングに勝負を
挑まれる、というオミヤゲが否応なく付いて来る。

高荷重設定でぶっきらぼうな性格のピレリ・ナイトドラゴン。

減らないのはありがたい反面、正直「二度と履くまい」と思う。


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エンディング、コンクリ敷きの潮かぶりラインは、まさかの原状復旧。

三方を山に囲まれた小さな湾では他に漁港を設定出来る場所が無い。

流石に定住するヒトはもういないだろうけれど、よく元に戻したものだ。


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県44でR45を突っ切り、ここまで信号ほぼ皆無のローラーコースター。

しかしR455に合流すれば、「片側通行」のゴー・ストップ乱れ打ち。

分かっていたから然程ゲンナリしないし、初夏よりその数が減った。

ただ・・・都度エンジンの発する熱が、心配になってしまうだけ。


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岩泉線跡の橋脚に、未だ逆さに張りつけられたままの流木。

廃線となった鉄道の橋ゆえ、片付けを後回しにされているのだろう。

今の川面からは、ここまで到達した濁流の凄まじさが信じ難い。

前代未聞のダイレクト上陸台風、一年を経た現在も尚、爪痕は深い。


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「休憩は岩泉界隈を抜けた後で」と決めて、道の駅・三田貝まで。

同じバイク乗りでもマスツーリング派の人たちはあまり感じないこと
かもしれないことだけれど。

基本ソロの自分にとっては、「道の駅」って大抵アウェー感が強い。


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確かに施設としては至れり尽くせりで、実際助けられることも多い。

でも、佇まい的に「基本コンセプトは四輪向け」という匂いが漂う。

少なくとも大音響のBGMは、演出過剰だと思うんだよなぁ。

不意に空気に雨の気配。降水確率、一日通して0%なハズだが。


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カン・・・カン・・・カンカンッと、シールドを撃ち始める大粒の雨。

嗚呼、どうにか早坂トンネルに救われた。

延々トリッキーなつづら折れが続く旧道の長さを知る身としては
余計そのありがたみに、首が下がる思い。


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山ひとつ丸々くりぬいた全長3km超のバイパス・トンネルなだけに。

抜けた先では期待通り、天気も変わっていた。

標高1000mに引っ掛かった雲だけが、あの雨を落としたのだろう。

「山岳県土ツーリングあるある」と笑っていられる状況で良かった。


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レストハウスまでひと息に駆け抜ければ、後はもう勝手知ったる
かつてのホーム・コース。

「あっ、そう言えば今日は『ツールドみちのく』の一日目だった!」
と、ここまで来てから思い出す黄昏の湖畔。

一瞬ガッカリしたけれど、でも後悔する気持ちは湧かなかった。


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長雨の8月の日々が、気分のベクトルを切り替えたのだろう。

今は「イベントに合わせて動くこと」より、「自分のしたいこと」を。

寝かせた方へ自然とフロントタイヤが向く、オートバイのように。

心の趣く方へ、素直に舵を切っていたかったのだから。


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秋の水平線と潮の香が優しく揺り起こしてくれた、胸の奥の旅心。

さて、何処へ足へ伸ばそうか・・・と。

アジトの壁に貼られた勤務表とニラメッコする、きつねでありますよ。

テーマ : ツーリングレポート
ジャンル : 車・バイク

プロフィール

狐ヶ丘 紺之介

Author:狐ヶ丘 紺之介
1970年生まれの乗り物好きな中年ホンドギツネ(オス)。
クルマもバイクも好きなのに、精神構造が基本アナログ。
四輪はM/T派、二輪はキャブ派という典型的な昭和男。

ニンゲンに化けたは良いものの21世紀の流れに乗れず、
世間と森の境目辺りでひっそりブログを綴っております。

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