デタラメ中年ぎつねによる、かもしかテキトー修理忘備録。 







本日のTOPには、昨今のFMによるパワー・プレイで耳にした中から
きつねの胸にずっと引っ掛かっている一曲を挙げてみました。

一聴するとキャッチーな詞ばかりに気を引かれるけれど、こういう
奇をてらわない正攻法のメロディと音作り、リリックの乗せ方は好きだ。

クレードル・フレームにキャブの空冷エンジンみたいな取り合わせかな。

メッセージそのものは聴き込んだ結果「共感もしないが反論もしない」。
持論を言い切る訳でもなく説教に徹した訳でもなく、最終的に独り言。

面白いことは面白いけれど、この辺りは作ったご本人がおそらく一番
分かっていることではないのかな・・・・と感じます。


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「自作を商品として世に出して、支持者に相応の対価を支払って頂く」。

なんかもういろいろ「プロになる」って大変なことだね、なんて思いつつ
ド素人ならではの生半可なバイクいじりにひたすら励む中年ぎつね。

本職から見たら、「おいおいそれはよ」とツッコミどころ満点なことも
分かりつつ「だってコレ俺のだもん。廃車になるまで乗り潰すもん。」
と、たぶん間違いだらけのメンテナンスを続けております。


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「座金代わりにガスケットを入れるようなビスに、バイスプライヤーで
つまんだ跡の修正を掛ける」←プロの世界じゃ許されませんね(笑)。

いや、そこまでしないと外れないほど固着しているとは思ってなくて
新品を用意していなかったんです。あくまで応急処置なんです。

せめてナベビスじゃなく6角ボルト使っていてくれれば良かったのに
(ヤマハってこういうトコ、結構あるよね。オイルフィルター周りとか)。


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で「何をしていたのか」と申しますと、セローの燃料漏れの修理です。

セロー225系を長く愛用されている方ならお馴染みのオヤクソク、
「びっくり顔の憎めないアイツ」は2年前に交換してあるのですが。


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どうも昨夏辺りから「持ったり撒げだり漏れたり止まったり」の
いやらしい雰囲気で滲みを発するようになりまして。

「あーこりゃあいよいよ、コックの付け根の方だよなー」ってえことで
シーズン・イン前にパッキンの総取り換えを決行した次第です。


っていうか、なんで口金から取れるんだよ燃料ホース(後ほど再圧入)。


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タンク内部のサビ対策として冬眠前に一杯に満たしていたガソリンを
けーたろーへ寄付して、外して裏返してドーン。

実はタンクを外すのを怠け、車載状態のままコックだけ外そうとしたら
取付ビスが固着していて苦戦し、前述のような憂き目に逢った・・・と。


まあ結論から言うと「タンクを外して再挑戦しても、バイスプライヤーの
お世話にならざるを得なかった」んでありますが。


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いざ本体を根っこから取り外してみれば、やっぱり原因はコレかぁ。
タンク側がくっきりピンク色にガソリン焼けしているもんね。

修理とは関係ない話だけれど、ここまで作業して嬉しかった発見は
「タンクの中からサビが一つも出て来なかった」ということです。

新車の頃から30年近く、現役のまま走り続けて来たからこそ、かな。


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磐田の工場をラインオフしてから今日に至るまで、お役目ご苦労様。

って、当のパッキンもまさか四半世紀過ぎるまで延々働かされるとは
思ってもいなかったでしょうけどね。


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新品パッキン全交換。嗚呼ロングセラーならではの安心な品揃え。


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そしてプロなら「そこカッター使っちゃダメだろ」と指摘を受ける本体の
ガスケットのカスも、手許の道具でヤッツケてしまうデタラメぎつね。

※相手が柔肌のアルミなので、鋭利な刃物で安易に削ぐとキズが
入るのよ。本職ならガスケットリムーバーを使うところかな?


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ついでに「びっくり顔のアイツ」と「それを囲むOリング」も再交換して
ゴムに優しいグリスを塗り、コックの整備はオシマイであります。


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作業後に再びガソリンを満たし一晩置いても滲んで来なかったので
今期こそ、もうあのイヤな滴りとは THE GOOD-Bye@野村義男


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それからついでに「そろそろ寿命が怪しいゴムモノ繋がり」ってんで
吸気系の方にもきつねの手(否むしろ前足?)を伸ばして行きます。

いやほら、昨夏エンジン周りのパッキンやガスケットで立て続けに
イヤンな思いを味わっているので、ヤレるトコはヤッとくべ的なノリで。


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ここで「へぇ!」とつい思わず手(否むしろ前ry)が止まったのは、
意外な設変・・・くねったところでツブれないように、太いリブが
追加されてんのね・・・。

取り外した古い方は確かにココの径が痩せていたので、以前何か
コレに起因する息詰まり的なトラブルでもあったのかしらん?


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本当はそのままクリーナーボックスへ差し込みたかったんだけれど、
くびれが二段構えになっているので押し込めず、泣く泣くボックスの
蓋を全部外して引き込みました。

俺、アレ嫌いなんだよ・・・やたら沢山のタッピングビスで押さえているし、
そのビスの向きが畑中葉子もそこのけな勢いの「後ろから前から」で
指が入りにくいし入れ辛いしまさぐりにくいしってナンの話だヲイ。


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あの曲を紗倉まながカバーしていた事実に秘かにココロ震わせつつ
エンジンとキャブの狭間で働くインシュレーターも交換致します。

パーツを発注した先のオヤジさん曰く「インシュレーターそのものより
エンジン側に付くOリングのヘタリの方が妖しい」とのことでしたが。


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いざフタを開けてみれば、「あー・・・やっぱりなぁ・・・」っていう感じ。

実は10年前の車両購入後、わりと早い時期に一度取り換えていて。
その時に外したお古は、ここまで分かりやすく劣化していなかった。

それでも新品装着後は「おやっ?」とハッキリ分かるぐらい元気に
走るようになった記憶があるので、今回も換えて正解かな。


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「表面に症状が見られないほど微細なクラックからも二次エアを吸う」
という経験からすると、昨年後半に感じていたパンチ力不足の理由は
ここにありそうです。

とかエラそうなこと言いながら、上に付いているキャップの発注を
見事に逃している辺りが「ダメぎつねイズム」の真骨頂と言うべきか。


だーかーらー、シューグー塗って誤魔化すなよ俺(応急処置だよう)。


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♪もう涙は要らない 新品がここにあるから♪とマーチンのバラードを
口づさみつつ(芸術選奨受賞おめでとうございます)、ついでのついでの
またついで・・・昨年チェックのために一度外しつつ古いガスケットのまま
組み直していた、カムチェーン・テンショナーも。

「思いつき作業あるある」の敗戦処理、世間ではこれを四文字熟語を
用いて「二度手間」と称しているようでありますね。ふむふむ。


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そして六角レンチを削ったインチキ工具にてスプリングを巻き巻き、
手のひら(否むしろ肉球)で抑え込みつつ再度の組み付けをば。

て、あっ、つっ、攣った・・・あ痛たたた・・・お、親指がぁ・・・(涙目)。


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ありえない方へイナバウアーをキメて反り返ったまま元に戻らない
親指の痛みに四回転トゥーループと三回転サルコウで身悶えしつつ
(ハナシのボリューム当社従来比約167%増)、しばし作業を中断。


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「あーもう、いきなりやり慣れないことするモンじゃねーなー。」と
ぶつくさ言いつつ、やっと元に戻ったナイーブでナーバスな右手
(否むしろry)にプライヤーを掴んでおっかなびっくりブローバイの
ホースも交換し・・・ふう、どうにか夕暮れ前に終わったぞ。

これで今春予定していたセローの作業メニューは、一応完了です。


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フロントフォークのオーバーホールとシートのアンコのリニューアルを
12月に終えていたことも相まって、冬眠明けのテストランを迎える日が
一層待ち遠しい早春なのであります・・・否、「ありました」・・・か。


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ロードスターが車検整備を受けている間に・・・とスポーツスターや
セローの春支度を済ませ、「さて次はガレージの整理かな?」と
溜めに溜めたジャンクパーツや廃品を片付けていたところ。

うっかり数年振りに喰らってしまいました、魔女の一撃・ぎっくり腰。

靴下や下着を履き替えようと屈んだら、立ち上がる瞬間にガクンと
力が抜けて膝から崩れ落ちたので、自分でも何が起きたものか
一瞬状況が掴めませんでした・・・(怖)。





なにしろコルセットをキリキリ巻いても歩くも立つもままならぬ状態故
少々お暇を頂いたものの、裏を返せば「腰以外は至って健康体」。

あまり寝たきりでゴロゴロしていると精神面まですっかり病人モードに
陥ってボケそうで、体調を見計らってはブログを書いていた次第です。

春の予兆に浮かれて動き出すと、冬眠期間中には使っていなかった
身体のあちこちが付いて来られず、こーいうことになるんですかねえ。


無理して不調を引きずって「ガラス腰に消えた夏」とならないように、
しばらく養生しまーす・・・しくしく。
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ジャンル : 車・バイク

ユメノ ジドウシャ。 ~クマ師匠への私信~



※今日のブログの主題は「お手紙」なので、いつもと違う手法にて。


クマゴロウ師匠、いつもお世話様です。
昨晩は電話でのヨタ話に長々とお付き合い頂き、恐縮しております。

うっかりヤッつけちまった腰の方は、湿布と痛み止めが効いたのか
今は椅子に座ってキーボードを打てる程度に収まっております。

で・・・その「宝くじと現実の狭間のクルマ選び」という会話の中にて
きつねメが長く片想いしているスポーツカーの動画を載せておきたく
ブログを書いている次第なのです。





これが、若き日に霧雨そぼ降るホームコースをゼファー750で追った
DARE GINETTA G12。

いかに血気盛んな山賊時代とは言え、この時の追撃はトンビの矜持を
賭けての一騎打ちを狙ったものではなく。

どうしてもオーナーと話してみたかった、じっくり拝見したかったのです。

最終的にはコースにガスが掛かり、ズブ濡れの身体の凍えに負けて。

相模ナンバーを下げた我が憧れの白いG12は、雨に咳き込みむずかる
キャブをあやしながら、霧の彼方へと姿を消してしまったのですが・・・。





そしてこれも電話の中で話した「FRの方のジネッタ」、同社のG4です。

「古典的でコケティッシュな外観に騙される人も多いけど、中身は野獣。
FRPのガワを被せたスーパー・セヴン。優雅に流せるクルマじゃない。」

上記は、運良く助手席に乗せてもらったことのある知人の言葉です。


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もしクマさんの二輪所有歴で例えるなら、おそらくドゥカティ900SSとか
あのLC4を積んだKTM 640DUKEに匹敵する、獰猛で辛口なクルマ。

維持にしろドライビングにしろ、マシンの側から差し向かいの勝負を
常時挑まれるようなアブないシロモノなのだろう・・・けれど。

非の打ちどころが見つからない程美しく心を鷲掴みにするスタイルと
裏腹に抱き合わせた劇薬が招くエクスタシーは、良くご存じですよね。

しかし凄い話です。こんな野蛮なクルマを、少なくとも10年前にはまだ
新車で売っていた(!)のですから。


※ジネッタ社自体はレーシングカー・コンストラクターとして現在も
操業しているらしいのだけれど、創業者がG4とG12を再生産する為に
別建てで起こしたDARE社のその後は、自分もよく分からないのです。


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そして「こんな粗野なクルマじゃ、バイクと変わらないよ」ということで。

きつねメのロードスターをいたく気に入って下さったクマさんに向けて
もう一台プレゼン出来るドリーム・カーがあるとしたら・・・これかな。





東京R&Dにて企画設計し英国で作られているヴィーマックRDシリーズ。

今でこそGT選手権用のホモロゲ車という認識の方が強いようだけれど、
元々のコンセプトは「`60年代スポーツカーを今の技術で再現したい」
という意向から産まれたクルマ。

ちょっと間延びした感を強調するリア・フード上面以外、どこから見ても
綻びが見つからない、繊細で緻密な面構成とバランスには涙が出そう。


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メカの手触りが生々しく猛々しい代わりに乗り手にも相応の経験と気概を
求められるジネッタに対して、ホンダのVTECを積むヴィーマックの方は
有機的な雰囲気を少し削ぐ代償として洗練性とフレキシビリティを持った。

宝くじの当選額次第では「ガレージを増築して両方買っちまう」という
ある意味とてもズルい選択肢もあったりするんですが・・・(笑)。

超局地戦闘機に特化した猛獣ジネッタ、美しきGT足り得るヴィーマック。
仮に1~2000万ぐらいで叶えるとしたら、その選択には相当悩みそう。


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アルファT33


「今のランボやフェラーリが押し並べてソックリさんであるように
あの頃のレーシングスポーツだって似たり寄ったりじゃないか。」

そうですね・・・T33も250LMも、或いはポルシェの904/906系や
それらに範を求めたニッサンプリンスR380も、確かにシルエットは
皆よく似ているんです。

例えばレースに於けるレギュレーション、もしくは勝利への方程式が
常にそういう方向へと作用することは、たぶん誰にも否定出来ない。

ただ・・・時を経て輝きを増すことはあっても、決して陳腐化によって
この先の未来も色褪せることは無い・・・そういう本質的な美しさは
`70年前後に一度頂点に達し、完結してしまった気がするんです。


フェラーリ250LM


それは純粋にG4やG12の再生産を決断したウォークレット氏にしても
現代流のアプローチで攻めたヴィーマックのデザイナーさんにしても。

「スポーツカーに対する理想と美意識を商品化したよ」というカタチが
何よりも雄弁に物語ってくれているように感じるんですね。

どの時代でも、その時なりに「カッコいいクルマ」は存在するけれども。
しかしそれが「どの時代を跨いでも美しいクルマ」となると、極少ない。

二輪で言うなら、流行ったり廃れたりしつつも「カフェレーサー」という
カスタムが消えなかったのは、それがエバーグリーンである証し。


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紺ぎつね号に派手なウィングやオーバー・フェンダーを奢って人目を
引く代わりに、一点だけエノット・モンツァを模したフューエルリッドを
装着してある理由は・・・どんなに手を伸ばしても届かない`60sの
スーパースポーツへの、とてもささやかなオマージュなんです。

「その生まれ持った素性が顔とか物腰に出ている、嘘がつけない
スッピンの美人さん」。

クルマやバイクに対して求めるものを理想の女性像にも重ねていると
ヨメを貰い損ねてしまう・・・。

そんな身の程知らずなオスの典型なのかもしれません、きつねメは。

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ジャンル : 車・バイク

春彼岸の日は、ゴリラを駆って。 ~今季初乗り、墓参りの日~





今日のTOPには、3月も終わりと言えば・・・的に毎年思い浮かぶ
曲の中からひとつ。

SPITZの詞って「どこにも行けないのに、地に足着いてない」という
不思議なイメージがいつも付いて回り、ちょっと面白い。

それは「徒歩や自転車より速くても、非日常域までは到達出来ない」
小さなオートバイの感覚に、よく似ている気がするのです。


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先日のブログでは三寒四温という言葉を使ったけれど、いよいよ
我が北東北も「暑さ寒さも彼岸まで」のフレーズを持ち出せる
時期へと至ったようでありまして。

墓参りへ行こうと決めていた三連休最終日は気温が上がるのを
待って、ついにゴリラを引き出しました。

「流石はホンダ」と言うべきか、三か月半の惰眠からグズることなく
キック数発で目覚めたオンボロさん。

暖機もそこそこにチョークを戻してバックパックへ花を挿し、市内の
菩提寺へ向かいます。


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しかしアレだね・・・上はトレーナーとフリースと革ジャンで
着膨れ、下はデニムとカーゴの二枚履き・・・。

これで防寒対策はバッチリなものの「自販機でお茶買って来て
周囲を掃除して花を供えて」とかバタバタ動き回っていると、
日なたじゃ正直ちと暑いんだわ。

「今日はセローじゃないんだ。当時物のゴリラか、良いね。」と
声を掛けてくれたのは、きつねよりひと回り年上の寺男さん。

まだリミッターが付く以前の初期型RZ50を今でも所有していて、
「長年の不動状態からそろそろ起こしたい」のだそうな。


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「彼岸は駐車場も混むし、市内なら小回りの利くコイツで十分に
用も足りるし・・・何より、前のオーナーがここに眠っているから。」

首を傾げた寺男さんに「実は従兄の形見なんです。」と告げると
「ああ、だからレストアせず『そのまま』なのか!」と大きく頷く彼。

「ちょっといい色味の限定モンキーが出たね。でも35万円だって。」

「昔ならRZ250やVT250Fが買えた値段ですよね。」

「中古の値段もいい加減、小遣いで買える辺りに戻って欲しいよね。」

「そうそう、十万も二十万も出さなきゃいけない機種じゃないもの。」


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次いで春先の風物詩的に若葉マークとレンタカーの姿が目立つ市内を
突っ切り、寺町にある母方のお墓にもお参りを。

お祈りを捧げたところで丁度お昼になったので、馴染みのオカミサンの
店にもちょいと立ち寄って。

「鬼籍に入った父母に花を手向ける度『ゴメン、子孫残せそうにないわ』
って毎回謝ってんだよ。」

「なんだなんだあ、恋多ききつねも『悟りと諦めの境地』ってヤツなの?」

「こんだけ独り暮らしが長いと、何かもう他人と暮らせる気がしなくて。」

与太話を交わしていると、「こんにちは!」と不意に背後の扉が開いて
旧知のオンナノコ・サッちゃんが現れた。


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サッちゃんと知り合ったのは、きつねがSR500に乗っていた頃だから
かれこれ20年ぐらい前になるんだけれど。

彼女もまた不思議なヒトで、眩しいほどのキュートさにひと目ぼれの
淡い片想いを抱いたあの頃から、全く見た目が変わっていない。

まあ面食いぎつねが恋をする相手は、男子なら誰でも心を魅かれる
キラキラな美人さん、と相場が決まっているもんで。

オカミサンから「彼氏と同棲し始めたんだって」と聞かされた時は、
「あーやっぱりまた売約済みか!」としばらく凹んだものだった。


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それにしても、ヒトの人生ってのはホント、先が分からないもんだ。
当時はてっきり、その彼と共に未来を歩むだろうと思っていたのに。

昨秋再会したお人好しで無口な彼氏は独りニコニコするばかりで、
当然ながら「その後の顛末」なんか訊くに訊けなくて。

しばらく音信を聴かされていなかったサッちゃんは、いつの間にか
シングルマザーになっていて、そして昨年結婚していた。


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「彼岸の墓参りの帰りに『ヨメもらうの諦めた』って話していたら、
そのタイミングで新婦さんが現れるんだもの、そりゃあ驚くわ。」

「オトーサンとオカーサンに、何か言われた気がしてる、って?」

やっと言葉を口にし始めた幼い息子にサンドイッチを食べさせつつ
あの頃と変わらない、いたずらっ子の笑みを浮かべる彼女。

久しぶりの再会に、話したいことが溢れ出しそうな顔をしつつも
ナイーブな愛息子の世話を焼くのに精一杯なサッちゃん。

「午後も用足しがあるんで、俺はそろそろ行くわ。またね。」

「あっ、表の懐かしい雰囲気のゴリラって、きつねさんのバイク?」

「そっ、俺の偵察機。春の予兆を探るために、今年初のフライト。」

「すごく久しぶりに会えて、とっても嬉しかったです。」


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・・・ホントはもう用足しなんか、ありもしないくせに・・・ねぇ。
そのまま帰る気分にもなれず、路肩にまだ雪の残る郊外を湖まで。

新しい季節は~ 何故か切ない日々で~、なんて口づさみながら
川原の道をゲンツキジテンシャで彷徨ってみたりする昼下がり。

マキシマムまで引っ張れば法定3割増しの速度に達するゴリラも
実際ホントに気持ち良いクルージング・スピードは、50km/hまで。

時速もの思いキロメートルは、視野の中のいろいろを拾いながら
アタマの中で世迷い事がくるくると舞う・・・そんなマインドだ。


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先の人生を「消化試合」として片付けるには、たぶんまだ早いけれど。

でもだからどうしたいのか分からぬまま、誰かの人生の移り変わりを
遠く近く、ボーッと眺めている。

まるで沖を行き来する船を日々迎えては見送る、港の桟橋のように。

「未来は分からないんです。その時その時、選べる道を選んだだけ。」

まだ濁ることも澱むことも知らぬ幼子の瞳は、尊いものだった。
自分にも遠い昔、そんな目をしていた頃があったとは信じられない程。


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怖れても怯えても時間にバック・ギアは無いのなら、何か一握りでも
夢とか希望を胸に置いといた方が、有意義な未来になるのだろうか。

冴えた黄昏が宵闇の冷え込みを呼ぶ前に、アジトへ戻って小細工を。

車検でドック入りしたロードスターの寝床が空いている間に、粛々と
二輪たちの春支度を進めて行きます。

月が明ければ次はスポーツスターのユーザー車検が待っているから
「不都合な真実」の是正を図らなければいけないわけで。


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あ、いや、法の番人に呼び止められたことは過去何度もあるけれども。

眉間にシワ寄せて仕様についての指摘を受けたことは一度も無いよ。

見すぼらしい毛並みの中年ぎつねも、ニンゲン社会に於けるモラルは
心得ておりますが故・・・。

ただ、ギリギリなところに少しマージンを取りたいってだけの事、です。


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ついでにシーズン中は常時繋ぎっ放しのトリクル充電機用ハーネスを
有り合わせの配線で管ヒューズ入りに作り直したところで、オシマイ。

シングルのそら豆からダブルのコブラシートに替えた姿を眺めつつ。

「一名乗車に登録変更しても、別にいいんだけどさ」とストーブの上で
温めた缶コーヒーを片手に、ポツリと独り言。


春は、SPRING。長い冬に縮めたバネが、爆ぜる季節だから・・・か。


そうだね、サッちゃん。未来に何が待っているのか、誰にも分からない。

だけど、だから、今のうちにやれること、やっておこう。思いつくままに。

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Do You Feel Is Tomorrow Just Another Day ~紺ぎつね号、10回目の車検へ~






今日のTOPナンバーは、きつねメ的に愛機NAロードスターとドライビング
グルーヴを共有しているように感じるマット・ビアンコから一曲。

英語のヒアリングが苦手な自分でも、バケットシートに抱かれてタイトな
コクピットで繰り返し聴き込むうちに「あっ!」と思った一節があってね。


「Do You Feel Is Tomorrow Just Another Day」


感じてんだろ? 今日の事はもう過去の事、明日は新しい風が吹く、と。


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安っぽくて古びたオープン・スポーツカーでも、ひとたびアクセルを煽り
クラッチを繋げば「非日常の世界」へと乗り手を駆り立ててくれる。

かつての3ナンバーに比肩するほどの高い税金を支払わされつつ・・・
それでもコイツを維持し続ける理由と価値は、ここにあるんだよね。


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「三寒四温」と言う言葉の響きは優しく期待を抱かせてくれるけれど、
こと北東北に関しては正に日々猫の目の如くコロコロ激変する天候に
振り回されっぱなしの一週間でありました。


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土埃舞う中で時折り吹く潮風にも、ふと春の匂いを感じた沿岸詣での
後だっただけに、次の休日の雨音にはすっかり油断させられていて。

気分転換に向かった40km向こうの温泉地が、まさかこれほどまでの
ボッタボタなドカ雪に見舞われているなんて想像も出来ませんでした。


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正午前後の出来事なだけに気温が高いので、カッチカチの圧雪とか
ツルテカのアイスバーンの様なスーパー低μ路にはならないものの。

とにかく重くて抵抗が大きいため、つづら折れではズルズルダラダラと
ゆっくり流れて行くので、緊張感は要らない代わりに鬱陶しい感じ?


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これが同じ軽でもタイヤサイズの小さい車だとやたらにステアリングを
持って行かれるシーンなので、「大径タイヤの4WDで良かったな」とは
実感出来ますけど・・・ね。


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小岩井農場を山手へ走った先に在ったお気に入りの「お山の湯」は
どんな事情があったモンだか、今年に入ってなんと閉館の憂き目に。

網張のまだ真新しい日帰り温泉館(サウナ無しなのが惜しい!)とか
玄武方向へ下った「ゆこたんの森」(ここがきつねのイチオシ)は最近
訪ねたばかりなので、久々に小ぶりな「ありね山荘」へと入湯します。


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「そう言えば、ゆこたんの傍のNucもいつの間にか閉館していたなぁ。
日帰り温泉館の独り勝ち状態なんだろうか」と、淋しく思いつつ・・・。

内湯では地元のオッチャン達の、「どこそこの仔牛がナンボで売れて」
「やっぱりタネだけでねくて、牝牛の出来の良し悪しがよォ」なんていう
いささか生々しい牧畜トークを盗み聞きしていたりするきつねメでした。


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しかしスノボに狂っていた15年の経験で、「春彼岸に冬が終わる」とは
悟っていたものの・・・昔に比べて寒暖のコントラストがやっぱり極端。

寒気が入った時間と抜けた時間が肌で分かる程の雰囲気の差は、
いささか極端なもののように思える昨今なんでありますよ。


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うっかり湯冷めせぬよう、ヒーター全開で黄昏の途をアジトへと帰って。

しかしその次の勤務明けには、再び日なたなら10℃に届こうか?という
ホカホカな春の陽光が降り注いだりするんですから、なんかいろいろ
感覚が狂ってしまいそうです。


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微妙なところでON/OFFのタイマーを入り切りされるツンデレな天候に
「ええい起こしちまえ!」と引き出したのは、埃まみれのロードスター。

冬眠中にリチャージを繰り返したクソ重いバッテリーを繋いだところで
都合3ヶ月半寝かせたエンジンは油圧タペットの音がナンボ待っても
鳴り止まず、焦れてそのまま洗車を開始してしまいました。


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昨秋の内に本気の磨きと車検の支度を整えておいた愛機なだけに、
一度起こしてしまえばサッサと手続きへ持って行きたくなるのも人情か。

日の長さを実感しつつの夕暮れ、ぐるりと水切りがてら県道の遠回りで
「今日は遅い時間じゃないと自宅へ戻れないですよ?」という主治医・
Nさんの元へ、コンディションの確認を兼ねての回送。

真冬や真夏の乗らない時期が長引くと、維持費の重さや先の事を思い
「NAロードスターはもう十分満足するほど乗り倒したじゃないか」なんて
ついヨメに出す先を考えてしまったりすることもあるんだけれど・・・。


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いざ乗って走り出すとホントたまんない、良い、何かが満たされるのね。

正直なハナシ公道上の絶対性能で言ったら、けーたろーと大差ない。
実用上のメリットやデメリットも上乗せしたら、勝負の土俵にも乗らない。

でもリクツや数字という具体的な事で語れない、生理と官能に訴えて来る
「何か」・・・そう、質の在り方が決定的に違う・・・。

この辺はエンジンの気筒数やレイアウト、或いはホイール・サイズによる
フィールの差異にうるさいバイク乗りの方が理解してくれる気がします。


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ひとことで言うなら「主軸の視点は移動手段」と割り切った面がある
けーたろーは、「ドライなクルマ」と評することが出来るかな。

対してNA8は「操作の手触りが全てに於いてウェットでシームレス」。

油圧パワステの手応えでも、1000rpm台からレッドを越える領域まで
カムの機嫌が乗る機微を伴いながらも吹けて行くエンジンにしても。

660ターボと1800無過給、FFベースの4WDとFR、ストラット×リジッド対
四独ダブル・ウィッシュボーン・・・そんな比較論じゃ語れない気がする。


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あの、実際にステアリングを握ったことのある者にしか分からない
不思議な「ココロの潤い感」が貧乏ぎつねに執着を抱かせるのか・・・。


DO YOU FEEL IT DO YOU NEED IT DO YOU FEEL DO YOU NEED 


Nさんに送って頂いた駅のホーム、日没後の急激な冷え込みに備えて
スタジャンの襟を立てつつ、アタマの中でMATT BIANCOがリフレインを
繰り返す晩冬の宵なのでありました。

2017 3 11 14:47








残念ながらYoutubeから既に削除されたため、今はリンクを貼ることが
もう出来ないけれど。

昨年までは自衛隊音楽隊がこの曲を演奏する様子が、UPされていた。
撮影時期は2011年、場所は宮城県の閖上地区。

ヒライさん御本人?と聴き違えるほど、声質も歌い方も本当にそっくりな
ボーカルの隊員さんの声に耳を傾けるうち、しかしやがてじわじわと熱く
込み上げて来る感情が、抑えられなくなってしまった。

彼らが何故、ここで披露するナンバーとして、この曲を選んだのか。

表立って語られることのない部隊員一人ひとりの心情を代わりに描いて
ほしかったのだとしたら・・・この歌を置いて、きっと他に無かっただろう。


だから今もこの曲を聴くと、きつねは胸が痛み、目頭が熱くなる。


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今年もその日が勤務スケジュール上、休日に当たっていたことから
月初めには既に「そのつもり」でいたけれど、やはり直前まで迷いが
心の隅にあった。

沿岸に知己も縁もない者として、行くにしても「この日」じゃない方が
良いのではないか?という思いが大きくなったり小さくなったりしつつ
消えることは無かった。

結局東へ向けて愛車の舵を切った理由は「自分がどうしたいのか」に
対して正直でいたい、忠実でありたいと考えたからだった。


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R106の譲り合い車線を海へと向かう、プレハブを積んだ隊列。

内陸と三陸を結ぶ最短路線のこの国道が6年前の震災関連で
復興支援重要幹線となったのは、言うまでもないことだけれど。

この道沿いの市町村も昨秋台風の直撃で大きな被害を受けた為
見掛けるダンプも重機も傍目には、どちらの現場へ向かうものか
分からない。

高速ではないにもかかわらず、盛岡から宮古まで約100kmの道のりを
二時間弱で走れるのは、間に市街地も信号もほぼ存在しない為だ。

内陸を真横に走るR106と、沿岸を縦に結ぶR45の交差点。

NTTの建屋がある通りは今も「津波の記録映像」としてテレビで頻繁に
流れる、湾から堤防を越え船や家屋がなだれ込んだ道路そのものだ。


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「最寄りの海の街」、宮古市はあえてスルー。というのもツーリングでも
ドライブでも、年に何度かは必ずお邪魔する地域ゆえのこと。

今日行きたいのは、震災直後こそ多く取り上げられたものの近年は
全国区のメディアにあまり乗らなくなってしまった地域だったから。


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ここから北なら田老地区、田野畑や普代を通って久慈市辺りまで・・・
このルートは昨春と昨秋、スポーツスターやロードスターで走っている。

信号が青に変わる直前、南行きを選ぶことに決めてウインカーを灯した。

R45と並行し海辺を行くJR山田線は今でも宮古市より南へ走っておらず、
昨年までは生い茂る草に覆われたレールが潮風に赤く錆びついていた。

でも、今年は違う。いよいよ悲願だった宮古~釜石間復旧プロジェクトが
具体的に転がり始めたことを、白く輝く真新しい砕石が教えてくれた。


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R45を南に下るなら・・・と、きつねがまず目指した場所は、山田町。

穏やかな地形で浜が連なる普通の海岸線しか知らないヒトには、
少し理解し難い話だろうと思うけれど。

単純に「宮古の隣り町」と捉えて訪ねると、実情とイメージの乖離に
驚かされるんじゃないだろうか

縦にも横にも鋸の歯の如く湾と山が入り組んだリアス式海岸のため
山田に限らず岩手沿岸の都市は、ほとんどが同一エリア視出来ない
「陸の孤島」。

これは地形に限らず自治体の在り方や考え方も個々にバラバラと
ならざるを得ないことを暗に示している・・・もちろん、復興の進捗も。


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ツーリングでも旅でも「極力行き当たりばったりを良しとする」きつねメ故
ご飯も行きたい方角以外は特に下調べもせず、ノー・プラン。

ただひとつ、ブログで伝えたいことを考えた時、出来れば仮設のお店で
食べたい・・・という希望はあった。

混みあう時間を避けて正午少し前にお邪魔したのは、津波が来る以前
陸中山田駅前に半世紀もの間、店舗を構えていたという「藤七屋」さん。

この情報とて、帰って来てから検索して知った事柄だったんだけれども。


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画像のチューシュー麵と中華そば、あとはライスのみというメニュー。

これはきつねの人生の中でも「選択肢最少記録更新食堂」だけれども、
なんと朝六時開店!というコンセプトを知れば理由にも納得が行く。

要は元々、朝が忙しい漁師さんと市場のヒトたちのための食堂なのだ。

メニューが少なければ誰も迷いが生じないので注文も早く済むだろう。
出すものが決まっていれば作り手だって仕入れも厨房の勝負も早い。

だから・・・茹で上がりも早く済む、細い縮れ麺を使っているのだと思う。


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「品数少なく提供は素早く。しかし、半世紀の歴史は伊達じゃないよ」と。
明らかに大量生産版ではない、マジなチャーシューが口の中で溶ける。

カウンター席の隣では、30歳を過ぎたばかりと思しきスーツ姿の若者が
二人、ラーメンのスープ以上に熱い舌論を静かに交わしていた。

「ずっとヒサイチってキーワードに寄り掛かっていたら未来は無いべよ。」
「不本意な理由だけど町の名前は全国に届いた。ここから繋がねばよ。」

きつねがあえて仮設のお店を選んで聞きたかったのは、こういう声だった。


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「ほとんど無傷で済んだ内陸のヨソモノがよ、ナニ偉そうに!」という
批判は多かれ少なかれ、絶対に避けられないものだろうと思う。

でも・・・ホンネ言おう。俺、切ない。自分でもどうしたらいいのか全然
分からないんだけれども、この先を考えると「どうにかしなきゃ!」と
気が焦ってしまうんだ・・・辛いんだよ、岩手県民として。

食堂の隣りで語り合っていた二人の言葉は、本当に切実な問題だ。

公務や仕事で視察したり派遣されたり、或いはボランティア有志として
この震災を機に初めて全国各地から訪れた人の数は、数万人に及ぶ。

全国に数百数千あるだろう「誰も知らぬ地味な田舎の港町」のことを
キッカケが何であっても「自分が実際に訪れた旅先」に加えた御縁が
とんでもないぐらいたくさんあるはずなんだ。


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「震災当日、炎が市街地を全て焼き尽くす映像が流れた山田だけれど。
その街に住んでいる人々はこんな感じでさ」と語れる人が、全国にいる。

「町長さん自身を筆頭とする役場の人たちが津波で命を落とした大槌は
街の大きさがこのぐらいなんだけれど、こういう地形で全部さらわれて」
という追体験を語れる人が、やっぱり全国各地にいる。

被災された地元の人たちと親身になって触れ合ったことが記憶となり、
その土地その街ならではの事柄を思い出に持つ人が全国にいるのに。

「多くの人に知って親しんでもらえたこと」が、復興に繋げられていない。

ただでさえ自ら声高にアピールし目立つことを憚る県民性を持つが故、
「シンサイとかツナミとかフッコーとか聞き飽きたし正直ウゼぇし」という
関連のない人々の声に、ことさら抗うことも出来ずにいるけれども。

分かるかい?6年経っても耐用年数をとっくに過ぎた仮設のプレハブに
住むヒトが何千何万もいるっていう現状が「とんでもないことだ」って、さ。


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当時40才のきつねメが46才になったって、別に大した違いはないけれど。
しかし客観的に見たら、中学生が成人を迎える程のロクネンという月日は
もう相当に長いものだと思うんだよね。

そのロクネンを「内張りも断熱材もエアコンも一応完備しましたよ」という
物置小屋で、家族一同暮らしてごらん?絶対人生の何かがが狂うよ?

・・・正直な話、想像出来ないでしょ、そんな生活とか、そんな未来・・・。

だけど多分「日々度重なるメディアの報道」という名のロードローラーで
延々繰り返し繰り返し轢かれてノシイカの如くペチャンコになっちゃった
「シンサイ」「ヒサイシャ」「オオツナミ」「フッコウ」というキーワードからは、
聴き手の想像力を3Dで呼び起こすチカラなど、持っていないんだと思う。


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七周忌に当たる日に沿岸から100km離れた街より、さしたる理由もなく
物見遊山にやって来た罰当たりな中年ぎつねは、なんぼ非難されても
仕方が無い存在ではあるんだけれども。

ただひとつだけ主張出来る正義があるとしたら、微々たる数であっても
「被災県民として捉えた現在の沿岸の実情」を伝えることだけ、だろう。


俺たちの愛した不器用な海辺の街へ、どうか耳や心を傾けて下さい。
あの日も絶体絶命のピンチだったけれど、実は今も変わらないんです。

仮設に住む両親が身を削り育てた我が子たちが高校を卒業しても・・・
地元には今も就職先が無く、震災前から育った街を出る他に選択肢が
無いのです・・・。

どうか、「人口流出が止まらない」というネット記事の行間を察して下さい。


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2017年、3月11日、14時46分。

きつねメが今年その瞬間を迎えたのは、旧三陸町・吉浜駅を見下ろす、
他には誰もいない小さな原っぱの上でありました。

昨年は陸前高田でカサ上げ工事に従事する親父さん達と共に首を垂れ、
一昨年は勤務の関係で職場の詰め所から東へ向けて祷りを捧げて。

所詮は自慰行為。

誰かの心を救うことなど少しも出来ない程度の身でも、あの日あの時・・・
自分のことだけで精一杯で、その30分後に襲った沿岸の惨事に対し
何も思い及ばなかった悔いを、胸に刻まずにはいられなかったのです。

けーたろーの窓を下げボリュームを開いて聴き取る、3月で閉局するという
地元防災FMのカウントに合わせて・・・黙祷。


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津波到達を教える無線のスピーカーから耳をつんざくサイレンが響く中。

水平線に向かって両手を合わせた下手の鉄路、三陸鉄道南リアス線の
車両がゆっくりゆっくりと徐行を掛けて、やって来るのが見えました。

ナンだろうね、ナンなんだろうね・・・自分でも説明のつかないような
とっさの行動だったけれど・・・何故かきつねの右手はオデコに対し
自然と斜め45度の角度で添えられていたんでありますよ。

黙禱を促すサイレンが鳴り終えた頃に、その細い瞳を開けた時には
乗務員さんの白い手袋も、こちらへ向け返礼を手向けておりました。


見知らぬ相手とも敬意と敬愛を交わす。PIECEって、そういうことだ。


それだけでも今日この場所へ来た意義が確かにあったのだと思います。


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いつの頃からか、代々内陸と沿岸南部のバイク乗りが共有する大切な
「交流と情報交換の要所」である、辻のしらいし屋にて黄昏の一服を。


知る人ぞ知る名物だったワンオーナーの前期コスモ・スポーツも既に
在りし日の雄姿を店内のパネルに残すのみだけれど・・・。

きっとあと一月もすれば、例年通り缶コーヒーを片手に談笑を交わす
単車乗り達が、しばしば見られるんじゃないかな。


ここ最近は軽く小さなセローとゴリラばかり引っ張り出しているものの。
今期は積極的に「大きい方」を活躍させ、出来るだけ三陸の海へと
出向きたいものです。

貧乏で見すぼらしい中年ぎつねが彼の地へ落として来られるお金や
報告のブログがもたらす効果なんて、たたが知れているけれども、ね。

テーマ : ひとりごと
ジャンル : 車・バイク

プロフィール

狐ヶ丘 紺之介

Author:狐ヶ丘 紺之介
1970年生まれの乗り物好きな中年ホンドギツネ(オス)。
クルマもバイクも好きなのに、精神構造が基本アナログ。
四輪はM/T派、二輪はキャブ派という典型的な昭和男。

ニンゲンに化けたは良いものの21世紀の流れに乗れず、
世間と森の境目辺りでひっそりブログを綴っております。

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