とある田舎のおんぼろカモシカと中年男に化けたきつねの、寝ぼけた独り言。








紺之介(中年男に化けた狐。以下「狐」) 
「なあ、カモシカどん。
実は昨晩、奇妙な夢を見て少しうなされたんだけどさ。」


セロー(機械カモシカ。以下「カ」)
 「ほぉ、そりゃあどんな?」


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狐 「その夢の中では俺、どうも牛か羊って設定みたいでね。」

カ 「ふうん、野良狐のアンタらしくもない。牧畜扱いってか。」

狐 「失礼な・・・。さておき、最初は杭も柵も見当たらないほど
   ダダっ広く開けた丘に、ノビノビと暮らしていた訳よ。」


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カ 「そりゃまた贅沢な。三食昼寝つきでおやつの草の中か。」


狐 「そうそう。ところが、時間が進むにつれて青空に薄く雲が
   掛かり始めて、お天道サンの機嫌が怪しくなって来た。」

カ 「アンタの存在の方が、人間にとっちゃ余程妖しいけど?」

狐 「余計なチャチャ入れてハナシの腰を折らないでくれる?
   ・・・で、雲が濃さを増すにつれ面積も減って行くんだ。」



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カ 「ふむ、面妖な。その雲はもしかすると、飼い主の事情に
   何かリンクしているような予感がするんだけれど?」

狐 「流石は長年の付き合い。ソレは良い質問ですね!」

カ 「イケガミさんかアンタ。で、そこからの展開は如何に?」

狐 「お察しの通りのストーリー。飼い主の懐具合に陰りが
   射すと、野原の面積が狭まって仲間の数が減るのさ。」


カ 「はぁぁ。ソレは住民的にいささか穏やかじゃないわな。」


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狐 「みんなが腹いっぱい食べて余るほど貰っていた餌も、
   ベルトコンベアで万遍なく適度に供給されるようになる。」


カ 「おっ、世界が狭まった代わり意外と福利厚生にも注力
   してもらってんじゃん。むしろ平等になったんじゃね?」


狐 「まあ飼う側的にはエコだし、俺らにとっては健康管理の
   面でメリットがあるわな。ここまでそこそこWin-Winで。」


カ 「ハイテク・ジャパンの面目躍如だね。でも『ここまでは』
   と区切ったのにも、何か理由がありそうに見えるなぁ。」



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狐 「ところが・・・ポツポツと降り出した雨が粒も数も増して
   気付くとザンザン降りの大雨に打たれていたワケで。」

カ 「おやおや、そりゃまた災難なことになっちまったね。」

狐 「黒さを増す低い雲が暗示するように、俺が暮らしていた
   丘の状況も暗転して行って、ついに実情が見えた。」


カ 「うへぇ・・・いやもうヤな予感しかしないんだけど?」


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狐 「過度期の瞬間に一度は適切に見えていたハイテクが
   進化した末に牙を剥いて、仲間を襲ったんだよ。」


カ 「考えられるのは面積を狭めた杭や柵に対する細工?」

狐 「上手い!全くその通り。飼い主は柵へ渡したバラ線に
   ソーラーや風力で得た電気をアンプ増力して通した。」

カ 「フライパンに載せずして焼肉が出来上がっちまうねぇ。」

狐 「想像しただけでエグい話だろ?だから生き残った皆が
   縮み上がっちまったのさ。」



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カ 「生まれた時から先の決まった牧畜とは言え、酷い展開だ。」

狐 「大らかだった昔を振り返れば、柵のバラ線にもスキマが
   あり、杭で区切られた向こうの景色に憧れる奴もいた。」


カ 「そりゃ動物の本能、一旦見ちゃえば行きたくもなるよ。」

狐 「そうさ。アウトローを気取るヤツほど柵の際まで寄って
   群れるし、度胸試しで杭の外へ冒険するのも出て来る。」



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カ 「ずいぶん人間くさい話になって来たね。で、どうよ?」

狐 「察しの通り、ルールを破った背徳の快感と抱き合わせに
   得た自由の結論は、『自分じゃ餌を取れない』ってオチ。」


カ 「ますます人間くさいことになった。で、出戻ったのね?」

狐 「悲しいよねぇ、流浪の先で悟りを開いて帰った故郷は、
   更に時代が進んで狭くギスギスした世界だったんだ。」



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カ 「狐さん、そこで遠い目をしない!でも何かと似てるよね?」

狐 「やはりアンタも、そう思う?だから多分うなされたんだよ。」

 「我々オートバイや自動車が今置かれている立場ソックリ。」

狐 「・・・もしも俺らの身体が高電圧のバラ線に焼かれても、
   『肉を焼く手間が省けた』と喜ぶ人間はいないだろうけど。」

カ 「『煮ても焼いても喰えないヤツ』が私らポンコツの共通点
   なんだしねぇ。」



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狐 「ゴメン、出来ればアンタに座布団10枚あげたいんだけど
   今の手許には掛け布団と敷き布団しかねえわ、スマン!」



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自分自身、その人気の恩恵に与かってゴリラを再生した身なので
たいそうな事は言えないし、故にプリミティブなオートバイから
得られる「等身大的な素のバイク・ライフ」も心得ているつもり。


でも、ね。過剰なほど世相に委縮して「その向こう側」に
ビビっているバイク乗りってのも、どんなモンなのかな、と
正直なハナシ、不自然な印象を感じてもいるんだよなぁ。



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流行りに乗って、誰にも後ろ指を指されないスーパーカブ
バイクの世界を全て知った気になって欲しくは無いんだよ。

大排気量機にはその器に応じたダイナミックな感覚が宿り、
ハイパワー機には本能に訴える非日常的な恍惚がある。

スリルのつけ入るスキが無い人生なんて家畜も同然だろ?
だから毎年税金に大枚はたくオーナーが存在するのさ。


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「バイクはカブに始まりカブに終わる」・・・その神髄を
知っているのは、むしろ重量車の世界を巡った乗り手。


年齢と共に体力も視力も反射神経も覇気も衰えた末に、
「それでも」オートバイに関われるギリギリのボーダーが
実は「スーパーカブ」っていう少し寂しいオチなんだ・・・。


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ホンダさん、いっときのカブ・ブームに奢ってアグラかくなよ?
本当の勝負は「そこで得た夢を裏切らないプレゼン」なんだからよ。


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きっと、Just Time To Fly







本当に幸せで心を満たされ、言葉で表現する術が見つからない、

もう何も言うことが、書くことが出来ない・・・そんな一日も、ある。



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こんな日があるから・・・バイクは、オフロード・ライディングは

一度ハマると止められない。



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嗚呼、俺の住むところは、理想郷(イーハトーヴォ)なんだ。

野を駆けるきつねの胸は、陽の森と若葉の匂いで、一杯だ。


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何故バイクが好きなのか。何故乗らずにいられないのか。

貴方の心がくすんだ日々に迷った時は、岩手においで。



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なにもない? うん、なにもないよ。 でも、なんかあるよ。

それは、あなたが見つけるもの。あなたが、感じるもの。



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5月。それは生命の息吹が一斉に花開く、パラダイス・シーズン。

陽光に呼ばれたなら、行こう。理由なんか要らない、何ひとつも。

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セロー、仕切り直しの林道散歩。 ~春の匂いを拾いに、東へ~








風薫る五月、ゴールデン・ウィークも後半だというのにお天気は
全国的に冴えない様子。

もし晴れたら六戸の旧車ミーティングに行きたかったけれど。

シトシト巣穴の屋根を叩く雨音で目覚めた朝、せめて季節感に
沿った日なたの匂いがする曲を、TOPへ。


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そうそう、スポークを張り直してもらいチェーンやスプロケも
一新したセロー

初夏のような陽気に恵まれた先月最後の休日は、さっそく
R106・区界を越えた「東の山」へと連れ出した。


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この時期に田舎の踏切で列車を待っていると必ず脳裏に浮かぶ
「赤いスイートピー」。

山田線のキハが春色の汽車に該当するか否かはさておいて。
僅かな若芽の白樺並木を去る姿は、なかなか絵になるもの。


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しかし主人公の恋人像をあんなに明確に描いたJ-POPは珍しい。
松本隆さんって、ほんとにクオリティの高い仕事していたよなぁ。


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「恋をしようよ好き好き大好きこんなに切ない」ってばかりで
相手の姿が見えてこない歌には、説得力もリアリティも無い。

「結局お前、自分しか見てねえだろ」と薄っぺらに感じるから。


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そこを抜けないと、幾ら語彙と比喩の巧みな変化球を投げても
聴き手の心に刺さらないんだと思う。

主人公と相手の年齢と人柄や関係性、つまり物語を練ってから
主題に沿ったシーンを抜き出して、丁寧に言葉を紡いでいく。


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昔の歌謡曲の方が押し並べてオトナっぽく感じる理由のひとつは
多分その辺にあるんだろうな、と。

自分の作品を売ってメシ喰うつもりなら、小学生の作文レベルな
リリックで許されるハズが無い・・・んだけれども。


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今はソレを買う側も、既にそんな質と完成度を求める感性がない。
ただいっとき、耳触り良くノセてくれさえすれば、用が済む。

維持費が安ければ。燃費さえ良ければ。人がたくさん載れれば。
そんで極力キャッチーかつ便利な電子ギミックを盛ってくれれば。


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クルマやバイクが売れなくなった頃と音楽業界が沈んだ時期は
グラフの曲線が見事に一致している。

ただの道具では無かったハズなのに「味気ない生活ツール」の
座へ双方を貶めたのは、どこの誰だったのだろうね。


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まだ若い鹿が踊るように駆けて行った、行き止まりの林道。
エンジンを切れば、ウグイスの声と枝を揺らす風の音だけ。

トラブルでセローを寝かせていたのは、たった一週間なのに。
まるで手放した愛車を取り戻したかのように、とても嬉しい。


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バイクを手に入れることは、自分の世界を一つ手に入れること。

周囲数キロに渡ってヒトの気配を感じない山道へ踏み込むと、
そんな実感が色濃く胸に染みて来る。

冬には長く閉ざしていたドアだから、余計にそう思うのかな。


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プクプクと泡が上がる傍らの水溜まりをなんとなく眺めていたら、
気難しい顔をした森の住人が空を眺めに浮いて来た。

きつねがカメラを取り出しただけでまた泥の中へ還って行く
神経質な彼は、ヤマアカガエルだろうか。


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「ダーメダメ、バイクの連中は山を荒らすから絶対入っちゃダメ。」

゛入山禁止・もし立ち入る場合は住民の許可を得ること゛と
書かれた看板に従い、北海フォードに乗った牧野のオジサンへ
声を掛けると、剣もほろろに追い返されてしまった。


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この界隈は管理する地区とか住む人によって見解が全然違う。

例えば山菜やキノコ、野草の盗掘が目的ではないと分かれば
快くOKを出してくれる方も、少なくないんだけれど。

彼らの土地は彼らの庭。入られたら嫌と告げられれば、そこまで。


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ダートをスタンディングで走り続けていると、距離は舗装路の
半分も伸びないのに3倍ぐらい体力や神経を使う気がする。

好天下の振り替え休日で、更に周囲に飲食店皆無の山中と
あれば「道の駅」は大賑わい。端っこにセローを寄せといて。


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ココ来たらコレでしょ!汗だく承知のオーダーは勿論名物の
「ドラゴン麺」・・・久々過ぎてそのボリュームを忘れていた。

なにしろこれで並盛りだから、流石にライスは余計だった。
いや美味いから、結局は楽勝で全部平らげたけどね。


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駐車場の傍らからR106の下をくぐる小さなアプローチを使い、
しばし川縁で火照りを冷ましましょう。

それにしても今日は暑い。デニムジャケットの下に着て来た
スウェットをウエストバッグに仕舞って、丁度いい感じ。

※この日の盛岡は最高気温が26℃に達したそうな。納得。


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「ちょっとくたびれたから、帰りはところどころ旧道にチョッカイ
出すぐらいにして、ブラブラ戻ろうかな。」

トンネルのあるところ・大きな橋が掛かったところは、大抵
その脇に「昔の道」が手招きをしていて楽しいんだ。


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そしてサプライズ。国道の道中で一箇所、弧を描く大橋から
遠くへ大きな滝が視界に入るポイントがあってね。

ずっと気になっていたんだけれど、それを思いがけない程
近くで観られる旧道に出会えた。


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低く重い閉伊川の轟き、瞬く春の水面に釣られてしまうともう
素直に国道へは帰れない。

すぐ傍にもっと魅力に満ちた道と風景が潜んでいる、と思ったら
退屈なバイパスなんかおとなしく選ぶ気になど、なる筈がない。


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もちろん更に調子に乗って「エダのエダ」まで突っつき始めるので
やたらと行き止まりに当たってしまい、いつまで経っても全然
盛岡に帰れないんだけど・・・(笑)。

好奇心は尽きないものの、体力が先に音を上げそうな成り行き。


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実は早池峰山、北側からきつねが入り込むことを嫌う気配が
なんとなくいつも漂っていて、あまり探索したことが無い。

南の大迫は訪ねる都度に陽の気が満ちていて明るく迎えて
くれたのに、北はどうも「勝手口」的な雰囲気なんだよね。


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これだけ陽気に恵まれた春なら扉を開いてくれるだろうか?と
毛細血管の如く延びる林道を恐る恐る探ってみたけれど。

やっぱり例外を認めないようで、そのうち薄い雲のカーテンと
共に冷ややかな風が行く手から「待った」を掛け始めます。


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・・・ほーらね、最後は物理的に強制終了へと打って出た・・・。

まあ、スタミナも膝もリミットが見えている様な黄昏の頃合いで
未踏路を突き進むのは、そもそも得策じゃないからさ。

しかし、通行止めじゃなければ残り数キロでR106に着くってのに。
ここから折り返して、またダートを15km戻らなきゃいかんのかい。


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Touring as a Life・・・約束されたハッピー・エンドなんて無い。

その辺りは日々の暮らしや人生と一緒です。

でも反面、「無事是名馬」ってのもホントのことだからね。
スネたりゴネたりせず付き合ってくれてありがとう、セロー


際立つ様なプレシャスは得られなかったとしても、何事も無く
元気で帰って来られたなら、それはそれで幸せなことだもの。

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晴れの日ばかりじゃないけれど、雨の日ばかりでもないさ。 ~4月も末の顛末記~








「明日も快晴、ひと月先の様な陽射し」という予報がやや外れた
薄曇りの空に、正直少しホッとした休日。

お給料が出た後の平日休は通院やらアレコレの支払いやらの
野暮用で、まあ大抵半日ツブれてしまうから。

どっちみち未だセローのリアホイールも帰って来ていないし。
ショートパーツも全て揃うまで、もう少し掛かりそうだしね。


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朝からバタバタと洗濯やら月末の用足し各種やらを済ませ、
昼飯の後は思い立ってロードスターの埃を洗い流した。

数日前、トライアルの師匠・へーさんから思い掛けない
連絡が届いたからだ。

「身体に事情が生じて、しばらくバイクに乗れなくなります。
トラ練用だけにスコルパの自賠責取るなら、少し待ってね。」


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青天の霹靂とは、こういう場合に使うべき熟語だろうか。

冬が明けて品の良いメッシュホイールを履かされたNAを
前に、ひと回り年上の師匠はこう笑った。

歳も歳だし、いつか長くバイクを休む日もあるかな・・・って。
その心積もりもあってコイツを手に入れたわけさ、と。


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自分が初めてNA6を購入した時は「単車に乗れない日でも
これでストレスが無くなる」と思ったし、事実結構救われた。

もしクラッチを踏める脚力さえ戻れば、あのVR-Bもまた
きっとへーさんの心を大いに慰めてくれるだろう、と思う。

コイツの魅力は「屋根が開れられる」という面だけじゃない。


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前脚をアクセルOFFで手繰り寄せて切り、パーシャルスロットルで
コーナーを回って、アペックスから尻を沈めてリアタイヤで蹴る。

縦置きエンジン・シャフトドライブの後輪駆動は、師匠の愛する
GL500やV35イモラと同じ。操縦感覚も二輪を思わせる味付け。

決して我慢グルマの座に甘んじない存在感と満足があるもの。


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「多分今年のイーハトーブには出られない、と考えているけれど。
2か月先には案外ケロッとした顔で、バイクに乗れてるかもよ。」

昨年のクラス・チャンプはさしたる気落ちも憔悴も見せることなく
片手で郵政カブをガレージに仕舞いながら、微笑んでいた。

技術や経験は当然必須、でも勝利を最後に呼ぶ鍵は精神力。
師匠には病魔というセクションを相手にしても、同じなのだろう。


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「入院するのは連休明け。ゴールデンウィークに息子がNCの
リトラトップで帰って来るから、ちょっと遊ぼうよ。」

当地のGWは三日の晴れナシ、毎年天候が乱高下してしまう。
せめてその日は晴れますように・・・と、願掛けがてらの洗車。

いや、きっと好天に恵まれる。いつだってへーさんと走るとき
雨に祟られたことは、一度も無かったのだから。


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一昨日、リアホイールのスポーク調整と点検を依頼していたお店の
オヤジサンより「待たせて申し訳ない、ようやく出来た」との連絡。

職場の帰路で寄って引き取りアジトへ戻ると、申し合わせたような
タイミングで荷が届いたので、早速復帰作業へと手を掛ける。

慣れないなりに「手順を考える」と「手を動かす」を並行で進めると
要領こそ良くないけれど、案外にタイヤを組んで行けた。


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「新聞屋のカブのタイヤ交換ラッシュがひと段落着き、それじゃあと
このホイールを手に取った途端、お客さんが遊びに来てさ。」

「彼が帰った後に再開しようとしたら、ついさっきまで手許にあった
ニップル回しが無い。ナンボ探しても見つからなくて、さあ大変。」

「仕方がないから友達の店に借りに行ってコトの事情を話したら、
頷いて苦笑いされちゃった。『お互い、もうトシだねぇ』って。」


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きつねが48回目の誕生日を迎えた今月は、どうしたモンか
年齢絡みのあまり良くない話題ばかりが耳に入って来た。

老いた肉親の介護に目を回す先輩、同い年で思いがけず
体調を大きく崩した友人、そして師匠のこと。

自身の10年を振り返ると、紆余曲折はありつつも結局のところ
ほとんど変わらない暮らしを送って来た気がする。


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でも逆に「だからこの先10年も変わらない」という保証は無い。
身体のことに絞ってみれば、決して万全の健やかさでもない。

明日は我が身と心得よ・・・そんな声が何処からか聞こえる。
まあ、世を顧みれば長生きが美徳とも正直思わないけれど。

それでも生きている間は、出来れば笑っていたいじゃないか。


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「確かに諸説あるけど、俺の流儀ならスポークはパリッと張る派。
鮮度の良いスポークは、ほとんどシナらないぐらい締めるね。」

二本がクロスした真ん中を掴んでも、それは確かに2ミリ程度。

「やっぱりリムが古くて凸凹だから、振れは完璧にならなかった。
それでも『これで折れるなら他に原因がある』って出来かな。」


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振れ取りで擦れたベアリングシールはオマケで換えたよ、と。
待たせたお詫びのつもりだったのだろう、工賃も格安だった。

背筋がシャッキリ伸びた白髪の痩身、いつもキッパリした滑舌。
大きな声で笑うオヤジさんは、ホイールを手渡しながら言う。

「過ぎない程度に張るテンションが肝、スポークもチェーンも。」


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「北国のバイク屋にとっちゃ、どこも四月は『魔の月間』さ。
修理でも車検でも引き渡し予定日はマージン取りまくり。
なのにそれでもこの白髪アタマ下げっ放しになっちまう。」

それを知りつつ頼んだきつね、申し訳ないのはこっちなのに。
結局はオヤジさんから元気まで貰ってしまった。


さあ、セローは直った。そろそろケツ上げて、ギア入れるよ!

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里にも山にも、春のスイッチ。 ~ポキリもあるよ?~







今日のTOPには、意外なバンドによるカバーをひとつ。

コレの原曲を知っているのはきつねと同世代だろうけれど。
見事な程オリジナル通りで、目を閉じて聴いているとしばらく
「コピー」と気付かないぐらい巧いんです・・・事変、やるな。


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さて、「寒の戻り」の緞帳が突然開けたかのようにいきなり
初夏の日和りがやって来た我が北東北。

蕾が膨らんでから散々焦らしを掛けられていたソメイヨシノも
まるで爆破ボタンを押されたかの如く、一斉に開花。


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前日までとの最高気温差10℃ともなると、ほぼほぼ初夏。
そんな日にお休みが当たれば、そりゃもう走るでしょ!

※きつねの乗り物選択目安 気温10℃以下=クルマのみ
  10℃~15℃=自転車orゴリラ それ以上=セロー
  スポーツスター。 
  意地張って我慢を強いてまで乗る年頃は過ぎました。


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「カモシカ乗った兄やん、今日の日和はイイ感じだよね。
アタシも畑の見回りに出るの、久しぶりのことなんだよ。」


もやんと春霞な岩手山の左ウィングに連なる秋田駒ケ岳の
なんとまあ麗らかで美しいことよ。


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寝ぼけた古いレフティJEEPと出会った町は、北東にあった。
強風の中、春を迎えにスポーツスターで向かったのは南。
けーたろーにミニベロ積んで散歩して来たのは、南東の方。

そーすっと今日のチョイスは北と西・・・よし、西行きでキマリ
但しヤマに入るには、まだリアルタイムな情報が無いんだ。


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「こんな時には久々にヌシんトコへ顔を出してみようか?」と
「夢や」へ・・・おおっ、11時前なのに開店してるよ!珍しい。


盛岡のウェスト・サイドに限って言えばココの店主よりも山と
自然を知り尽くしているヒトは、まあ多分滅多にいない。

難を挙げるとしたら、料理もシャベりも文句無く旨いけれども
豪傑過ぎてマヂとジョークの境界がアヤフヤな点ぐらいかな。


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西洋モノの上等なコースは、盛岡じゃ都会に太刀打ち出来ない。

しかしあえて「逆」を張らせてもらえるならば、こんなお品書きが
載ったメニューを出せる店もまた、都会では有り得ないと思う。

そう、「その日のオヤジの釣果に賭けろ」って博打よ?(爆笑)


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御近所の馴染みの予約で通常よりも早く開いたらしいオカミサンに
「あら、きつねの兄さん、久しぶりね!」と歓迎されて、軽く会釈。

どうもバイクで来る客は俺だけらしくて、しかもモリアオガエルとか
サンショウウオの話に喰いつくヤツは更にレアだからなのかな。

彼女の「毎年来る客リスト」に顔が載っちゃってるみたいなんだわ。


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「例年3月で在庫切れの食材だけれど今年はストックに余裕アリ」
でギリギリ注文の利いた、期間限定な「熊鍋定食」。

私たちは冬の初めに食べる。すると春まで風邪を引かないのよ。

そーか?俺はオツムの加減で風邪引かねーのかと思ってたよ。


夫婦漫才に笑いながら、そりゃもう汗だく楽勝でガッチリ完食。


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「うーん、きつねの兄さん、あのヤマハを担ぐ気はあるかい?
川の様子を見て分かっただろ?今年のヤマは雪が深いよ。」


御明神エリア界隈で山越えを試みるならGW以降だろうな、と
ヌシのアドバイスを受けてR46まで引き返すことにする。

「そーだよ兄やん、ウチの父チャンが言う事に間違い無いの。
そうそう、サイドバッグに万が一の発煙筒は積んで来た?」



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それでも懲りないイタズラぎつね、やっぱり林道の誘惑と未練が
断ち切れなくて、陽射しにつられ脇道へホイホイッと。

まるでダート・ファンを手招きしているような、立派な造作。

「道の駅 雫石あねっこ」の真正面に建ててあるというのに、
なんで今日の今まで気が付かなかったのかなぁ。



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あらま、気の早いこと。大きな水溜まりを覗いてみたら既に
両生類の卵がしっかり産み落とされておりましたよ。

手前の卵塊の中では黒い命のタネがクルクル蠢いていたので
もう結構前からココに在ったんじゃないか、と思うんですが。


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道端で一服つけるきつねの傍ら、手を挙げて抜いて行ったのは
これも近頃では珍しくなった幌屋根のJA11ジムニー。

フキノトウを採りに来たご夫婦の愛車だったけれど、絵になるね。

見方によっては、クロカン4WDの軽で更にオープンカーにもなる
すんげぇ贅沢なバージョン、是非遺して欲しかったなぁ。


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結局この界隈は、どのルートも「夢や」のオイチャンの言葉通り
まあこんなモンらしい・・・はい、残雪の通せんぼ。

でもね、心ウキウキ。何やっても何に当たっても、笑っちゃう。
桜咲く街から雪融けの匂いまで、季節を自在に行ったり来たり。


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沢になった道を漕ぎ漕ぎ戻る道中、「どこまで行けたの?」と
先程のジムニーの御夫婦に声を掛けられた。

ここ数年の秋が来る都度の記録的な大雨や台風で荒らされ
橋が流されたり土砂も崩れたりで、ずっと工事中なのだとか。

あー、それでタチキンだったから今までスルーしてたのか俺。
5月に入ればまた、作業再開で封鎖になるのかな。


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「どこ入っても雪に阻まれピストンの行って来いになるけれど、
R46を上りながらエダにチョッカイ出すのも楽しいかな。」


まだまだシーズン入りたて、ダートの勘を取り戻すつもりで
午後の間じゅうプラプラしてみるつもりになっていたのに。

突然チェーンがカション!カション!と音を立ててしゃくり始め
きつねの脈拍を跳ね上げる・・・ええ何?ミッション逝った?!


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慌ててセローを路肩に寄せて、リア周りをひとつひとつ確認。

うへぇ、原因はまたコイツかよ・・・スポークが折れてやんの。
6年ぐらい前に総取っ替えしたのに、2年毎に一回ずつポクン。

「一昨年みたいに遠方でパンク招かなかっただけマシか」と
クルクル外し、極力一定速度を保ってアジトまで帰還。


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たった2時間そこそこで終わってしまったランブリングに肩を
落としながら、ついでにリアタイヤのビードも落とします。

FMからは「皆さん、もうお花見したくてソワソワしているかな。
本当に暖かくて春爛漫そのものの午後ですねー」
なんて声。

なんかこういちいち神経逆撫でされて癪に障り、スイッチOFF。


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何も構えず抵抗も無くスルスルとリアタイヤを脱がせてしまった
自分にちょっと驚きながら(←過去一度しか着脱経験ナシ)。

ヤマハさんがバラ売りしてくれないおかげで無駄に貯えられた
スポークから、合うヤツを捜して自分で仮組みしときます。

ドラムブレーキのセローは左右対称なハブだから、全部同じ
長さなんだよね(ディスクになった4JG以降だと非対称)。


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折れた瞬間には「何でよ!?」と怒りすら込み上げたものの。
理由の思い当たりを探れば、まあ確かに結構あるかなぁ。

昨シーズンは判断ミスから二度も崖や路肩に落としているし。
深い水溜まりにハマった時は木の枝を噛み込んでいたし。

イレギュラーな負荷を強いたものね、セローにもスポークにも。


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北の師匠・クマさんからは「リアブレーキに心当たりは無い?」
「遊びが無いとサスの伸び縮みでも瞬間的にシューが当たるよ」
とのメール。

トラブーツを履くようになって以降、とっさの時にロック出来るよう
林道の入り口でノッチを詰める癖がついて・・・。

そう、それからだよ!スポーク折れが頻発し始めたのは。


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「あと、出来ればアクスルシャフトも新品交換がオススメかな。
古くなると目視や触感で分からない減りとか歪みが出るから。」


流石は何台分もスポーク張り替えまくった経験を持つクマさんです。

成り行きでリアブレーキの確認とメンテを終えた後、ホイールを
けーたろーに積んで馴染みの輪店へと持参。

今後も気持ち良く愛用したかったら、全体の張り調整はもちろん
リムやハブのコンディションも本職の目でジャッジして欲しいもの。


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「きつねさん。ウチの状況、分かるよね?来週までは無理よ?」

オヤッサンの傍らに17インチのタイヤが、等身大ビバンダムの
如き高さまで積み重なっております。

そう、新聞屋のカブのタイヤ交換ラッシュなんです、今時期は。

「どーせ待たされるんなら駆動系も一新しちゃえ!」という事で
きつねのアジトは当分の間、ご覧の状態でフリーズであります。


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今日から天気も下り坂らしいので、お手入れに励むべかなー。
シーズン早々ガッカリな展開・・・まあ仕方ないねぇ、トホホ。

テーマ : オフロードバイク関連
ジャンル : 車・バイク

tag : セロー メンテナンス 林道ラン 修理 冬眠明け

プロフィール

狐ヶ丘 紺之介

Author:狐ヶ丘 紺之介
1970年生まれの乗り物好きな中年ホンドギツネ(オス)。
クルマもバイクも好きなのに、精神構造が基本アナログ。
四輪はM/T派、二輪はキャブ派という典型的な昭和男。

ニンゲンに化けたは良いものの21世紀の流れに乗れず、
世間と森の境目辺りでひっそりブログを綴っております。

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