そのままの、あなたでいて ~俺のお気に入り、俺のじゃないけどお気に入り~








「職場に課せられた宿題」に煮詰まり気味だった日々も、どうにか
テキスト作りを八分目まで片付けることが出来、ひと安心の今宵。


連日最高気温が例年を越える好天のあと、三日も日付けを跨いで
肌寒い北西の雨に見舞われた北東北の当地は、今の空気がもう
エクストラ・クリア。

ゴールデン・ウィークに旅をもくろんだロング・ライダーたちにとって、
15℃を切る最高気温は手厳しい洗礼となったかもしれないけれど。


K_20160430205500bfd.jpg



風雨が念入りに大気を洗ったその分だけ、とにかく風景の輪郭が
鮮明で美しくて。

日影になる時間の長い谷間や近郊山間に咲き残るソメイヨシノも
きっと長く楽しめるはずだから・・・。

どうか岩手の旅路を良い思い出として残して行ってほしいものです。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


さて、諸事情で一ヶ月振りに「泊まりのピンチヒッター」を無事務めて
アジトに着くなりパタンとベッドへ倒れ込んでいた、昨日のきつねメ。

午後に起き出すなり財布の薄さに気付くも・・・くそ、祝日かよ・・・。

気分転換も兼ねてのプチ・ドライブも悪くはないか、と口座のある
金融機関の本丸を目指して街を横切ると。

路肩に大きな丸いお尻を向けて、面白いものがパークしていました。


A_2016042919243465f.jpg



仮に「TSD40改」と型式名を口にしても、相当守備範囲の広い旧車好きで
なければ、なんのことか分からないと思うけれど。

でも「県北名物のボンネットバス」と言えば、岩手県民なら誰でも一度は
その姿を見た記憶があるだろう、「路上のレジェンド」です。


俺、このバスのことがとっても好きなんだ・・・子供の頃から、ずうっと、ね。


B_2016042919243559e.jpg



`90年代初頭までは県央~県南にネットワークを持つ岩手県交通でも
黄色いヤツを所有していて、厳寒期の銭掛峠への路線を走っていて。

最後は白とブルーに塗り分けられた「小岩井まきば号」として、駅前を
去って行く姿をよく見かけたものです。

この県北バスのTSD40も真冬の八幡平が活躍のステージで、温泉や
ゲレンデへ向かうお客さんを乗せ、今でも走っているのです。

もっとも最盛期に3台いた兄弟たちは全国へ旅立ち、 現役で残ったのは
最古参の「岩2 61-11」のナンバーを持つコレだけになってしまったけれど。


D_201604291924383fe.jpg



古式ゆかしい長いシフトレバー、ナマのディーゼルらしい「ごうんごうん・・・
ごうごぉごぉごぉ・・・」と、のんびりした響きのエンジン、低く「ひぅぅぅ」と唸る
総輪駆動時のフロントデフ・ギアの音も。

まるで宮崎アニメに登場するメカのような、機械っぽくもなんだか人間くさい
存在感が心を震わせる何かを秘めていて、好きにならずにはいられない。


C_20160429192437c15.jpg



昭和43年に新車で県北バスに納車されて、もう約半世紀。

俺が生まれる前から、岩手の四季や世の移り変わりを見つめて来た
この老兵は、幾度となくお色直しを受けて来たけれど。

近くで眺めると48年分の疲労を溜め、全身に錆が回っていることを
伝える・・・たぶんお役御免になる日も、そう遠くはないんだよ・・・と。


E_20160429192440328.jpg



全国には意外なほど多くのボンネットバスが生き残っているけれど、
その多くは「観光用の客寄せ」として後年、他社から譲渡されたもの。

`70年以前に現地登録されたことを示す「2」のシングル・ナンバーを
維持して来た現役は、全国でもコレ以外残っていないんじゃなかろうか。

パートタイム式全輪駆動の逞しい走破性故に、丸いボディと無骨な顔、
木床や鉄板むき出しのダッシュボードといった往年のバスの 「味」を
伝え守って来た、愛おしき「いすゞ TSD40 改」。


カタチあるものは、いつか無くなる。
昨年生家を取り壊された自分は、そのことを痛いほど分かっているつもり。


今のうちにコイツの姿を目に焼き付けておきたくて、残しておきたくて。
名残り惜しさを胸に秘めつつ、デジカメのシャッターを切り続けました。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


一夜明けた今日は、「蓄年の悩みを解決してくれるかも・・・」と加工を
お願いしたパーツを引き取りに、ロードスターを引き出しました。


A_20160430203947a51.jpg


「夜まで一日晴れ」というネットの天気予報を信じ、けーたろーではなく
あえてユーノスで先方へ向かったのには、ちょっとした理由があってね。

だから予報が少々外れ、埃を払ったフロントウィンドゥにポツンポツンと
雨粒が当たって来ても、さほど気にも留めませんでした。


B_2016043020394888c.jpg



一旦グルッと郊外まで遠回りし、久々のツインカム・サウンドを楽しんで
(あれ?気付けばDOHCエンジン積んだ所有車両、もうこれだけだわ)
路地裏へ入り込みたどり着いた先は、知る人ぞ知る小さな内装屋さん。

「家具のソファー張り替えからクルマの内装全般まで修繕請け負い!」
という老店主さん。

依頼のために飛び込みで訪れた際、弟子(息子さん?)共々もう延々と
`70年前後の旧車や当時の盛岡自動車事情で盛り上がってしまって。

「最初に買ったN360のタイヤは一年で2セット換えても持たなかった」とか

「ホントはB10サニーが欲しくてね。次のB110は尚のこと涎が出た」とか。

「今も地元トヨタ系ディーラーのクジラ・クラウンのレストアに参加していて、
仕事の合い間に内装をこしらえている最中なんだわ」・・・と。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


C_20160430203949f7c.jpg


出前仕事への入れ違いとなってしまったオヤジさんが目を細めて、

「コイヅぁ車庫保管っか?ロードスターったら、やっぱりコレさねェ!」

と去って行った後の工房の縁側に残っていたのは、セローのシート。


そう、四半世紀の酷使に耐えかねたアンコのスポンジがヤレたので
「まだ生きている外皮はそのままに、中身だけを新品以上のモノと
入れ替える」という、プロならではの離れ業を依頼してあった訳です。


D_201604302039504ed.jpg



見た目はオーダー時の相談通り、ほぼノーマルのシルエットだけれど。

引っくり返して水抜き穴を除くと、純正ウレタンとは違う「へっちん」の
硬質スポンジが垣間見える・・・という次第なんであります。

実は「お尻の重さを長時間支えてくれる腰のあるアンコ」を望んだため
表側に一層、更に堅く潰れにくい5m/m厚のスリップレス・ゴムも追加。


E_20160430203952fc6.jpg



「長期在庫品を使い切りたいから、コレも一枚、張ってみないっか?」

という提案に乗った結果が「吉」と出たようで、ご覧の様に局部的に手で
圧してもへコまず、周囲まで分散して張りを保ってくれる仕上がりに。


座った瞬間にペナッとカステラの如くツブれてしまっていた加工前とは、
もうこの時点で雲泥の差が・・・これ、ちょっと期待して良さそうな予感。


F_2016043020401202f.jpg



受け取った時のファースト・インプレッションへの興味が抑え切れなくて
アジトに帰還するなり速攻で装着し、テスト・ランへ出向いてみました。


その感想は?と言うと・・・いや正直、イメージしていた希望通り・・・!


お尻の感触はモッチモチのプリップリ、おかげで20m/mぐらい座高が
上がった感じの視点になりました(笑)。


座面の面積を広げたわけではないから、良し悪しの度合いは長距離を
掛けてみないとジャッジメント出来ないけれど。
ヘタったノーマルよりは明らかに、その座り心地が好転しています。


G_201604302040136ea.jpg



「張替加工のオーダーを受けた数は、長年で星の数ほどあるけれど。
バイクに関しては趣味で乗っている訳じゃないし。
車種やオーナーの好みによってはむしろ柔らかくすることも多いよ。」


風変わりなきつねの注文に、ソフトなへっちんや低反発素材と共に
ハーレー用のキング&クイーンから白エナメル三段シートまで(笑)
過去の作例アルバムを見せてくれた、壮年のオヤッサン・・・。


機会を見て近いうちにこのセローを乗り付けて自作品に座ってもらい、
「こういう狙いの顧客もいるモンなんだ」と伝えられたら、嬉しいなぁ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


H_2016043020401515e.jpg



そうそう、シートの加工依頼と前後してオーバーホールを手掛けたため
この日に初めて味わうことになった、DIYリフレッシュ・フロントブレーキ。

識者のサイトでは「純正ノーマルのままのマスター・シリンダーでステン
メッシュを組むと効きが鋭くなり過ぎ、ダート向けには勧められません」
ってな記述も目にしていたけれど。


いやもう、いいかげん全て経年劣化の進んでしまったビフォー時に比べ
「な~んにも悪くなったところなんかありません」というのが正直な感想。


購入当初から感じていたアマい効き味に、「これが林道向けセッティング」
と思い込んでいた自分を蹴散らしてしまう程、リニアでコントローラブル。

オイルライン関係全更新が交換したまっさらなディスクの効果を引き出し
「効き」を正確なものにしてくれたんでしょう、きっと。


J_20160430204018ed6.jpg



シートの加工とフロントブレーキに投じた費用、総額たったのサンマンエン
(そう、安本シートさんの工賃は全国相場で見ると破格値なんです・・・)。


「テマヒマと時間と予算を割いたのに、見た目は99パーセント以前のまま」。


カスタム熱の高い若い層の目には、これほどつまらない手の掛け方は
たぶん「ありえない」選択なんでしょうが。

ふふふ・・・そのうち10年か20年経てば、「変えずに代える」ことの大切さと
奥深さが、分かるようになるから・・・ですよね?ベテラン諸兄の皆様方。
スポンサーサイト

テーマ : メンテナンス&ケア
ジャンル : 車・バイク

tag : もの思い セロー ボンネットバス ロードスター シート加工

プロフィール

狐ヶ丘 紺之介

Author:狐ヶ丘 紺之介
1970年生まれの乗り物好きな中年ホンドギツネ(オス)。
クルマもバイクも好きなのに、精神構造が基本アナログ。
四輪はM/T派、二輪はキャブ派という典型的な昭和男。

ニンゲンに化けたは良いものの21世紀の流れに乗れず、
世間と森の境目辺りでひっそりブログを綴っております。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR