あの頃には、帰れない。だけど。






今日はちょっと思うところあって、このナンバーをTOPに。


そうなんだよ・・・決して誰もが、生まれ落ちてから夜の星になるまで
ずうっとずうっと胸張って、お日さまの下を歩み続けられる訳じゃない。

意図せず浮いたり沈んだり、這いずったり立ち上がったり転んだり。
移り行く世の中は、曲がりくねって歪んだ平均台のようなものだから。


この曲が抱く力は、真っ直ぐにしか歩けない不器用な奴の方が
強く感じ取れるのかもしれないね。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


A_20160529185612f20.jpg



きつねの街にローカルチェーンの「コンビニ」が出来たのは、おそらく
昭和60年以降。全国規模チェーンの進出は`88~`89年になってから。

自分は十代の中頃までに、「それ以前のモリオカ」を体験していた。

誰もが寝静まった深夜、灯台のように灯ったコインランドリーの描写を
リアルに想像出来る最後の世代だろうか。


B_20160529185613d93.jpg



考え事と世迷い事に煮詰まる昼下がり、凝り固まったアタマをほぐしに
ぶらりとゾンビ・ゴリラで散歩に出向いた先が、「あの頃の遺産」である
バスセンターだったのは・・・この曲が心の隅にあったせいかもしれない。


C_20160529185615afc.jpg



もう長くこの街に暮らしている割に、あまり係わりがなかったけれど。
「昔からアタリマエにある存在」、バス・ターミナル。

生活にも街並みにも、あまりにナチュラルに溶け込んだ施設だから、
まさかこの建物が公営ではなく民間企業の所有物だなんて、最近まで
考えもしなかった。


D_201605291856169da.jpg



ここ一年でぞろぞろと、「昭和の遺産が消える」というニュースが
増えて来たように感じる。

かつての都市中心部がドーナツ化で「人口の空洞」となったため、
老朽化に対し多額の建て替え費用を掛けても元が取れない。

岩手に限らず、地方は今や不景気と少子化で県全域が過疎化。
仕事のある土地へ向かう人口の流出も、止まらない。


I_20160529185647427.jpg



駅から官庁街を通り中心部を結ぶ、或いは盛岡をハブとし他地方と
リンクを結ぶこの場所を失くす訳にはいかず、「市が用地を取得」
という流れになったようだけれど。

きつねより10才年上の建屋が年内に姿を消すことには、変わりない。


H_20160529185645a6e.jpg



庶民が個人の「移動の足」を手に入れるには、バイクがせいぜいという
昭和35年。

自分の好きな「旧車」が現役だった頃、それにまだまだ手が届かぬ
ほとんどの市民や旅人が、この場所を軸に人生をクロスさせていた。


G_2016052918564418b.jpg



小学生の頃、(ホントは条例で保護者同伴の建前があったのに)
友人とスキーへ行くには、ここが出発点だった。

そんな`80年代前半には、もちろんまだ時流から外れていない建物に
思えたけれど・・・。

リニューアルを受けずに生き続けると、こんなにも強烈な違和感が
生じてしまうものか、と衝撃を禁じ得ない。


E_201605291856177df.jpg


多分バブル辺りには、まだ所有者の岩手県交通にも新装する価値も
余裕もあったはずなのに、なぜ手付かずのままここまでガラパゴス化
したのか。

「全国の県庁所在地で最もボロい」という噂もあるバス・ターミナルは
不思議な「天然水の中で保存されてしまった、生ける昭和遺産」。


F_20160529185642ce2.jpg



惜しんでも嘆いても「ほぼ利用しなかった」きつねの声に、力などない。

もう利益を生めぬ不動産に対し、市民の感傷のために巨額の予算など
誰も割かない。

一杯のワンタンメンを、「サヨナラ」の言葉の代わりに捧げた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


K_20160529185718fc9.jpg



帰り道をぐるっと遠回りして背後の山へ走ったのは、いたたまれない
気持ちになったから、なのかもしれない。

生まれ暮らした街が時の流れに抗えず、加速度的に「違う街」へと
変わって行くことをリアルに目の当たりにし、少し辛くなったのだ。


N_20160529185723e5d.jpg



大人の事情で数年前から今年にかけて、生家も本家も姿を消した。

かつて市内の風景を形作っていた、板塀に囲まれた大きな旧家も
気づけばここ数年でずいぶんと、月極駐車場に化けてしまった。

それぞれの所有者には、きつねの身と同じように紆余曲折諸々の
物語があって、そういう成り行きになったんだろうな・・・と思う。


J_201605291856481e2.jpg



時の流れは常にノンストップの一方通行で、だれにも止められなくて。
必要とされるものは時流の波に乗せて、生き残って行けるけれど。

でも・・・「合わないもの」「要らないとされたもの」は、問答無用で
全てツブされなくちゃいけないんだろうか・・・と。

それではあまりに切ないから、変わらぬ風景の中に身を置きたくなり
無意識に山や森に向かって、きつねはゴリラを走らせたんだろう。


M_2016052918572153a.jpg



全て、変わってほしくない。失いたくない。でも・・・それはわがまま。

変われない、変わりたくない、どうにも出来ない、と思い惑った時に
「変わらない場所」へ出掛けて行ける。

そのことが、詰んだ心を救ってくれるように感じた初夏の午後。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


P_20160529185744b71.jpg



アジトへ戻る道すがら、「路地裏の彼」が元気でいる様子を確認。

クルマやバイクは、いいよね。

減ったりヤレたりしても、少なくとも同じ年代の建造物や不動産より
負担が軽いから。

まだ個人規模で生き永らえさせてやる選択肢、余地があるもの。


O_20160529185725905.jpg


支払期限が迫った自動車税納付書を眺めては、溜め息つきつつ
寒い懐の算段をする黄昏時なのでありました。
スポンサーサイト

テーマ : スーパーカブ系
ジャンル : 車・バイク

tag : もの思い ゴリラ 昭和 盛岡バスセンター

プロフィール

狐ヶ丘 紺之介

Author:狐ヶ丘 紺之介
1970年生まれの乗り物好きな中年ホンドギツネ(オス)。
クルマもバイクも好きなのに、精神構造が基本アナログ。
四輪はM/T派、二輪はキャブ派という典型的な昭和男。

ニンゲンに化けたは良いものの21世紀の流れに乗れず、
世間と森の境目辺りでひっそりブログを綴っております。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR