人生の岐路と、お天気雨。おかしな出会いと、リアサス整備。







今回のTOPには子供の頃からお気に入りの、古くメロウな一曲を。


書き手が思い描いた土地は、南欧の港町だろうと思うけれど。
きつねが4年ほど前までイメージしていたのは、荒れた大間崎の夜。

でも・・・その後で、長く憧れ恋い焦がれた北海道を旅した今では。
独特の旅情を宿した旋律へ重ねる風景は、釧路に代わっています。

華美じゃないし軽くもない。寂れてもいないけれど、とても静かで
落ち着いた深夜の横丁、安ホテルの窓から眺める街明かり。


叶うものなら今年も走りたかった、久々に叶えるつもりだった、
北の大地の独り旅。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


半世紀に届きかけた人生で、これまで向き合ったケースが3度しかない
「心が壊れるということ」と「心が望んでいること」との、せめぎ合い。

魂の分水嶺で切羽詰まった挙句、万策尽き止む無く出た行動の結果
それは思い掛けないタイミングでの長期休暇を放ってよこしました。


QD.jpg


「旅にでも出てリフレッシュして、また考え直してみてくれよ。」と
ボスは真顔で言ってくれたけれど・・・。

絶対首を縦に振らない不退転の覚悟でホンネを切り出した身には
とてもじゃないけど旅の手配など、進める気力は残っておりません。

大切な何かがスッポ抜けたきつねは以降数日、抜け殻の身体を
ベッドに横たえて過ごすばかりでした。


QE.jpg


但し・・・過去に道南・道東と巡って残した土地は、よりによって
宗谷や網走といった道北エリア。

もしこの時期に訪ねても、きっと気候的には北東北に於ける3月
上旬並みのシビアな厳しさ・・・ベストシーズンからはおそらく
ほど遠かったはずなんだけれどもね。


そんなこんなで数日を経て、ようやく気晴らしに出る気になった午後。


「ふらんすへ行き立しとは思へども」の詞に沿うつもりはないものの。
車検上がりのロードスターを駆り、県南の信号皆無な快走ルートたる
県道37号線、通称「エセ北海道」へとスロットルを踏む成り行きに。


QF.jpg


北東北と首都圏を結ぶ大動脈・R4の抜け道を担う県道13号に対して
更に迂回の遠回りで山際を県境まで走る県道37号は、通常トラックも
選ばないようなパラダイス・クルージング・ルート。

カーナビに頼って走る今どきのドライバーなら、その存在にすら思いが
至らないような「地図フリーク御用達の快走コース」なんです、が。


QG.jpg



富良野や美瑛に負けず劣らずの雄大でフォトジェニックな画が撮れる
「我が県の誇る『なんちゃって北海道』」も、予測不可能なほど気まぐれな
近年の天候不順には太刀打ち出来ませんで・・・。

やっと立ち直りかけた心持ちも、曇天から落ちる小雨にすっかり反転。

おまけに愛用のデジカメまでも突如モード切替のダイヤルが空転する
というトラブルに見舞われ、幌を上げてシッポ巻いて帰って来ました。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


RB_20170422171014dbf.jpg


そんなわけでイカれたエクシリムを修理に出し、予備機のオリンパス
510を叩き起こして。

「せめて青空がのぞいた時は、お日さまの下に居た方がいいさ」と
思い直し、今度はセローを引き出してのリベンジを。


RC_2017042217101649e.jpg


コントラストのキツい写り方で少々使い勝手が悪い510なれど、、
「どこかで満開の桜に会いたいなぁ」と考えながらの気まぐれ散歩。

あれこれ思いや迷いが心の深いところで渦巻く時、気分を外へと
向かわせてくれるバイクは、何よりのビタミンになります。

「嗚呼、昔オヤジや伯父さんが言っていたのは、こういう事か」と
雪溶け水で沢掘れした路面を読みながら、ついつい独り言。


RE_201704221710192f1.jpg


「墓地や病院、曰く因縁のついた古くからの建物を壊した土地は
サラに戻した後、しばらく風に晒しておいた方が良いんだよ。」

いささかオカルティックな話でナンなんですが・・・。

長年多くの想念が沼の如く澱んだ土地は、気ぜわしく次の活用へ
急ぐべきではなく、月日が洗い流してくれるまで放っておけ、と。


RD_201704221710177ec.jpg


じっと空気の動かぬ部屋へ引きこもっていては、心配しても仕方ない
この先への要らぬ不安が、ただただ渦を巻くだけ。

悩むだけ悩んで思考の袋小路で詰んだなら、あとはもう、ケセラセラ。
「次にやること」が決まっているなら、踏み出す以外にナンも無いもの。

早春の南風は頬を撫で、陽光がジャケット越しの背をそっと優しく抱く。
止まればまとわりつくネガな雑念を、単気筒のビートが振り払って走る。


RF_201704221710203f4.jpg


FLOW・・・水も、風も、時間も、季節も、留まることを望んではいない。
きっとヒトの心も、また同じこと。

麓へ降りて生温くなった缶コーヒーのプルトップを引けば、まだ真新しい
傍らの杭には、「カモシカ桜」の銘が刻んでありました。


アハハ、出来過ぎだよね。ナンなんだよ、この安っぽい展開は(笑)。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


RG_2017042217102275f.jpg


ようやくポジなマインドのシッポを捕まえた!と思ったのも、束の間。

正午を回ったところでコンビニのおにぎりを頬張っていると、見る間に
四月の青空が狭く小さくなって行きます。

福岡発か、はたまた伊丹発なのか。南の方からやって来た旅客機が
花巻空港へ向けて大きくバンクするや、その機影は雲をくぐりました。

着陸数分前のあの高度で・・・こりゃあ残る青空を追うまでもなく、
すぐに降って来るだろうなあ。


RH_2017042217102338b.jpg


出来ることなら、スロットルと共に握った前向きな気持ちを大切に
守って、アジトまで帰りたいのに。

出来ることなら、「やっぱりツキに見放されてる」なんて思いたくは
ないというのに。

やがてテチテチと音を立て、空の涙がシールドを叩き始めました。


「きつねのすごろく、てんきにたたられ、ふりだしにもどる」。嗚呼。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


RK_201704221710284fc.jpg


ダークグレーのモヤついた雲を振り切り、さほどデニムを濡らすことなく
盛岡へ逃げ帰った中年ぎつねとおんぼろカモシカ。

「このまま気分を引っくり返されて一日終えるなんて我慢ならない!」と
駆け込んだのは、以前から気に掛かっていた「二代目ぱんだ」。


じゃじゃ麵は決して『ご当地なんちゃらグルメ』とリッパなお神輿に載せ
担ぎ上げるような存在じゃない。

何故ならそれは、屋台の焼きそばと肩を並べるジャンクフードだから。

いつの間にか姿を消していた「みたけのぱんだ」は、とても小さく古い
地元の高校生と配送屋の兄さんが立ち寄るような路地の角店でした。


RM.jpg


まず、その店によってテイストの違う肉味噌を、ちょいと味見する。

そしておもむろに備えつけのラー油と酢、おろしニンニクを注ぎ
躊躇なく一気にかき混ぜ。

へぇ、ちょっと魚粉入れていて風味が面白い。お、南蛮醤油もある。
入れちゃえ入れちゃえ!

じゃじゃ麺は決して居住まい正して頂く、お上品な料理じゃない。
ひたすらガッツリ行くんです。だってこれ、おやつだもん。

肉食獣の胃袋なら特盛りでイケる。メニューにライスなんか無いのも
あの頃の「ぱんだ」の流儀、そのままです。


RN.jpg


「『ちーたん100円』って高くないか?」と聞くのも、本当はヤボな話。

少なくともきつねメは、「ぱんだ」で悠長にちーたんを頼むお客なんて
ほとんど見た記憶が無いんだもの。

注文からさして待たされず速攻で出て来ることも、宅配便の運転手や
タクシー・ドライバーに愛された理由だったのだから。

但し「二代目」はひたすらワイルドで早かった初代より、キッチリ丁寧に
煮上げて作っているから(そもそも麺が太いので本来これが当たり前)
水切りもパーフェクト。

ここが「絡めてナンボ」なじゃじゃ麺では大きなポイント、好印象です。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


RJ_20170422171026369.jpg


ヘルメット抱えて食券を求めた時から、ちらちらと時折りきつねの姿へ
視線を向けていた、店主と思しきイケメンの兄さん。

ちょうど昼のお客が捌けたタイミングなこともあってか、照れくさそうに
「えへへ、出て来ちゃいました。古いセローなのにキレイですね。」。

訊けば彼もNSR250R(!)を愛用するバイク乗りで、何度交換しても
すぐイカれてしまうPGMユニットにほとほと疲れ果ててしまったそう。

「今度は逆に、いつも気楽に安心して乗れるヤツに換えたいんです。」
という彼に、「実はコイツも、もうCDIがメーカー欠品で・・・」とお返事。

「ダートランや長いツーリングを狙う訳じゃなし、本命はトリッカーかな」。

思いがけない場所で、思いがけないヒトと、バイク談義で盛り上がる。
天気には恵まれずとも、災い転じて福と成す。出掛けて正解でした。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


SA_20170423195321b48.jpg


爽やかな青い空に誘われて、走り出したらやっぱり雨降り。
それならそれで割り切って、やりたいことだってあるさ・・・と。

限られた休暇も折り返しの日は、最近気掛かりだったリアサスの
リンク周りを思い切ってバラしてみることにしました。

自分で以前グリスアップしたのはチェーン・スライダーを取り換えた
数年前のことだから、以降1万5000kmぐらい走っているはず。


SB_2017042319532336b.jpg


きつねはこのフローティング・リンク式のモノサスが、とにかく苦手。

ニンゲンで例えるなら腕や足の関節が一個か二個よけいに付いて
いる感じで働きの理屈も分かり辛く、メンテナンスもメンドくさい。

「最小のサスで最大の動きを求めた」ことぐらいは分かるけれど、
「たくさんニップル付けときゃイイだろ」みたいなリンク周りが、ねぇ。


SC_20170423195324661.jpg


そのニップルの先っぽのボールだって、泥や埃で固着していたり。
グリスが出て行く先の穴も、たまーに油カスで詰まっていたり。

そもそも周囲を全部ゴムでシールしていたら、新しい油分を
注入した際に、古いグリスはどこへ出て行けば良いんだろか?

・・・てなことをブツクサ考えてみたり。

何のことはない、一番メンドクサいのはきつね自身か。ハハハ。


SD_20170423195325705.jpg


オーバーホールを経てしなやかな動きを取り戻したフロントフォークの
影響か、なんとなく以前より作動がシブくなったように感じるリアサス。

でもいざ実際にバラしてみると、過ぎた月日からは意外に感じるほど
どのリンクにもグリスが回っておりました。


SE.jpg


確かに年一辺ぐらいはニップルから給脂しているつもりだけれど、
それだけでここまでまんべんなく潤ってくれるもんなのかなぁ。

「一度しっかり塗っておけば数年は保ってくれるもの」だとしたら
・・・あれ?やっぱり「閉じ込めちゃうぞシール」のお陰かしら(笑)。


SF.jpg


唯一グリスが切れていたのは、サス・ユニット取付部の両端だけ。

そもそも(なんか無駄に多い気がする)リンクの皆さんがダイナミックに
躍動して下さるため、ここの作動量は大したことないと思うんだけど。

特に上端の方はタンクの陰に隠れていてなんやかんや周囲のものを
着脱する羽目になるため、本来イジるのが苦手なきつねメ的には
とっても億劫になってしまいます。

「きっとあんまり動かない」んだけど、裏を返せば「少しは動く」もの。
手を汚しただけ・時間を掛けただけ、ちょっぴり良くなると信じて。


SH.jpg


ついでに、こんな機会じゃないと念入りに触れないチェーンも整備。

リアのスプロケの山もずいぶん尖って来ているので、先はそんなに
長くないと思うんだけれど。

クリーナーを吹いて洗って、使い差しの昔懐かしい白ルブを噴いて。
全部のコマがクテクテと動いてくれるまで馴染ませ、余分を拭き取り。


SI.jpg


最後に粉まみれのドラムブレーキをエアプローして、カムの軸にも
グリスを塗って・・・うん、これで以前よりも滑らかに動くようです。


結局部品は何ひとつ換えていないけれど、のんびりと考え考え
半日掛かっての地味ジミなメンテナンス。

だけどきっと昨日より、ちょっと良くなる。うん、明日はもっと良くなる。
セローの調子も、きつねの未来も、頑張った分だけ、きっと良くなる。


SK.jpg


さあ、あとは陽光降り注ぐ青空の朝を、迎えるだけ・・・ですよね!
スポンサーサイト

テーマ : ひとりごと
ジャンル : 車・バイク

tag : もの思い セロー ロードスター じゃじゃ麺

プロフィール

狐ヶ丘 紺之介

Author:狐ヶ丘 紺之介
1970年生まれの乗り物好きな中年ホンドギツネ(オス)。
クルマもバイクも好きなのに、精神構造が基本アナログ。
四輪はM/T派、二輪はキャブ派という典型的な昭和男。

ニンゲンに化けたは良いものの21世紀の流れに乗れず、
世間と森の境目辺りでひっそりブログを綴っております。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR