FC2ブログ

「水平線を眺める」・・・ただ、それだけのために。








スカーンと抜けのいい秋空が広がった、土曜日の朝。

何の脈絡もなく、起きがけに「海が見たい」って思った。

部屋の窓を開けた途端、トンボと共に舞い込む清冽な大気。

スポーツスターがきつねを呼ぶ。俺を遠くへ連れて行け、と。


LA_20170912000455321.jpg


選んだ先は、北の海。山をふたつ超えて、片道130kmかな。

優先したいのは距離じゃなく、走りたい道、眺めたい景色。


LB_20170912000457e16.jpg


アールの大きな大峠、ラインを見定め大外から寝かせに行く。

重く長く鋭角に曲がれないコイツ、弧を描くイメージで線に乗せる。

タイヤ・エッジの機嫌を探っていると、ステップが軽く路面に当たった。


LC_20170912000458cd6.jpg


葛巻の景色は、オートバイとの相性がとてもいい。

山道に入ればセローとも、R281をどんと行くならスポーツスターとも。

いや、オートバイをエレメントとした時、きつねとの相性がいいのだ。


LE_20170912000501695.jpg


平庭名物の白樺並木、夏に茂った草がまだまだ元気。良くも悪くも。

だから写真に切り取ると、残念ながらどこの景色か、分からない。

春か秋なんだよ、ここが「らしい魅力」を存分に魅せてくれるのは。


LG.jpg


「この山向こうは風が凪いでいて、日なたは暑いくらいだよ」と。

出会ったライダーの言葉通り、あまちゃんの街は夏が戻ったよう。

スウェットを脱ごうと停めたショールームには、40年前のセドリック。


LH.jpg


冬にだけ走らせているのか、スタッドレス履きっ放しの20系も居る。

沿岸で生き残っている現役は、330共々案外珍しいはず。

地金から浮く塗膜の厚みが、持ち主の思いを言外に教えてくれる。


LK.jpg


ただ海を眺めることの他に、きつねにはなにも目的がないから。

そのままスポーツスターは、トラック行き交うR45を南へ流される。

まだ真新しいサンテツの鉄路の向こう側、忙しそうな重機たち。


LM.jpg


十府ヶ浦。分かっていたけれど、あの景色はやはり還らなかった。

「もうずいぶん久々に訪ねたけれど、全景のシルエットそのものは
変わらないものだね。」

記念撮影を頼まれた福島ナンバーのBMWは、これから帰路とか。


LN.jpg


あぐらかいてアンパンかじって、そのまま昼寝したテトラ・ポッド。

黄昏の浜でひとりギターを弾いていた、旅のブルース・マン。

軽トラ屋台のタコ焼きつついて馬鹿話に興じた、仲良しカップル。

あのたくさんの記憶は防波堤の底へ、モノトーンの眠りに着いた。


LO.jpg


還らぬ日々を嘆くことの向こうに、いつも新しい物語が紡がれる。

それは景色に限ったことではない。そういうモンなのだ、「時」は。

波というカタチで諭す海。今日はグラデーションが掛からない青。


LP.jpg


駅の無い橋の上、キハが止まっている。

夏ばっばが旗を振って見送った浜。娘の春子も、孫のアキも。

三途の川のマーメイド・・・か。すげェ詞を書くよな、クドカン。

さておき、ここで停車するサービスは正解。三陸の絶景、特等席。


LS_20170912000545852.jpg


もう一つ二つ下がり、確かめたいことが浮かんで三陸道を降りる。

県44・普代浜で、ホッと安堵した。ここにも「正解」を見つける。

あの頃の雰囲気を守ったまま、より良い姿になっていてくれた。

整形の結果、別人になることなく若返った女性、というイメージ。


LT.jpg


リアス式海岸名物・シーサイドラインの10%勾配ワインディング。

勿論何度も走っているコースだけれど、別種のデジャヴ的な感覚が
ふと芽生えて「?」。

思い出した、確かに似てる。下北の仏ヶ浦辺りに、道の表情が。


LU.jpg


地形の関係なのか、或いは道路を設計するヒトの個性が出るのか。

住人もそうであるように、道路にも「土地の顔」を感じることがある。

コーナーの曲率やレイアウトとカントの角度、走っていて見える風景。

ペースを上げると分かる、リズムと流れに特徴的なクセがあるのだ。


LV.jpg


復興予算とジオパーク認定の相乗効果か、北山崎もまた若返った。

過分なリメイクで厚化粧を施さず、余計な増築もせず、そのままに。

「きれいになったね」って、素直に思える。良いセンス、良い仕事。


LW.jpg


台湾~花巻の直通便が再開されたためだろう、異国の言葉が響く。

きつねがハタチの頃に見た景色、隣りの国のヒトたちも眺めている。

断崖絶壁の故に、震災や津波とは無縁だった風景もあるのだ。


LX.jpg


いままで「観光地の食堂」と偏見の色眼鏡で避けて来たけれど。

汁をひとくち、鼻から息を抜く。たちまち、潮の香が身体に染みる。

価格、質、申し分なし。ライス付けて1000円切る、正調磯ラーメン

ここに泊まらなければ見られない、星空と夜明けの絵葉書を頂いた。


LY.jpg


三台並んだ観光バスに先を越される前に・・・と、駐車場を発つ。

空がひとつの線として切り取られる、長い並木のアップ・ダウン。

片バンク600ccの豪快な蹴り飛ばし、スポーツスターが躍動する。


LZ.jpg


そして「お帰り」も勾配10%、アクの強いワインディングに勝負を
挑まれる、というオミヤゲが否応なく付いて来る。

高荷重設定でぶっきらぼうな性格のピレリ・ナイトドラゴン。

減らないのはありがたい反面、正直「二度と履くまい」と思う。


MA_20170912000557fb4.jpg


エンディング、コンクリ敷きの潮かぶりラインは、まさかの原状復旧。

三方を山に囲まれた小さな湾では他に漁港を設定出来る場所が無い。

流石に定住するヒトはもういないだろうけれど、よく元に戻したものだ。


MC_20170912000600ef8.jpg


県44でR45を突っ切り、ここまで信号ほぼ皆無のローラーコースター。

しかしR455に合流すれば、「片側通行」のゴー・ストップ乱れ打ち。

分かっていたから然程ゲンナリしないし、初夏よりその数が減った。

ただ・・・都度エンジンの発する熱が、心配になってしまうだけ。


MD_20170912000623c92.jpg


岩泉線跡の橋脚に、未だ逆さに張りつけられたままの流木。

廃線となった鉄道の橋ゆえ、片付けを後回しにされているのだろう。

今の川面からは、ここまで到達した濁流の凄まじさが信じ難い。

前代未聞のダイレクト上陸台風、一年を経た現在も尚、爪痕は深い。


MF_2017091200062656d.jpg


「休憩は岩泉界隈を抜けた後で」と決めて、道の駅・三田貝まで。

同じバイク乗りでもマスツーリング派の人たちはあまり感じないこと
かもしれないことだけれど。

基本ソロの自分にとっては、「道の駅」って大抵アウェー感が強い。


MG_20170912000628c18.jpg


確かに施設としては至れり尽くせりで、実際助けられることも多い。

でも、佇まい的に「基本コンセプトは四輪向け」という匂いが漂う。

少なくとも大音響のBGMは、演出過剰だと思うんだよなぁ。

不意に空気に雨の気配。降水確率、一日通して0%なハズだが。


MH_20170912000629d2d.jpg


カン・・・カン・・・カンカンッと、シールドを撃ち始める大粒の雨。

嗚呼、どうにか早坂トンネルに救われた。

延々トリッキーなつづら折れが続く旧道の長さを知る身としては
余計そのありがたみに、首が下がる思い。


MI_20170912000631ac4.jpg


山ひとつ丸々くりぬいた全長3km超のバイパス・トンネルなだけに。

抜けた先では期待通り、天気も変わっていた。

標高1000mに引っ掛かった雲だけが、あの雨を落としたのだろう。

「山岳県土ツーリングあるある」と笑っていられる状況で良かった。


MK_201709120006342ce.jpg


レストハウスまでひと息に駆け抜ければ、後はもう勝手知ったる
かつてのホーム・コース。

「あっ、そう言えば今日は『ツールドみちのく』の一日目だった!」
と、ここまで来てから思い出す黄昏の湖畔。

一瞬ガッカリしたけれど、でも後悔する気持ちは湧かなかった。


ML.jpg


長雨の8月の日々が、気分のベクトルを切り替えたのだろう。

今は「イベントに合わせて動くこと」より、「自分のしたいこと」を。

寝かせた方へ自然とフロントタイヤが向く、オートバイのように。

心の趣く方へ、素直に舵を切っていたかったのだから。


MN.jpg


秋の水平線と潮の香が優しく揺り起こしてくれた、胸の奥の旅心。

さて、何処へ足へ伸ばそうか・・・と。

アジトの壁に貼られた勤務表とニラメッコする、きつねでありますよ。
スポンサーサイト

テーマ : ツーリングレポート
ジャンル : 車・バイク

コメントの投稿

非公開コメント

旅がまた次の旅を呼ぶ

気持ちの良い秋のツーリングですね!
地図と照らしながら拝読しつつ、パワーバンドで極上ワインディングを駆け抜けるスポーツスターが目に浮かびました。
R340を北上してた際、押角峠を越えた先辺りがとても山奥に感じた事を思い出しました(^_^)
今回の写真も文章も良いですね~
岩手でスポーツスターに乗る良さがひしひしと伝わって来ますよ♪

ハックニー軍曹さんへ。

この日は朝から本当に気持ち良く「スポーツスターを出そう」と
迷いなく思える好天でしたね。

R281を葛巻で平庭方面に左折せず直進すればR106の方向へ
南下するR340・・・押角界隈はホントに「ド山」です(笑)。
逆にR281と共用する区間を八戸へ向けて分岐した北方向は
リッター・クラスだとオマワ〇さんが怖くなる超快走路ですが。

地図を参照しつつ読んで頂けたのであれば県44をチョイスした
理由も察してもらえるのかな。
リアス式海岸の凸凹を避けて通したR45よりも海岸線に沿った
通称「シーサイドライン」、本文の通り相当メリハリの効いた
(お陰でバスに前を塞がられるとどーにもならない)結構長い
ワインディングです。

勾配10%の緩急がキツい区間は250ccレプリカ辺りの天下。
重くて長いスポーツスターだとライン取りがシビアかな?
でも振り回して得る手応えと野太いトルク感は存分に
味わえますね(そしてリアタイヤの寿命が尽きました。笑)。

コイツを引き出した時は、やっぱりドーンと200kmは走りたい。
でないと「せっかく連れ出したのに何だかなぁ」って残尿感が
残りますから。
プロフィール

狐ヶ丘 紺之介

Author:狐ヶ丘 紺之介
1970年生まれの乗り物好きな中年ホンドギツネ(オス)。
クルマもバイクも好きなのに、精神構造が基本アナログ。
四輪はM/T派、二輪はキャブ派という典型的な昭和男。

ニンゲンに化けたは良いものの21世紀の流れに乗れず、
世間と森の境目辺りでひっそりブログを綴っております。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR