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毎秋恒例・あかぎつねの北帰行 第六章 ~比類なきハード・ロング・ワインディング、「海峡ライン」~








さて・・・佐井の小さな湾に沿った集落を抜けたら、そこからは
コルシカ島のラリーコースそこのけな怒涛のワインディング。


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「まさかりの刃」から陸奥湾へ向かうには概ね三通りのルートが
あるけれど、佐井集落から湯野川を通り川内へ中央を突っ切る
(一見最短の)通称「かもしかライン」もまた、延々ハードな峠。

距離こそ違えど、どのみち難コースであることには変わりなく。
今回は新しいタイヤを試す意味もあって最長の「海峡ライン」を
走り切ります。


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見よ、ヘアピンで稼ぎ続けるこの高低差・・・!

レンタカーのマイクロバスや貸切の小型観光バスが四苦八苦
走っている姿を稀に見掛けるけれど、おそらくお客はみんな
「チョイスをミスった」と後悔しているに違いありません。


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かつて苦虫噛み潰して静々と通った工事中の砂利道が今やこんな
立派な二車線・・・と言いたいところが、やっぱり問屋が卸さない。

結局「舗装林道か?」とツッコミ入れたくなるセンターラインも無い
全線ブラインドコーナーの1.5車線を、2~3速のシフトも忙しく
駆け下る羽目になります。


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「どこが海峡ラインなモンか、海なんか全然見えやしねぇよ!」と
悪態ついて降り立つ集落、R338第一SSのゴールがココ。

青屋根に大きくその名を書かれた「ぬいどう食堂」、知る人ぞ知る
驚愕のうに丼が自慢の名店・・・但しそれは春から夏の終わりまで。

「待っててェ、いま開けるからァ!」と店主のオッカさん、慌てて登場。
いやいや、開店時間前に着いちゃった俺が早過ぎただけだよ。


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「ううん、昨日は予想以上にお客さん方が来ちゃったモンだから。
今朝は有りものでドンブリ作るしかなくて、申し訳なくてさぁ。」

画像左端にある1000円の歌舞伎丼ですら、実は豪華な三色丼。
しかも煮魚の小鉢や二枚貝の味噌汁も付く、立派な定食です。

それ以上の価格帯となると、もうどれがどうなっちゃうんだか・・・。

「材料切れでごめんねぇ、出来るのはこれだけだったわァ。
お望みの注文受けられないから、値段の方でオマケするよォ。」


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「メニューに無いありあわせ丼」なのに、イカそうめんとイクラ山盛り。
1000円からお釣り貰っちゃったこっちの方が申し訳なくなります。

平日で開店一番ただ一人のお客なだけに、マンツーマンで接客。

海水温暖化と海流の変化や台風直撃等々、近年の気象変化は
漁業を軸に暮らす人々にとって「今まで採れた魚が採れなくなった」
深刻な問題になっていることを、オッカさんからも聞かされました。


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テレビのニュースで知っている事も、土地の人の口から直に聞くと
リアリティが全く違ったり、報じられぬ意外な側面を垣間見られたり。

「ぬいどう」で小一時間を過ごし、いろいろ思うところを胸に収めつつ
第二レグへと挑みます。

このセクションもやはりさっぱり海が見えないタイトコーナーの連続で
上り下りの勾配も極端な、「ひとりイニシャルD」。


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いやホント、ステアリングを直進に・スロットルをパーシャルで保って
いられる時間なんか、殆ど無いんじゃない?ってぐらいタイトです。

救いと言えるのは交通量がほぼ皆無なこと・・・但し一説によると
「例え何らかのアクシデントを生じてJAFに連絡が付けられても、
現場までレッカーが到着するのに2時間以上掛かる」のだそうな。

あ、携帯の電波そのものが届かない地域も多いから、その辺りの
ことは承知の上で走りましょうね。


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「ぬいどう」の集落を出てから、おそらくは一軒も民家を見ぬまま
ひたすら独り上手なヒルクライムとダウンヒルを繰り返しまして。

第2SSのひと区切りは「たぶん界隈で唯一の公衆トイレ」がある
名勝、仏ヶ浦の展望台でしょうか。

その名前から「恐山の隣り辺り?」と場所を勘違いされる向きも
多いんですけど、実際は直線距離でも50kmぐらい離れています。


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でもココ、ズーム使ってもこんなに小っちゃくしか撮れないぐらい
あの奇石群から遠いんであります・・・。

道を少し下ったところで更に近くへ降りられる観光船乗り場への
枝道があるものの、よく写真で見かける「浜辺からの眺め」には
徒歩でかなりの階段を歩かなければならない様子。

時間的に厳しいものがあるので毎回パスするきつねメ、故に
まだ間近で見たことが一度も無かったりする次第です。


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スナップショットを撮って用を足したら「10%下り勾配」の標識をくぐって
第三レグのスタート。

下北に通い始めまだ浅かった十数年前、逆回りで大間を目指す途中
猛烈な勢いで飛ばす真っ赤なオペル・ヴィータと一戦交えたことが。

件のトイレにてそのドライバー氏と並び用を足している最中、彼は
チラリこちらを見やって「兄ちゃん、結構イイ腕してるね」とボソリ。


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東京某区ナンバーの赤いヴィータ氏は旅行関連会社の業務で、
ルートの確認だかバスの先回りだかの理由から急いでいた様子。

一見ブロンズ色の社外品だと思っていたホイール、よくよく見たら
実はブレーキダストの色に染まり切ったシルバーの純正アルミ。

日本中くまなく日々あのペースでフッ飛ばしていたら、そりゃあ確かに
ドライヴィングの勘も技術も自然と磨かれちゃうんでありましょうね。


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稀に現れる小集落以外、お店どころか自販機も民家もほぼ皆無の
海峡ラインではありますが。

「誰もいない」=「好きなだけ飛ばし放題」と捉えていると、そのうち
コーナーの向こう側で予想外の事態に泡を喰わされます。

ここは「北限のニホンザル」が住むエリア。滅多にクルマが通らない
土地柄を証明するかのように、群れで道路に屯していることも・・・。

くれぐれも「いつでもどうにでも対処出来るマージン」、お忘れなく。


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第三SSの終点を区切るとしたら、この「かもしかライン」と交差する
十字路がある辺りかな。

断崖の乱高下に準じて延々続いたワインディングも、小さな牧野が
広がるここで「一旦小休止」といった風情になります。

そうそう、ウッカリすると直進してしまいそうなこの交差点ですが
「まさかりの刃」走破のために脇野沢へ向かうヒトは「右折」。

逆に「峠は飽きた、もうショートカットしたい」という向きはここから
真っすぐ行くも良し(「道の駅かわうち」や湯野川温泉もあるしね)。


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風に揺れるすすきが手を振り牛たちが草を食む、少し北海道の様な
雰囲気も漂う穏やかな道。

息つく暇もないヒール&トゥの連続で感覚が麻痺した踵やパンパンに
張ってしまった右足の脛をしばし休める、束の間のリエゾンです。

本当はオープンカーって、こうやって味わうモンだよね(←今更)。


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「嗚呼これで山道地獄から解放され、陸奥湾に迎えられるのね」?
・・・いえいえ、実はここからがむしろ「とどめ」というべき長丁場。

道幅が広がった分だけロング・ストレートも織り交ぜ2速から4速まで
フルに使う、エンジンにも脚にもブレーキにも過酷な第四レグ。

前日に釜臥山展望台で出会ったYナンバーのGT-RやツアラーVは
おそらくここをメイン・ステージに走っている常連でしょうね。


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但し海峡ラインで最もスピードが乗るこの区間にも、トラップが。

険しい山岳路には付きものの路肩崩壊や落石による工事で突然に
片側通行のバリケードが現れるわけです。

自慢のハイグリップタイヤや高性能パッドのストッピング・パワーを
こんな場面で試したいドライバーはいないでしょうから・・・。

くどいようだけど、くれぐれも飛ばし過ぎないよう御注意を。


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第四SSの中では一番標高の高い地点まで登り切ったところにある
駐車帯、海峡ライン展望台。

「下北半島にある展望台の中では最もアクセス困難」という悪評の
見晴らしポイントに、陸奥湾回りで来た近畿ナンバーのパジェロ。


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ずいぶん遠くからエエ音聴こえとった、と微笑む初老のオヤジさん。
これは懐かしいな、ユーノスやね?とは品の良い奥さん。

「コレ買おう!て思うたらトランクにゴルフバッグが入らんで諦めた」
という彼はフェアレディZばかり乗り継ぎ、今の愛車はスカイライン
クーペなのだそうな。


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ええクルマや、大事に乗ったってな、良い旅を・・・と去って行った
老夫婦のパジェロを追うように上がって来たのはヤマハFJR。

ふと、「大間の宿で別れたGL1800とダイナ・ストリートボブの
コンビは無事に津軽半島行きのフェリーに乗れたかな?」と
今朝見送った二台の後姿が脳裏に浮かびました。


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3速で引っ張っては4速で車速を伸ばし上って来た標高に比例して、
展望台以降は脇野沢まで大きなヘアピンが連続するダウンヒル。


もしもチューニングパーツ・メーカーやショップさんが「これぞ!」と
思うストリート向けブレーキや足回りキットの自信作が出来たら、
一週間ぐらい海峡ラインに遠征してセッティングすればいい。

一定の範囲や条件の中を繰り返し周回するサーキットと違って、
あらゆるシチュエーションをロングレンジで試される舞台だからね。


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「一般ドライバーのきつねですらも公道の常識範囲内で、ダンパーの
過熱による挙動変化やブレーキパッドの耐熱性を実感出来る場所は
そうそうあるまいよ。」

ジワジワとタッチの節度が甘くなり始めたブレーキを気遣いつつも
ダイナミックなつづら折りを下り切れば、視界一杯に開ける陸奥湾。

クルマも乗り手も試すハードな「まさかりの刃」を走り切った者への
ささやかなご褒美・・・三日間の秋旅も、いよいよ終盤の予感です。
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ジャンル : 車・バイク

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No title

ぬいどう食堂にも行かれたんですね~!
羨ましいな~私も歌舞伎丼を食べたいと思っていたんですよ。
前に他のブロガーさんの記事で見たんですが
1000円であれほどの丼が食べられるなんて信じられないです。
紺之介さんの丼も材料切れとはいえ1000円でお釣りがくるなんてホント凄い!
海峡荘で一泊とぬいどう食堂で丼を食べる…今のところの夢ですね~

fourdoor0810さんへ。

ぬいどう食堂を知ったのは本当に偶然の事で。

「三年続けての恐山詣でも済んだし、下北旅の
目先を少し変えてみたい」と友人に話したところ
彼が「それなら食べ物に振ったらどうだろ?」と
検索し・・・出て来たのが「凄いウニ丼」(笑)。

実際に行ってみたら、丼も凄いが立地も凄い。
冬の暮らしが心配になる程の孤立集落で、
クルマとバイク以外に交通手段がなさそうな
場所にあり、十年前の初訪時には驚きました。

あのウニは市場を通して仕入れたものではなく
自家調達だから、新鮮で美味くて安いそう。
以前開店前に着いたら「これ食べて待ってて」
と、手のひらに剥きたてを乗せられたことも。

海鮮丼系は何を頼んでも間違いなく値段以上。
「行った甲斐あり・ハズし無し」と感じます。

最近のオッカサンの悩みは、集落で調達出来ず
他所で仕入れる魚類の不漁と価格高騰だそう。
「村内で採れるものも、他で不漁だと高値で買い
取りに来られるからねぇ」。
東日本大震災以降から海の様子が変わり始めた
ように感じる・・・と。

こんな土地の人の話を直に聞けるのも旅の良さ。
今では下北の旅路に欠かせない一店となりました。

海峡荘の朝食は夕飯とは対照的にスタンダードな
内容なので、そちらはサラッと済ませています。
「ぬいどうのためにお腹を少し空けておく」んです。

季節の良い時を選び、是非「下北再発見の旅」を。
fourdoorさん流の旅も、拝読してみたいですもん。

No title

素晴らしいワインディングです。
いつか走ってみたい道のリストに追加しました。

ロードスターは、、流行りの言葉で言うなら、
「ドライバー・ファースト」の素晴らしい車ですね。

私も大切に乗りたいと思います。

ヒロキチさんへ。

当地・岩手も山岳県だけに、八幡平アスピーテや
樹海ライン、R455岩洞湖界隈など自慢のルートは
あるのですが。

一本で何度も上り下りを繰り返すダイナミックさや
交通量の驚異的な少なさ、そこそこの道幅で延々
連続し続けるコーナー等・・・国内でココに比肩する
ワインディングはそうそう無いように思えます。

でもツイスティなコースでこそロードスターが活きる。
狐の様にしなやかに、山猫の様に俊敏に。
スッと切れ味鋭くノーズを入れアクセルで旋回する。
踊るように舞うように次々とコーナーをクリアする。
そのドライヴ・フィールは官能的にすら思えるほど。

そう、やっぱりバイクに似ているんですよね・・・
走らせている時の楽しさの質やベクトルが。

「最強でも最速でもないけれど、最良のパートナー」。
自分も出来る限り乗り続けたいですね。
プロフィール

狐ヶ丘 紺之介

Author:狐ヶ丘 紺之介
1970年生まれの乗り物好きな中年ホンドギツネ(オス)。
クルマもバイクも好きなのに、精神構造が基本アナログ。
四輪はM/T派、二輪はキャブ派という典型的な昭和男。

ニンゲンに化けたは良いものの21世紀の流れに乗れず、
世間と森の境目辺りでひっそりブログを綴っております。

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