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ファイティング・ポーズ。







受け取る側次第では、「説教ソング」にして「節を付けた独り言」。

でも帰宅を急ぐ黄昏時、けーたろーのスピーカーから流れて来た
この曲にはいささか、かつ、いろいろ、思うところがあった。


表舞台から去って行ったギター弾きが皆、必ずしも音楽嫌いに
なった訳じゃない。

ヒットが出ず引退したミュージシャンへ「負け組」の判を捺すのは
聴き手の勝手だが、そのヒトひとりの人生は当然そんなに軽くて
単純であるハズがないんだ。


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アイツの ファイティング・ポーズが 見えないのは 
 オマエが ファイティング・ポーズを とっていないからだ


 アイツの ファイティング・ポーズが 見えないのは
 オマエが ファイティング・ポーズを 知らないからだ



きつねはギターでドレミも弾けなかったために楽器に対し
挫折したダメなヤツなんだけれども。

音楽を愛するヒトの気持ちは、その対象を単車やクルマに
置き換えてみると、実はすんごくよく分かる気がする。


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これは既に20年も前の話なので「時効」とさせてもらうけれど。

当時きつねメが腕を研くべく足繁く毎週末通っていた峠には
通称「ウラさん」「カイチョー」と呼ばれる山賊コンビがいた。

カイチョーは伝家の宝刀として最終兵器たるRZV-500R(!)を
隠し持ってもいる、相応のセンスを秘めた仙人だったものの。
対するウラさんは「大型なんてコレしか所有歴がないよ」という
筋金入りのスポーツスター遣い。


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そのウラさんが、もう典型的なアメリカン・スタイルたる段付きの
キング&クイーン・シートにチョッパーライクな高いハンドルのまま
タイトなS字を切り返して攻めるスタイルに、きつねはヤラれた。

とにかく負けず嫌いで勝負を挑まれたらナリフリ構わない彼は
ラインに入る遥か手前から対向車線までフェイントを振り(!)、
分厚いシートの内側へ全てお尻を落として捻じ臥せるのだ。


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その背中に漂う矜持と殺気たるや、常識に沿ったテクニックやら
自称理論派のノーガキなんかブッ飛ばすほど怖ろしいオーラで。

結局はSRX-4からゼファー750に乗り換えた後も振り切られた上、
腕利きの駆るモトグッツィ・ディトナも目前でヤッツけてしまった。

「こちとらココじゃあ十年来の常連!『たかがハーレー』とナメて
掛かって来た一見君には、自慢のルシファーで一撃くれてやる。」



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ゼニに任せれば迫力満点のカフェ・レーサーに仕立てられる事も
重々承知の上で、「あえて」そのための偽装がアメリカン・ルック。

おかげで長さが2/3まで擦り減ってしまった短いステップ・バーこそ
「スポスタ侍」「レプリカ殺し」の異名を取ったウラさんのプライド。

年季の入ったライダースの袖を捲って逞しい二の腕を見せながら
いつも豪快に笑う彼に憧れて、きつねは限定解除を取りに行った。


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一台目のゼファー750を不慮の事故で失った末にSR500へ換えた時
ちょっと貸せよ、と一往復して戻ったウラさんが最初に発したひと言は

「これでNSRの向こうを張る気なら、ファントムに対峙するゼロ戦だ。」

いやソレを言うならアナタの愛機は、レシプロ双発の旧軍重戦闘機
「月光」に等しいじゃない(むしろ米国製故にP-38的だった?笑 )。


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そんな経緯と実績を目の当たりにしているため、当時その峠では
「ハーレー=日和見のまったりツーリングバイク」という常識を誰も
持たず、むしろ「見た目と裏腹な刺客(ジョーカー)」と警戒された程
ヤバいマシンとして一目置かれる存在だった。


これは後にホットバイク・ジャパン誌の読者投稿欄でも他県の
バイカーから、「岩手にとんでもないスポーツスター乗りがいる」
「スポーティのスポーティたる所以を見せつけられました」
ってな
投稿が寄せられたことでも、レベルの高さが伺えるんだけれど。


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後に「アガリの一台」として購入の夢を叶えたウチのXL1200Sで、
当時のウラさんがどんだけ化け物じみた乗り手だったか、きつねは
思い知らされることになる。

とにかくサスが全然マトモに仕事をしてくれず終始リア荷重の酷い
アンダー・ステアで普通に寝ないし曲がらない、というシロモノ。


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そこに「回転数を厭わず開けたらいつでも遠慮ないパッと出し」の
70psをドン!と盛って来るから、操縦感覚を掴んでおかないと
遣い手の命すらも出刃包丁のエッジの上に乗せてしまうのだ。

片バンクだけで600cc。絶対的な排気量のキャパから来る器は
確かに大らかだけれど、スロットルを開ければヘラクレスっぷりが
あからさまに乗り手へ覚悟を問い掛けて来る。

「Hey、ファイティング・ポーズの支度は出来ているかい?」と。


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リッターSSや最新ハイパーレプリカと違う意味で、財布の中身と
相談してタイヤのグレードをケチるような真似が出来ない猛獣。

例によってイイ加減缶ビールを開けた頃合いで電話を掛けて来た
ダイナ・ローライダー遣いの先輩・ヨッシー師は諭すのだった。

「コマンダーⅡかぁ。ミシュランらしくないけれど、正味のハナシで
まともなグリップを見せるのは、いいトコ2シーズンと思えよォ。」



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きつねがスポーツスターを選んだ理由は「ハーレーだから」じゃない。

`70年代までで息絶えてしまった、速くて熱くて油臭くも野性的な
「鋼鉄のオートバイ」の面影を未だ色濃く宿していたから、だった。

そして昨日は、最期までファイティング・ポーズを守り続けて来た
「前世紀のスター」がまた一人、来世の旅路へ発った。





ブーツを履いてセルのスイッチを押したなら、いつだって勝負どき。

ハード・パンチャーな漢、HIDEKI。 アンタの雄姿、忘れやしないさ。
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ジャンル : 車・バイク

tag : もの思い スポーツスター ツーリング

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No title

久しぶりにお邪魔して、
これまでの投稿を楽しく拝読しました。

こんのすけさんのほろ酔い文章は最高です。
特に時代背景を表す音楽を流してから読み始めると、
文章が詩のように、体に染み渡ってきます。

スポーツスター1200の足つきはどんな感じですか?
カナダでリターンする妻には1200ccは大きすぎると思いますが、参考までに教えてください。

ひろきちさんへ。

アハハ・・・ちびちび呑みながら書いているの
丸分かりですよね・・・(笑)。
お褒めの言葉、恥ずかしくも嬉しく思います。

バイクを通して観る郷土と四季の風景を軸に
書いているつもりなんですが、話のメインは
やっぱり趣味の方へ振れてしまいます。

スポーツスターの足つき、身長が165cmあれば
ウチのような厚手のそら豆シートでもイケます。

ただ、重量が750four同等でホイールベースが
長くハンドルの切れ角も少ない為、取り回しが
けっこう大変なんですよ。

乾燥重量200kg辺りがひとつの境界ですね。
国産ミドルの方が格段に扱いやすいと感じます。

No title

スポーツスターの足つきを教えてくださり有難うございます。
883でもウェットで263kgもあるんですね。。。

やはり経験不足の妻にはハードルが高いです。

もう一つの候補はスズキS40です。
日本では400ccがサベージュという名で売られてました。
こちらではまだ650ccが現行で売られています。

ビックシングルで空冷、しかもまだキャブ車であることが気に入ってます。。

足跡からおじゃましました

太陽族とウラさんの話でやられました!!

仕事中なので読み逃げと思いましたが(失礼)思わず
コメントしてしまいましたwww

花男さん、我が小さい町にも来てくれて本物の歌を聞かせてくれていますよ。
精力的に全国をまわってますね。

とても素敵なミュージシャンだと思います。

ひろきちさんへ。

連投コメント、ありがとうございます。
↑のお返事を書いた直後から旅へ出ていたため
レスが遅れてしまい、申し訳ないです。

サベージ、直立した四角いエンジンが懐かしい
(自分は当時「オヤジのレンチ・ジャー」という
あだ名を付けていました。微笑)。
形式名LS400/650・・・何故記憶しているのか
というと、「ミドルならむしろ狭角Vツインよりも
単発がアメリカン的なビート感に思えた」ため。

ビッグシングルは気分やシーンに応じて鼓動が
ロックンロールだったりブルージーだったりして
人肌に合うエンジンのように捉えております
(兄弟のテンプターに650版が加えられる日を
待ったのですが結局400のみで廃番に。泣)。

キャブの大型空冷単気筒が未だラインナップ
されていること自体もはや奇跡。流石スズキ!

慣れないヒトがゆっくり走っても低いハードルで
バイクの醍醐味を優しく教えてくれる存在だと
思うので、コレは自分もイチオシしたいですね!

バル1400さんへ。

初めまして・・・いらっしゃいませ。コメントを頂き
ありがとうございます。

>仕事中なので読み逃げと思いましたが・・・
↑しーっ!言わなきゃ誰も気付かないから(笑)。

ここでレスするのも何ですが、道東エリアで大型と
250級Offを両刀遣いする理由が凄く良く分かる。
例え乗れるシーズンを半年に限定されたとしても、
あの地域は二台持ちしないともったいない!

仮に自分が帯広~釧路辺りに移住したとしたら
やっぱり愛機セロー225とスポーツスターの両方
迷わず連れて渡道するでしょうから。

>太陽族
「表現手法という野暮なカテゴリー分けを勝手に
してくれるな!」って野太い生声が聴こえます。
絵画でも彫刻でもエッセイでもそんなンどーでも
ジャンル等どーでもイイことじゃんか!ってね。
誤解を恐れずに言うなら「魂に訴えたモン勝ち」。

存在感と説得力、感動って・・・俺はそんな
無差別級ストロングスタイルもあってイイんじゃ
ないかな・・・とも考えている次第なのです。
プロフィール

狐ヶ丘 紺之介

Author:狐ヶ丘 紺之介
1970年生まれの乗り物好きな中年ホンドギツネ(オス)。
クルマもバイクも好きなのに、精神構造が基本アナログ。
四輪はM/T派、二輪はキャブ派という典型的な昭和男。

ニンゲンに化けたは良いものの21世紀の流れに乗れず、
世間と森の境目辺りでひっそりブログを綴っております。

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