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9月、山へ帰る日。 ~グッバイ、四十肩ブルース~







なんとなく寝つけず「日付が変わる頃に最接近」という足早な
台風を深夜の窓越しに見送った、9月4日。

朝寝坊した翌朝はやや風は残るものの、青空に恵まれました。

うーん!と背伸びしてみたら・・・お?左肩、結構上がるじゃん!
これはもしかしたら、もう大丈夫なんじゃなかろうか。


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とは言えなにしろ嵐の直後だけに、正直ちょっとばかり迷いも。

予期せぬ倒木、沢掘れ、落石、その他モロモロ。
本格的なダートランへの復帰には、リスキーな条件が並ぶもの。

でもきつねの街を遠く逸れて行った台風は、足の早さもあって
さしたる影響を残していないように思えました。


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「体調面でもコースの様子でも、ダメだと思ったら引き返す」

決して無理をしないこと・・・と自分に言い聞かせながら
各関節にプロテクターを着け、数か月ぶりにトライアル用の
ブーツへと足を通します。


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行き先はもう決めてある・・・幻の「山王海~雫石ライン」。

しばらく前に林道談義を交わした、XRを駆る行きずりのダート
ランナーから得た情報に、ずうっとワクワクしていたからね。


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「平成初頭の頃には走破出来た」という諸先輩の話こそ
聞いていたものの。

きつねが初めてこの界隈に足を踏み入れた10年前には既に
入り口から草が生い茂る、マディな廃道に荒れ果てていて。

昨年まで倒木でバッテンに封鎖されていた進入口が、今は
情報通りキレイに真新しい砂利を敷き直されています。


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どうもこのリニューアルは治山/砂防事業関連の手を入れるため
みたいで、トラックが通れる程の巾に整備が成されている様子。

このぐらい均されていると、我が肩の調子を見るにも安心かな。

それにしても、木漏れ日と森の匂いの、なんと眩しいこと・・・!


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左肩の動きにも渋さは感じられず、スタンディング・ライドを
続けても路面のキックバックに多少振られても、痛みもなく
走れています・・・うん、良かった良かった!嬉しいね。


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イイね、イイね、今日は気兼ねなく存分に林道を楽しめそう。


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未舗装路に踏み込んで数キロ進んだ辺りに、朽ちかけた
表示の杭が佇んでおります。

もはやその名も読み取れなくなった表記の裾には、多分
総延長距離を示す5423mの数字。


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どこからどこまでを指すものなのかは分からないけれど、
盛岡近郊の林道表記としては長い部類に入りそう。

差し当たりたまに現れるガードレールを見ると、まずまず
(一度は)本気で整備されたルートと思っていいのかな。


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しかし・・・能天気なポジティブ・シンキングにもやがて
ジワジワと不安の影が忍び寄ります。

この深さは・・・昨日の台風で出来た沢掘れじゃないよね。
少し下がって一番浅いところから、向こうへ渡りました。

いや、ここまでで通行止めのバリケードは無かったもの。
行けるでしょ・・・行けるよね?


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否 ! お い !  マ ジ か !

ここでふと「通れるようになったっけよ」と告げたXR氏の
眼差しを(今さら )思い出すバカぎつね。

「岩手山林道と八幡平裾野ラインを走ったことある?」
という話題の後に、その情報がもたらされたんだった。


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そう、それは「アンタとセローなら多分走れる」という
無言の前提条件を含んだ言葉だったんであります。

ある種の踏み絵というか、試されちゃったというか。

それを示すように茂る草の間からギリギリ読み取れる路面には
ただ一本の轍のみ・・・俗に言うシングル・トラック。


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一筋の希望の光となるのは、これも時おり現れる倒木の
まだ新しい切断痕。

「つい最近、通れるようにしてくれた誰かの足跡」のお陰で
向こうへ抜けられる確信を持ち続けられるんだよね。

行こう、行ってみよう・・・きっと無事に抜けられるから。


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しかしまあ、よく考えれば無茶でいい加減な話ではあります。

「昔は通れた」にしても「今は通れるようになったよ」にしても
全て「・・・と、何処かの誰かが言っていた」だけなんだもの。

表層の砂利が既に流され、ゲンコツ大のゴロゴロが連なる
路面に少し気を張りながら、結果オーライでクリア。

最もタイトな区間で夏草の間から路面が見えなかったら、
引き返していたかな。


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でも、あのポイントでもし巨大な倒木が横たわっていたら
無事にUターン出来ただろうか。

ましてや、あんな場所でパンク修理する羽目に陥ったら。

単独行のダートランなんて、毎度「結果オーライ」が全て的な
モンだから、あまり他人には勧められないよね・・・。


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なんとなく上がった気温と里の匂いを感じられるところまで
降りた辺り、今さら感満点なバリケードが除けてありました。


コレって、どう受け取ればいいものなんだ・・・?(笑)


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「通行禁止」よりも里寄りまで下ったというのに、こんな状況。

まあ、ここまで読み進めて頂いたドライバーであれば多分
ヨツワでチャレンジしに行ったりはしないだろうと思うけれど。

路肩の見切りが悪い上に地盤も弱そうで結構ヤバいっす。


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そして、コレは流石に昨日の台風で倒れたばかりだと
思われる「物理的な通せんぼ」も。

たまたま、だよね・・・本当。もっと大きく長い大木だったら
セローでも脇を抜けることは出来なかっただろうから。

ここからUターンして来た道を戻るってのは・・・ちょっと
考えたくない想定でありますよ。


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誰も気づかない、誰にも褒められない、ささやかな冒険。

でも冒険は、冒険だから、楽しい。やめられないんだ。



台風のささやかな置き土産、時おり渡って行く乾いた強い南風に
ススキたちが大きく手を振る広場に出ました。


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※ 画像中のヴィクトリノックスと火薬ピストルはクマ対策グッズです。

アジトを出る際に確かめた予報では真夏日に達しない気温の
ハズだったのに、お昼ご飯を広げてアグラかくと結構暑い。

しかし上着を脱いで頬張るおにぎりは、とっても美味しいもの。

無事に抜けて来た走り応えと安堵感が「見えないふりかけ」を
まぶしてくれているんだろーなー。


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四十肩に悩まされ、ひと夏の間セローを休ませてからずっと
やりたかったこと。

青空の下、鳥と森と風の声を聴きながら食べる、お昼ご飯。
今、それを叶えられていることが、なにより嬉しくて楽しくて。

少し大げさだけど「自分の世界をひとつ取り戻した」幸せな
実感が、胸を満たしてくれました。


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「大村」という集落名の表記には耳馴染みがないものの
おそらく県道一号に当たることは予想がついていました。

ただ、もっと御所湖寄りの辺りに出るかな?と付けていた
見当からは意外にズレていて、鶯宿温泉よりも向こう側。

県道234号の始点よりも数キロだけ下りた場所であります。


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アジトへの帰途、傍らの高台に上がって「今日走った山」を
振り返っての一枚を。

トリップメーター上は100kmも進んでないのに、オンロードで
例えたら200km以上も走ったような、不思議な充実感。

そうだったね。初めて走る林道って、実数値や時間以上に
とっても長いものだったんだっけ・・・。


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なんだか名残り惜しくてR46を向こうへ渡り、黄昏の予感が
するまで近隣をブラブラ遠回り。

そのぐらい余裕を持てる時間にここにいる事が、幸いの証し。

田んぼの傍らに腰を下ろして、備蓄飲料として残しておいた
ぬるい缶コーヒーを片手に一服。


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泥だらけのセローを休ませのんびり呆けるきつねの背後を
プロロロと駆けて行ったカブは、野良着の老夫婦のタンデム。

あの爺ちゃん婆ちゃんにとって、それがいつものことなのかな。

それでも後ろの婆ちゃんは「今日はバイクが気持ちいい」って
感じていたりもするんだろか。

訊いてみたいな、って思う。あの二人にとってのカブのこと。


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長い影を東へ引っ張りながら、17時前にはアジトに到着。

纏った汚れを洗い流してチェーンまでクリーン・アップして。
ついでに今日の無事の感謝も込めて、ワックス掛けまで。


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今年で4万㌔オーバーを刻んだオドメーターを眺めつつ。
廃番となって久しいCDIの事がふと心に影を落とすけれど。

「軽い散歩はカラスが分担してくれる布陣になったから、
コイツの肩の荷も軽くしてやれるかな?」と独り言。

なにせ今となっては得がたい相性最高の相棒なだけに、
出来る限り長く付き合って行きたいんでありますよ。


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そして翌朝・・・前回の記事で書いた通り、北の大地が
とんでもない天災に見舞われたことを知るのですが。

普段は何気なく使っている「無事」という言葉の重さを、
この二日間の出来事からいろいろな角度で考えてしまう
この頃のきつねメなんであります。

今日でどうにか電力供給のメドが立つ様子なのですが、
いち早い復旧復興を心からお祈りしています。
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コメント

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No title

その林道は2009年の秋にKSRで完抜してました
その後は大雨災害で通行止めになったハズ
いつの間にか通れるようになってたんですね

もっとムカシに、山の中を散々走り回ってたころ
大村に抜けたときは商店でカップラーメンを食べるのが常だったことを思い出しました

ponkotuさんへ。

足跡頂いてからコメント投稿されるまでの間合いに
「そう言えばあの道、いつまで走れたんだっけ?」と
過去データを遡られていたもの、とお察ししました。

実は「むかし走ったことがあるよ」という声の主の
大半は、`90年前後のバイク・ブーマーなんです。
そんな事情から廃道になったのは`00年辺りか?
と見当をつけていましたが(←その位のレベルで
既に閉塞感の強い佇まいになっていましたから)。

そうか・・・「廃になってからの月日」は存外に
長くなかったんですね・・・今になって復活を
果せたのも道理だ、と納得が行った次第です。

復旧に至った経緯は、一昨年の台風や近年の
長雨が矢巾/紫波/雫石の里にもたらした災害を
無視出来なくなったため、なのではないか?と。
東サイドと西サイドを繋ぐ境界辺りが依然として
シングルトラックなままのは多分「市町村を跨ぐ
管理責任が分かれた場所」だからでしょうね。

>大村に抜けた商店でカップラーメンを食べる
買っただけでオバチャンが「お湯もやるっか?」
って割り箸まで差し出してくれる、という田舎の
黄金パターン!(自分も何度か経験アリ。笑)。

何でしょうね、あの「体験という名の見えない
ふりかけ補正」が効いた独特の美味しさって。
だから二輪から降りられず旅もやめられない
単独飛行な人生を送っているワケですけど。

No title

こんにちは。
凄い林道!
進むにつれ道幅が狭くなり、ブッシュが酷くなり。
先がわからない冒険は、ドキドキ、わくわくですね。

ひろろろろさんへ。

温泉と旅がお好きなひろろろろさんであれば、
目的地への道中で林道を通る機会もあるのかな。

他県の方から見た岩手の印象は、おそらくまず
「どこ行っても山!」(と「隣県境まで遠い!」笑)
って感じじゃないかと思います。

そのイメージに沿う様に林道もあっちこっちに。
自分が山を走り始めて10年位になるんですが
まだまだ「未知の道」は尽きなく在りそう。

人口密度がめっちゃ低いのに立派な幹線網が
既に出来ちゃってるので、ニーズの無い旧道が
どんどん林道化→そして廃道化(涙目)。

殊に最近は長雨や台風等の異常気象続きで
「イケるorイケない」の見極めが厳しいです。
半年前に走れた林道が通行止めになる例も
よくあることですからね・・・。