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ストーブ・リーグの熱い幻想。







キンキンに冷えた朝、マグカップに移して石油ストーブで温めた
ボトルの安コーヒーをチビチビ飲みながら。

久し振りにクラブ・サンスイの電源を入れ、先週手に入れて来た
CDをセット。

キラキラ踊る鍵盤の鮮やかな音に自然と目を閉じ、耳を澄ませた。


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ツインの鼓動にクラッチ・ミート、間髪開けずに流れ出す風景。
初夏、走り慣れたいつものロング・ワインディング。

シフトを上げて抜けられる緩い左、短いストレートを挟んでまた
緩い左・・・と、ここでひとつ落として即座に深い右。

カカッ、カッ、カカッとステップの先が路面にケンカを売る感触。
こんだけアスファルトが暖まっていれば、安タイヤでも行ける

クリップは出口が見える少し手前、若葉の隙から煌く陽光。
右へ右へと傾ぐタコの針、センターラインがコマ落としで流れる。

抜けていく横Gの感触をスロットルで縦へ繋ぐ。シームレスに。
ビンと張ったチェーン、高周波に代わりつつあるサウンド。

拍車の掛かったエンジンに応えドン突きのヘアピンぎりぎりまで
鞭をくれてやる。コイツなら「タメの時間」は2秒も要らない。

ミラーの中でジワジワと大きく迫り来る異型のヘッドライトは
ハヤブサか、ZZ-R1400か。

ツッコミ直前までのチキン・ラン。その後に待ち構えているのは
切り返しのラインがキツい日陰のS字だ。

その巨躯と有り余るパワーを御せる腕が在るのなら、引くなよ?
向こうまで付いて来られたなら、その馬鹿力で俺を越して行け。

但し・・・こちとらたかだか70ps。なけなし使いッ切りの70psさ。
皆が待つレストまでコイツに追い回されたら、赤っ恥だがね。


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もう15年前、きつねがスポーツスターの前に愛用していたのは
ゼファー750だった。

「何故イレブンを選ばない?」「ニンジャ買う気だったじゃん?」

答えは簡単、どっちも欲しかったけれど、買えなかったのだ。


二台乗り継いだZR750C-1は、どちらも30万円で手に入れた。
プレミアのついた今では信じられない話、不人気で安かった。

でもコイツは素敵な相棒だった。寸詰まりの小柄な車体故に
慣れれば遠慮なく扱え、安心して750のトルクを掛けられた。

「乗せられてる」リッター・ネイキッドの乗り手からは何度
気の抜けない刺客と称されたか、分からない。

無論、ワンシーズンでセミレーシング・ラジアルを2セットも
履き替える最速連には、敵うはずも無かったけれど。


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それは乗り換える以前から既に分かっていたことだけれど。

例えばゼファーがバスケットボールなら、スポーツスターは
砲丸投げの鋼球のようなものだ。

何もかもがデカくて重くて、ディメンジョンも3世代ぐらい違う。

だからド迫力の加速をコーナーの遥か手前でキッチリ留め、
ラインのアウトぎりぎりに載せて「せーの!」でドンと寝かす。

手綱のスロットルをタイヤと相談しつつジリジリ開けて曲げる。
その速度はじれったいことに、実はセローよりも遅い(!)。

タチが強く直進したがるフレームに、動きの良くない足回り。

鮮やかにインを突いて去り行く直四の咆哮を浴びながら、
去り行く背中に「これがゼファーだったら」と臍を噛む悔しさ。


自在に踊れるマシンが欲しい、手足のように操れるマシンが


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これまで何度も語った通り、そのための最右翼はKTMの
390シリーズ。

峠のエキスパートですら「下りコーナーの飛び道具」と評する
コイツは、正味のところ全区間を通して考えたら相当に速い。

大型免許を持っていても「あえて」選ぶ乗り手がいる理由は
元気いっぱいハジける390に、2スト250の面影が重なるから。

但し過去の単気筒の常識を置き去るパワーとバーターになる
のは、総額70万超の値札と決して長いとは思えない寿命だ。


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シヴァー750


そして次に浮上するのは過去「お友達価格で譲ろうか?」と
クマ師匠から提示されたことがある、アプリリア・シヴァー。

近未来的な意匠が好みに合わなかったことから、当初は
食指が動かなかった・・・のだが、お借りして目からウロコ。

コイツは刺激的。例えるなら前述の390のシングルをL型に
二丁掛けしたようなモン、お祭りわっしょい的なパワフルさ。

何せZR750と同じ車重に二気筒100馬力、そりゃ速いさ(笑)。
師匠の手で足回りを調教されたシヴァー、いい塩梅で楽しい。

唯一のネックは、個人売買物のアプリリアのメンテを引き受けて
くれる店が、盛岡界隈にはおそらく存在しないこと。

まずスロットルからしてもうドライブ・バイ・ワイヤーのコイツは
もし電子制御がゴネ始めたら、俺の手に負えなくなってしまう。


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ムルティストラーダ


丁度同じ頃、師匠が短期間だけ並行所有していたドゥカの
ムルティストラーダも試乗させて頂いたんだけれど。

いやいや、ツアラー然とした見た目にまんまとダマされた。
とんだ食わせ物で、中身はそのままナマのドゥカティ1000。

いろんな意味でアブい。頭の隅では「先に無くなっちゃうのは
命と免許のどっちだ?」と思いながら、右手が閉じられない。

ガンガン蹴り続けるリアタイヤがスピードメーターの針を
跳ね上げ、アドレナリンを止める理性のフタがイカれちまう。

これに比べりゃあジワジワのモー・・・っと流すことも出来る
滑らかな国産リッター4発の方が、まだ性格は優しいだろう。


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スラクストン


ちょっと方向性は違うけれど、基本を同じくするボンネビルに
乗ってみた印象では「イケるクチ」となるのがスラクストン。

低回転から高回転まで調教が効きフラットに吹けるコイツは
或る意味でヨンパツっぽいソツの無さを見せた。

本当の好みがクラシカルなところにあるきつねの目には唯一
「スポーツスターと入れ替えても後悔の確率が低い」と思える
スタイリング。

但し悪友Kちゃんの店がオトナの諸事情から取扱店の看板を
降ろしたため、悲しいかなトライアンフも候補から落ちた。

もっともそもそも「キャブでセパハンの初期型上玉」となると
もはや手の届くような相場じゃなくなっているけれども。


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さてフレンドリーに見えても垣根が高いパツキン美女たちの
夢から現実に立ち返って。

ここで巡って来るのが、一連の国産モダン・ミドルツイン。


ヴェルシス


ふと脳裏をかすめたのは、これも昨春クマ師匠にお借りした
カワサキ・ヴェルシス。

この顛末に関しては当時の印象を記したブログが残してある。

ムルティストラーダと同様に身長175cmのきつねが跨っても
踵が浮いてしまう、超アップライトで大柄なポジション。

全身が地面から遠いところまで持ち上げられているところに
接地感がまるでつかめないフィールの組み合わせは、正直
少し怖いものだった。


ヴェルシス 2


一気に遠くへ掛けるアルペンローダーは、乗り手に余計な
疲労を招かないよう、あえて寡黙なセットアップにしてある。
設計コンセプトそのものが、自分の求めるものではない。

しかし・・・コイツ、実は地味に「エンジンが速い」のだ


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650ccというキャパをインジェクションで躾けてあるのだから、
流れに乗ってフツーに走る分には無機質に淡々としている。

しかし長い直線で前方のクルマをパスしようと、ひとたび
そのつもりでスロットルを開ければ性格が突然変貌する。

エラい勢いで車速が伸び始め、あれよあれよという間に
スピードメーターの針はその盤面の右半分へと到達した。


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これがカワサキ流の血統なんだろうなぁ・・・きっと。

加速を始めると「もっともっと」とエンジンから拍車が掛かる
キャラクター、一時所有していた最初期型KLXにそっくり。

キャブ機の有機的な野性味を削がれた分キカンボ振りを
抑えたフィールにされていても、去勢されていないのだ。

願わくば地面に近くコンパクトなシャーシでこのエンジンを
楽しみたいという感想に「ER6n、知ってる?」と師匠ボソリ。


カワサキER-6n


盲点だった。カワサキの650ツインが三姉妹だったことを
すっかり忘れていたのだ。否、ノー・マークだったのだ。

見た目も企画の視点も全く異なるけれど車重200kg/70psの
ストリート・ファイター、まんまゼファー750の代替機である。

いささかエキセントリックな見た目も、今年シーズン後半を
Dトラッカー125と過ごしたお陰か、大して気にならなくなった。

むしろステアリング・ネックからリア・アクスルまでまっすぐ
繋ぐオフセットしたサスが、面白いものにさえ見えて来る。

なによりスリムでコンパクトなシルエットからして、こちらに
「さあ思う存分、腕を奮って振り回してくれ!」と語りかけて
来るようじゃないか・・・。


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よくもまあ、こんなヤンチャな動画が生き残っていたモンだ。
正直モラルもヘッタクレも無くお行儀悪いことこの上ないが。

しかし軽さ故のフットワークと右手に直結した加速フィールが
まるで自分で操縦しているかのように、よく伝わって来る。

確かに1000cc/150ps超のモンスターと横並びに眺めるなら
「たいしたことない」と感じるライダーも多々いるだろう。

どうせ乗るならパワフルなトップエンド機、という気持ちも。
人生で一度ぐらいは世界最速マシンを、という望みも分かる。

でも、コレと同じシチュエーションで同じぐらいリッターSSの
アクセルを開けられる乗り手・・・どのぐらい居ると思う?


ただ転がすだけなら、きつねだって大抵のバイクには乗れる。

しかし「手足のように乗りこなす」のって、別次元の話なんだ。


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コーヒーのお代わりが尽きたところで現実に立ち返れば、
来春の車検やら税金の請求やらで、十分アップアップ。

とてもじゃないが更に増車だなんて、叶うわきゃないわな。


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さて昼飯調達のついでに、「去年買った夢のチケット」を
引き換えに行ってみましょうか・・・ハハハ。

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